見出し画像

わたしとDeemo

Deemoというゲームがある。

わたしはこのゲームに、心を救われた。
わたしはこのゲームとともに、育ってきた。

1.さいしょの事


わたしは兄が上に一人いる、二人きょうだいの末っ子だ。
家庭環境自体はあまり良くはなく、ゲームを買ってもらえることも少なかった。
そんな中で、3年ぶりの誕生日プレゼントに買ってもらったのがSwitch版のDeemoだ。
スイッチは兄が持っていたし、音楽ゲームも兄の趣味に影響されて始めた。

Deemoを始めた途端、わたしはその綺麗な音とイラスト、声の織り成す幻想的な世界観に圧倒された。


音楽ゲームがすごく苦手で、これまであまりやってこなかった私も、Deemoでノーツをタップするたびに綺麗な音が鳴るのが嬉しくて、失敗したら悔しくて、またやりたくなった。

最初はレベル1をクリアするのもやっとだったけど、やっていくうちにどんどん上達していった。
上達していくのが嬉しくで、兄とスコアで競ったりした。
その時は兄が大人げなかったのでボコボコにされたが。

Deemoのストーリーは、ピアノを弾く謎に満ちた生き物、Deemo(しゃべらない)と女の子、それと仮面の子の三人でお話が進んでいく。
ゲームをプレイしてDeemoが演奏をするたび、どんどん画面中央の木が成長していってストーリーが進んでいく、というゲームだ。

正直何を言ってもネタバレになりそうなので、わたしからはこれ以上ストーリーの解説はしない。
気になる人は買って、確かめて見てほしい。安くはない買い物だけど、きっとあなたの心に響く物語だと思うから。
いい物語は人生を変える、なんて手垢のついた表現をしたいわけではないけど、私はこのゲームに人生を変えられたと思っている


2.わたしの事

ストーリー解説の代わりと言ってはなんだけど、わたしの話をしたいと思う。
このゲームを遊んだ時私はまだ高校生で、友達とか親とかの関係性に悩んでいたし、自分の体やふくらみ続ける自意識をコントロールするのに精いっぱいで、すごく辛かった。死んでしまいたい日もあった。
今となっては昔の話だけれど、高校ではいじめられて不登校気味になって、「この先ちゃんと大人になれるのかな」とか「わたしは誰からも疎まれてるんだ」なんて思って布団の中でうずくまった日は少なくなかった。

そんな時に、このゲームと出会った。
ゲームは人間関係や思春期の悩みをすべて綺麗さっぱり無くしてくれるわけじゃない。
でも、わたしにDeemoがくれた、美しいピアノの音色と切なくも綺麗な世界とストーリーは確実に私の心を軽くしてくれたと思う。
下駄箱の靴が盗まれたり、給食の時間に耐えがたい罵詈雑言を受けても、私が家に帰ればDeemoの優しい世界がわたしを待ってくれている。
元々内気だったわたしは、それまで大好きだった本の世界にのめりこむように、Deemoにのめりこんでいった。

家に帰ってきて、一番最初にやることは兄のスイッチを借りる事。
そして、大好きな世界のみんなとピアノを聞く事だった。

お母さんにピアノを習いたい、なんて相談もした。
お金がかかるから即却下されたけど。
でも、それくらい私はDeemoが好きだった。音楽を通して、私も温かく優しい世界と繋がれた気がしたんだ。

少なかった友達にこのゲームを遊んでもらったら、友達も気に入ってくれたみたいで、遊びに出かけてはその友達とDeemoで対決したり、二人で順番に演奏してみたりした。
友達と好きなものを共有できた最初の思い出も、Deemoと共にあったんだよ。
今でもその子とはたまに遊びに出かける仲だ。きっとこのゲームが縁をつないでくれたんだと思う。
あと、兄とも一緒にプレイした記憶もある。兄は高難易度しかプレイしないから、わたしがやる時はその一個下の難易度をプレイしていたのも、いい思い出だ。

今でも、このゲームをプレイするたびに高校時代の鮮やかで、少し苦い思い出がありありと思い出せる。
同時に、兄や友達、親から受けたたくさんの優しさにも思いをはせることが出来る。
Deemoは私にとって、いつまでも色あせない青春の一ページで、どこまでも一緒にいてくれる伴奏者のような存在だ。


3.読んでくれたあなたへ


一曲でいいので、Deemoの曲を聞いてみてください。
それで「ちょっといいな」と思ったら、Deemoの事を調べてみて下さい。
ネタバレは踏まないほうが楽しめると思います。

今からやる人はPS4のDeemo-Reborn-というのもあるしスマホ版もあるのでそちらも検討するといいかもしれません。

https://store.line.me/stickershop/product/1329124/ja

あ、Deemoのラインスタンプ(かわいい)もあるよ!


4.さいごに


ここまで読んでくれて、ありがとうございました。
Deemoにも感謝。ありがとね。

わたしの大切な、心のひとひらのようなゲームです。

最後に、短歌をふたつほど、Deemoに贈ります。


・優しいねきみのピアノは黒鍵が抱く哀しみさえも包んで

・この曲が終わっても私たち兄妹 さよなら言わず消えてかないで


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?