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【連載:初回】何でも夏のせいにしちゃう世の中に翻弄された僕が辿り着いた1番好きな夏の話

僕は夏が好きだし嫌いだ。
好きと嫌いを年々重ねた今、改めてあの時、僕が特別と感じた夏を取り戻すための話である。

1番最初に「夏、好きかも」と感じたのは小学生の頃。

当時、毎年夏休みになると母方の田舎、
岩手県一関市にいるお爺ちゃんに会いに行くことが恒例行事になっていた。

高速道路に乗って6時間くらい車に揺られるのだけど、この行事の時の父さん、母さんはいつもの5割増しで優しくて、かっこよくて、車の中ではおそらく早朝から準備してたであろう母さんが作った大好きなシャケおにぎりと妹の大好きな唐揚げがいつでも用意されていたし、ハンドルを握る父さんを後部座席から見るのが大好きだった。

岩手に着けば、川で従兄弟と魚取ったり、家の近くでは見かけないような珍しいトンボを追い掛けたり、縁側でお爺ちゃんとスイカ食べたり、夜にはバーベキューしたり、嘘みたいに綺麗な星見たり、花火したり。

最早、ぼくの夏休みの実写版のこの行事をきっかけに夏は「たくさんの特別」があるものだと意識をすることになり、しろくろ少年はTUBE以上に夏を待ちきれなくなったし、毎日ずっーと夏ならいいのにと思っていた。

ところが…

中学生となり、Jリーグが開幕しサッカーに情熱を燃やすようになったしろくろ少年は思春期というスパイスも加わり、次第に親との距離を置き、あれだけ大好きだった行事にも行かなくなるうちに、小学生の頃に感じていた夏の特別感は薄れていってしまった。

続く

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