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人生初カツアゲin高崎

そもそも「カツアゲ」って何かの略か?定義は?など考えてこちらも人生初カツアゲググリしてみたところ

カツアゲは、ヤクザや不良が用いた隠語から一般にも用いられるようになったの語で、単に「カツ」とも言う。
カツアゲの「カツ」は「恐喝」の上略、「アゲ」は「巻き上げる」の「上げ」で、漢字では「喝上げ」と書く。

語源由来辞典

なるほど大体想像どおりだが、恐喝というと一気に犯罪っぽくなる。

18歳まで青森で過ごし秘境グンマーの企業へと就職したので、高校卒業してすぐの2月中旬あたりには引っ越していた俺だが(以前の記事に少しだけ詳しく)

社員寮は少しの間2人1部屋でよろしく、異動で部屋が空くからそしたら1人1部屋でいけるから ということで隣のクラスで一緒に就職試験を受け採用されていたタカダ君との同居だった。
地元にいた頃はまあ一般家庭並の門限や三食のリズムのある生活をしていたが、親元を離れての長期生活は初めてでそれはそれは楽しくもうジャンジャンバリバリ朝昼晩TVゲームもやり放題、夜更かし徹夜のなんのそので若いからカップラーメンとおにぎりで1日中遊びまわって夜は酒を飲みまくる(未成年だがもう時効だろう、どうやら東大に行くような連中と比べて若干学力が低いのはこの時の酒の影響なのかなと少し思う)ことも平気だったから、3月終わりに仕事が始まるまでは破滅的な生活をしていた。

秘境グンマーのメジャースポットといえば高崎シティーや前橋シティーだが前橋はちょっと遊びにいくには若干遠く、いつも高崎シティーを訪問していた。高崎といえば我が青春のバンドBOOWYの聖地である(けどclub フリーズとかには行ったことない)。
高崎へは我々を可愛がってくれた高専卒の先輩T氏がよく車で連れて行ってくれていた。(高専卒で俺と2歳しか違わないのに車持ってるし、八戸市民はやっぱレベルがちげーなとよく思っていたものだ)

かくしてその日も格ゲー大好きT先輩の車で我々3人は高崎シティーの中心的商店街に位置するゲームセンターへと繰り出していた。
平日だったから普通の大人は居らず、大学生っぽいアンちゃんとか我々のようなパラパラと各々好きなゲームに勤しんでいたが、俺はあんまりアーケードゲームをやるタイプでなく(お金かかるから家でゲームしたい)時々「ぷよぷよ」やレインボーアイランドをプレイしては館内をブラ付き、二人が格ゲーやレースゲームをプレイするのを眺めたりしていた。

マンガやドラマであればここで素敵なお姉さんと出会いいい感じになる展開であるがそこは出来立てホヤホヤ田舎っぺ大将の我らのこと、そんな美味しいアメが降ってくるわけもなく2回目のぷよぷよをプレイし終わって二人のもとへ向かおうと思った瞬間に2人組が俺に声をかけてきた。

「おう、ぷよぷよ得意なのか」
1人は大肉中背で1人は小肉ノッポ、いかにもちょっとだけヤンキーという成り立ちではあったが青森のヤンキーと違うところは少し垢抜けた服装をしていた所だ、ネルシャツなんかは着ておらずスカジャンとかMA-1とかそういうものをお召しになっていた。

「いやー得意ってわげでもないけど」
訛りのまじった精一杯の標準語で答えるが、ノッポの方が俺の肩をがっしり抑えこんできたのでこれはやっちまったなと悟る。
タカダ君とT先輩の二人はゲームに夢中でこちらに気づかない。
大声を出そうかと思うが、面倒はごめんだ。何しろまだ就職して間も無いというか働いてもいないし給料ももらってないのだ。クビはまずい。マジで。

「へーそうなんだ、ところでどっから来たの今日は」
大肉の方がニタリとして問いかける。

「藤岡の向こうです、ちょっと急いでるんでいいですか」
「まあまってよ、俺らもタダじゃ帰れなくてさ」

タダじゃ?何も料金が発生することはしてねえだろ、まああれか上納金か。
やれやれ。

「いやー金ないんですよ、就職したばっかりでほんとに」
「まあとりあえず財布みしてよ」
俺は財布を開ける。
どういう財布だったかな、まずまずのチープさだったとは思う。中には1万円が1枚と千円が3枚、ダラっこ(小銭)が5,6百円。

「じゃ1万円でいいよ、今日はそれで勘弁してやるから」
1万円で?いい?何が?実家が農家であり1万円稼ぐのはどれだけ大変なのか身に染みている俺は本当に腸が煮えくりかえっていたが実家にも会社にも同僚にも迷惑はかけられないし、さてどうしたもんか。とりあえず調息をする。

「いやあ、1万円もってかれると本当に飯食えなくてやばいんで今日は3000円で勘弁してくれませんかね。青森から来たばっかりなんですよ」
飯食えなくなりそうな奴がゲーセンなど来るわけないが陳情してみる。
「あ?ふざけんなよこっちは呼べば仲間いっぱいくんだぞすぐ」
大肉がいう、続けてノッポも口をはさみ「お前ボコボコにされんぞぉ、おらあー」と甲高い声かつ小音量で凄む。

「いやーそれは困るけど、まあタイマンならいいですよ。タイマンでお願いします」
俺が言うと二人は顔を見合わせてしばらく停止する。
「はあ?やるわけねえだろ、いいからよこせ」
「いやまじで、1万は困るんで、3千円かタイマンで」

しばらくの押し問答で誰か気づいてくれねぇかなぁと思っていたら大肉が
「なんだオメエ!ムカつく。しょうがねえから3千円でいいや」
差し出した3千円をふんだくりブツブツいいながら多肉とノッポがゲーセンから退出した。ガニマタで。

一命を取り留めた俺は同僚のところへ戻り「そろそろ帰りますか!」と何事もなかったかのように爽やかめに提案し、無事社員寮へと帰巣した。

あの時大きなトラブルなく3千円で済んでよかったなあ、と今でも思い出す就職してすぐの出来事。
この投稿で供養いたします。

#カツアゲ


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