トマトとの和解
私には嫌いな食べ物がありません
パクチー、セロリ、しいたけ etc... 人が嫌いな食べ物は千差万別ありますが、私には一切ない
過去にサソリの串焼きとかも食べたことがあるくらいのレベルで食べられないものがないのです
ただ、私には最近までどうしても好きになれない食べ物がありました
それは、トマト
スーパーでも普通に売られているポピュラーな野菜ですが、私はどうしても食べると毎回「オエッ」となってしまっていた
なんか中にあるグジュグジュの部分が人の口に一回含んでから出したゼリーみたいな感じがしてすごく無理だったのである
あとなんか外側の固いところとかも、何? 何なのあの部分は… 殻?
食べていい箇所?(困惑)
そういうわけで小さい頃から近年に至るまでずっと無理で、トマトだけは避け続けていました
だけれども最近食べられるようになった
きっかけは「美容に良い」というマジカルワードでした
トマトにはリコピンという栄養成分が含まれており、トマトの赤さはリコピンから来るもの…
リコピンには抗酸化作用があり、お肌のシミやシワを防いでくれる効果がある…
私もいっぱしのOLなので「美容」という言葉にはまぁ弱い
OLなのでシミやシワを防ぎたいということを常に念頭に置いて生活をしている
シミやシワを防ぎたい一心で仕事をしているし
なのでなんかいきなりすっごい愛着湧いてきちゃったリコピンに対して
まず「リコピン」という名前がいいよね
クラスの中ではおちゃらけキャラでいつもみんなを笑わせるムードメーカー。
友達と好きな人がかぶってしまっても「え~!絶対お似合いだよ!応援するね!」と自分の恋心を隠しながら友達の恋路を応援してくれるタイプの子じゃん、りこピンは絶対
晴れて友達の恋が成就したら少しからかうように「結婚式は余興やるからね!絶対、呼んでよ~!」「もう、気が早いって(照)」みたいな
やりとりをしたあと誰もいない渡り廊下でそっと一人で涙を流し「あたしも次の恋、見つけなくっちゃな~!」と強がるように伸びをするタイプじゃんりこピンはよぉ・・・
そんな絶対親友になりたいリコピンに思いを馳せながら、私は生まれて初めて自分でトマトを購入した
当時住んでいた場所の近くにあった「激安本舗」っていう嘘みたいなネーミングの激安スーパーで、デカすぎる50円のトマトを買った
帰宅し、さっそくテレビでやっていた「美容に最もよい」と言われている食べ方を試す
まずはトマトを角切りにし、それをいい感じの器に盛る
そしてその上に混ぜた納豆とかつお節を振りかけて、最後にオリーブオイルをひと回しする
これで超絶ウルトラ美肌メニュー「トマト納豆」の完成である
私はこれだけを夕飯にしていた時期があった
最初はやっぱり「オエ」ってなっていたけれども、「美容と健康にいい」の一言は絶大で、「抗酸化作用、抗酸化作用・・・」と毎晩100回念じながら食べていたら途中から無の感情でいけるようになりました
その甲斐あってか3キロ痩せ、肌もきれいになりました
その数か月後、今の彼氏とも付き合うことになりました
さらに半年後、転職して年収も150万円上がりました(20代後半女性)
りこピン、ありがとう
次はあんたが幸せになる番だよ・・・
り!こ!ピン!り!こ!ピン!
リ「み、みんな・・・!」
(河川敷に『リコピン』という人文字がかたどられているのを走る列車の中から見つけるりこピン。急いで窓を開け身を乗り出す)
り「みんな、ありがとう!あたし絶対幸せになるから!東京行って、絶対に成功するから・・・ッ!」
そして東京へと旅立ったりこピン
3年A組の仲間たちは、離れた場所からいつも彼女の幸せを願っている―――
~FIN~
(なにこれ?)
以上
≪本日の一曲≫ 綺麗/吉澤嘉代子
ありがとうイン・ザ・スカイ