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突然のトゥクン!これは...やべえ方のやつ #1

2017年11月の「トゥクン」は結論から言うと、俺の場合は心臓ピンチの合図だった。

兆候はあったのかもしれないが、ほぼ気づかない程度だったのだろう。
大病もせずそこそこ健康で生きて来たし親族もまあまあ健康で長生きしているのでまさか俺が、という感じだった。

所属バンドでは地方の小さい曲でラジオ番組を持っていて、その日はたまたま生放送担当となり18:00に局入りし打ち合わせを行う。18:45ぐらいに打ち合わせ完了し一息ついてお茶などを用意して19:00からの放送に臨む。

「10秒前ー、9,8,7」
ディレクターのカウントダウンが始まって「3,2」のあたりで大きな脈動を感じ、鼓動が乱れる。それはもうトゥクンどころではなく体感的には「ドッッッッッグゥオン」ぐらいだが、体外には聞こえないだろうから深刻さも体内で留まり、時間が止まる。

「あれ、なんだこれ」
考えを巡らせては見るが番組は止まらない。
番組のタイトルコールの後にスタートのBGMが流れ、冒頭MCを開始しなければならない。
行けるか。
不安いっぱいで体も全然動かないがええいもう行ったれ!
「こんばんわあ、今日はシリウス担当でお送りしまーす!」
なんとか体裁を保てる声は出たが、鼓動はバックバクのまま。

まあそのうち治まるだろう…
その時は軽く考えて台本に沿って進行していくが、30分ほど経っても全然治まらない。

あれ、俺緊張してんのかな?
ライブでも全然緊張しないのに。

気持ちは焦るが曲をかけていてしゃべらなくていい時にじっくりと調息する。少し収まって来ているような気がする。
19:50、いよいよ番組が終わりそうな時にやっと落ち着いてきて
「今日もありがとう!また来週〜」とリスナーにお別れをし最後のBGMに切り替わり終了となったところで鼓動は一旦平常に戻っていた。

通常なら飲みに行きたいところだが、やっぱりどう考えてもおかしいから今日はやめとこう。
そう思って帰宅し、酒も飲んでみたが何も変わったことはない。
やっぱり緊張してたのかな、ガラにもなく。
そう思いまた日々に忙殺されていくが、2ヶ月後に出張がでとある所に行き難しい打ち合わせをしなければならない時に運悪く風邪を引いてしまった。(この時はまだ普通の風邪ね…)

打ち合わせも佳境となり、意見を述べねばならない場面。
また「トゥクン」となり鼓動がガタつく。
今度はそればかりか、目の前がザァーーーーッと暗くなっていったので椅子にストンと座り突っ伏してしまった。

「おいシリウス大丈夫か!気分悪いなら戻って寝てろ」
慌てた様子で先輩が覗き込む、
「すみません、ちょっと風邪で熱あるみたいで。今日は戻らしてもらいます」
そう言ってホテルに戻り、ベッドに横になるが鼓動はドックンドックンと全然治まらない。

あれ、俺これ死ぬかな?

コンビニで思いつく限りのビタミンCと風邪に効く系の栄養ドリンクを2本買ってきたので必死で飲み干しなんとか寝る。
あーこのまましんだら、どうなるのか。
そういえばここ台湾だわ。
ここで死なれたら全員相当めんどいぞ。
あーでももう分からん。

となったが、無事次の日は起きられてなんとか帰国はできた。


こりゃあもう絶対におかしい、検査だ検査!健康診断10年くらい行ってないし。となり、地域の病院の内科を予約し診療時に事情を話す。

「今検査した限りでは不整脈ないですね、とりあえず24時間モニターの検査するので機器つけますね。明日このぐらいの時間にまた来てください。」
となりこんなやつをつける。

適当に探してきたイメージ ときわ会グループさんのwebから

えーこれ嫁や家族にバレない?隠しとおすの無理くない?
バレたらめんどいことになるので絶対に隠し通さねばならぬ。
24H不断の努力により隠し通したまま若干前屈みで再度病院を訪問し、機械を外して2時間待つ。

「んー、特に疑わしい箇所ないですね」
「そうですか、でも脈が跳ねた後に動悸くるんですよね」
「わかりました。とりあえず様子見としますが、動悸が来た時にすぐ病院にきてください。」

は?
無理に決まってんだろ。俺は一休さんじゃねえそ!このヤブが!
と心の中ではキレ散らかす。

が、病院のフロアを見て納得した。
すぐ治療・診療が必要で薬もバンバン出さなければならないお年寄りが列をなして待っているんである。こんな一見健康そうなやつの戯言を聞いてる暇は無いよな。たいした金にもならないし。

とりあえずセカンドオピなんとかだ。
こんな適当な診療でいいはずがない。
俺は東京でまあまあの値段のする心臓クリニックを予約し、経緯を話してさらに詳しく検査してもらった。
「若干左心房の上の方の血管が固くなってますね、でもまだまだ大丈夫でしょう。特に危ない数値も所見もありません。まあでも時間ある時に精密検査したほうがいいかもしれませんね、心配なら。カテーテル検査になっちゃいますけど」

ほんとに?
じゃあこのトゥクンはなんなんだよ…
血圧も120前後で正常だし、酒飲み過ぎたかもGTPも全然正常数値。

という具合の顛末で今回はお咎めなしで生活を続けることにした。

だって怖いんだもの、カテーテルとか言って!
股の間の血管から心臓まで細長い器具入れて見るってもう想像するだけで死にそう。

だれか一緒に行ってくれ…

#2へ続く

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