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ハッタリ2022、からのネズミ講編導入

2022年1月2日、酔いに任せて高校時代の恩師にLINEで啖呵を切った。

「今年はエッセイを100本書く」

いままで特に発表する場を意識してまとまった文章を書いたことなどない。(いわゆる文学とか雑誌とか「文章そのものが売り物」という形)が、なんとなく出来るだろうという見切り発車で本日開始する。

記念すべき(かどうかは後年明らかになるかも)第一回一丁目一番地は「ネズミ講シリーズ」への導入。これは自分自身の体験、嘘偽りないやつでいわゆるノンフィクション。なんとこれは4回に渡る予定である。

45年という気の遠くなるようであるいは一瞬の年月を生きてきた「俺」の肌感覚でいうと「ネズミ講に勧誘されたことがある」という人は首都圏に限っていうと3割くらいではないか、と思う。

3割。一見可も無く不可も無い数字だがそこが機敏というか「ネズミ講の妙」なのかもしれない。
延べ人数にするともう少し割合が増えるのかもしれないが、勧誘されるタイプの人は複数回その憂き目に遭うものだからな、というのが「勧誘されるタイプの人」としての実感である。

まず前提として、青森の片田舎、人口5000人前後の街で育った俺はネズミ講という存在の認識・その定義すら理解せずに18歳まで安穏と過ごし、まあ県平均では最も多かったろう高卒就職という進路を選択した。

本当は大学も行ってみたかったが、我が家は小作ではないが本当にしがない小規模農家であったし、兄弟もいたので圧倒的に家に金が足りなかった為に進路については専門・短大含め選択肢としてのカードとしては俺という人生プレイヤーのテーブル上に並べられることはなかった。
それは分別の付く中学生時点で悟っていたが、特に家族を恨むことも他人を羨むこともなく「そういうものだな」と思っていた。思いつく限りスコープを広げてみても俺の関与でき得る環境やパラメータもそれを示唆していた。

自分自身一人だけの力でどうにかなることは無いな、というかどうにかすると色んなバランスが崩れ家族が崩壊するだろうなということは何となく感じ取っていたような気がする。

高校卒業後、群馬県のとある企業に就職した俺は同年度に採用された同僚達5人と会社所有の社員寮に入寮することになるのだが、そここそが多数の人種が共存する闇鍋のようなものだったので結構面喰らってしまい、社員研修である「流れ作業」という仕事内容も相まって3ヶ月の間は情緒が不安定であったように思う、今更ながら分析してみると。
何しろ、今までは関わったり喋ったりする人間がほぼ俺の行動範囲内、すぐ手の届く会いに行ける距離にいたわけで、出自も知れていたりするし、まず一つ屋根の下に暮らす人間が「初めましての人20名」といったこともなかったわけであることを思えば無理も無い。

田舎の偏差値44の高校卒という程度の学力、かつ今でいう陽キャ方面でなかった俺は、もちろん最初は他県の先輩などと楽しくおしゃべりできるはずもなく、しばらくは方言の通じる同郷の同僚たちとの会話がメインだった。

そんな日々の中で、高専出身の2人とはゲームやら音楽の趣味やらが合うし年齢の近いので仲良くするようになった。
高専は青森でもイケてる括りに入る自治体の八戸市にあり、偏差値も高いし今思えば色々なものの濃度が違うのは明らかだ。いや、違いすぎるだろう。
第一俺らの行っていた高校はほぼ男子校もいいところで、八戸くんだりの一般市民から見たらサルの檻。イモを素手で掴みボロボロとこぼしながら食うのがデフォルトのようなナチュラルボーンチェリーボーイアソシエイツ。

例えば昼休み教室の窓の外に大人の女性が見えるとみんなが一斉に窓から顔を覗かせて品定めし脳内 ROMに焼きつかせ今日の夜はアツいぞと思っているような悪童の巣窟であった。
男女交際など夢の夢、といった野郎どもが8割ほど居るようなところとはレベルが違うんだ八戸は。当時認識していた「世界」というものの全てにおいて。

その先輩のうちの1人、ゲーマーのT氏はよく俺と時間を一緒にしてくれた。
そんな中でT氏が色々なところに顔の効く魔法のカードを持っていることに気づく。「プレジデントクラブ※」という団体が発行しているカードらしく、例えばチェーン展開している飲食店で会計時に会員カードを提示すると会計が割り引きになると行った具合のシステムで、適用範囲は飲食、レジャー、ドラッグストアまで多岐に渡っているということだった。

なんということだろう。
想像もつかなかった。
同じ県で生活してきていながら到底追いつけるはずもない世界にこの先輩は20歳という弱冠ながら既に到達し悟りを開き農民には知り得ない利益を享受しているのだと思うと愕然とし自分の過去の無為さに目眩がした。

18歳社会人スタートして1ヶ月にしてヘヴィーなボディブローを食らってしまったが、それが詐欺だと分かるのは数年後になっての話だった。

※このプレジデントクラブについては、後年事件が発覚し裁判等行われているようだが、https://husei.hanrei.jp/hanrei/uc/4319.html
未だに被害者が沢山いるようで類似(元は同じなのか…?)の団体・サービスもあるようで一体どうなっているのやらと思うが興味のある方はケツの毛1本まで調べあげて是非俺にご教示をお願いしたい。

そうこうして数ヶ月、外の世界に揉みしだかれ色々な苦闘・楽闘などしながらなんとか暮らしていた矢先、所属部署決定の辞令の掲出と共ににいぎなり上司になったY氏より東京への研修出向を命じられる。

こうして俺のネズミ講編の扉が開かれた訳であるが、長くなったので今回はこの編でアディオスアミーゴ。

#note書き初め

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