見出し画像

大好きな夫に、改めてプロポーズをすることにした

私事で恐縮ですが、昨年11月に入籍しました。

お相手の方とはもともと一緒に住んでいたため生活に大きな変化はなく、独身時代と同じ毎日が地続きになっているだけでした。

結婚を報告した友人から、お祝いの言葉も早々にこんな質問をされました。

「プロポーズの言葉は?」

この問いかけによってはじめて気づいたことがあります。


プロポーズ、されてないわ


そういえば、はっきりとしたプロポーズってされていない。
例の件で「婚約者」と認定してもらえたものの、その後はっきりと結婚を申し込まれたわけではなかったのです。なんとなく「仕事落ち着いたし来週あたり役所行くか~」みたいな、実家帰るみたいなノリで籍を入れてしまった。

そうか。「はい、今から夫婦になるよ!」というわかりやすい合図がなかったから、今までの生活との区切りがなくていまいち実感が湧かないのかもしれない……

「プロポーズされたさ」が完全に強まった私は、ことあるごとに夫に「プロポリスのど飴っておいしいよね~!」「プロのモデルのポージングって本当『プロのポーズ』って感じだよね~!」とプロポーズを匂わせる発言を試みましたが特に反応は返ってきません。

このままでは、プロポーズをされずに人生が終わってしまう……

ちょっと待てよ。

プロポーズ「される」とは?

私がすればよくない?


無意識に「プロポーズは男性が女性に対してするもの」というバイアスをかけていましたが、別に私からすればいい話である。

よ~し、こうなったら、

やるぞ

やっていくぞ!

(1)どんなプロポーズが「最高」なのか

まず手始めに「神様からの贈り物」ことインターネットで、プロポーズのシチュエーションについて調べました。いったいどんなプロポーズが世の中で実施されているのでしょうか。

夜景のきれいなレストランが王道!
テーマパークでロマンチックにするのも◎
付き合うきっかけになった場所を選ぶパターンも多い
やっぱりいちばんは、家でさりげなく!

わっかんね

「情報の錯綜」と書いて「プロポーズ」と読むのか?
しかしきっと、これといった正解があるわけではなく、みんなそれぞれ自分たちのベストなプロポーズを模索し、手探りの中で実行しているのでしょう。今までプロポーズを実行してきた人たちってすっげ~や。

こうなったら、夫にとっての「オンリーワン」を求めていくしかない。私は夫の好きそうなシチュエーションを調査するため、夫の生態観察をしてみました。

一日

ずーーーーっとパソコン見てらあ!

びっくりするくらいずっとパソコンを見ているのです。平日もパソコンを使う仕事をしているのに、土日にいったいどんな楽しいコンテンツを見ているというのでしょうか。かわいいネコチャンの動画?気になったので確認してみました。

私「さっきから何見てるの?」

夫「日銀短観とか財務省の貿易統計とか経産省の鉱工業指数」

図1

わかんないランドのわかんないアンバサダーに就任したのかと思うくらいわかんなくてびっくりしてしまいました。彼の言っている意味がマジで1ミリも分かりません。

私「楽しいの・・・?」

夫「すごい楽しい

私「どういうところが楽しいの?」

夫「うーん、今後の経済がどうなるのか予測を立てるのが楽しい」

私「なるほど」

なんか怖くなってきたので私は彼の部屋を立ち去りました。

「日銀短観とか財務省の貿易統計とか経産省の鉱工業指数データ見るのが好きな人」にとって最高のプロポーズっていったいなんなんだよ。私は愕然としました。

しかし彼は言った。「今後の経済がどうなるのか予測を立てるのが楽しい」と。

・・・予測を立てる・・・自分で考えて答えを導き出す・・・知識を使う・・・

そうだ!

私の頭には、ひとつのアイデアが舞い降りてきました。

(2)プロポーズ、決行

ある休日。相変わらずパソコンを見ている夫を、私は玄関に呼び出しました。

画像6

私「ようこそ、『ある独身時代からの脱出』へ……私はゲームマスターのしりひとみです」

夫「何?

私「これからあなたには『独身時代からの脱出』をしてもらいます」

夫「無視されちゃった」

私「まずはこの謎を解いてください」

スッ・・・

画像26

夫「うわーなにこれ」

1問目画像

そう。私が思いついたのは、「リアル脱出ゲーム風のプロポーズをする」ということでした。知識を使ったり考えたりするのが好きな夫と、謎を解きながらゴールを目指す「リアル脱出ゲーム」との相性は抜群のはず!

問題を見て少し考えた夫が、ひらめいたように言いました。

夫「あーーー、"水そう"か」

私「正解!

1問目答

それぞれの枠の真ん中に当てはまる、共通する一文字を導き出す問題でした。こちらは危なげなくクリア。さすが、日常の中で経産省のアレを見ているだけある。

「『水夫』って言葉、日常で使わなくない?」という指摘を受けながらリビングにある水槽まで行くと…

水槽

水槽のうしろの電源コードとかがゴチャっとなってて本当は人にあんまり見せたくないところに、2問目が書かれた紙が隠されています(飼ってるエビたちも心なしか盛り上がっています)

2問目はこちら。

2問目

夫「これ、ペン使うやつだわ」

おもむろに、机の上に置いてあったペンを持ち出し答えを書き出す夫。

画像26

私「楽しい?」

夫「楽しい

楽しそうで安心しました。

夫「できた!これは簡単だった」

2問目答

1~5までの単語の「頭」「中心」「終わり」などの指定された文字を、数字通りに枠に当てはめていく問題でした。

夫「次はガスコンロか」

キッチンへ向かいます。

夫「『開け』って書いてあったからここかな?」

ガス

夫「あった」

おさかなグリルの中に3問目が隠されていました。ここにたどり着くまでにおさかなを焼かれたら終わりだと思っていたので、無事に隠し通せてホッとしました。

3問目はこちらです。

3問目

夫「えー、これってちょっと難しいやつ…?」

私「簡単だよ。私の頭脳で考えたやつだから」

夫「そっか」

そっか、て。

夫「あー、なるほどなるほど」

画像26

再びペンを使って問題を解く夫。

夫「正解は、MADOか・・・なんかローマ字だとうざいな」

3問目答

左側の数字は月を表しており、これを英語に直して頭文字を繋ぎ合わせると「MADO(窓)」の文字が出てきます。
というわけでリビングの「窓」まで行き、カーテンを開くと・・・

画像26

綺麗なドライフラワーと指輪の箱が置いてあります。

夫「あっ!もしかしてこれがゴール?」

私「その右側にある箱を開けてみてください」

パカッ・・・

画像26

夫「腹立つわ…」

私「最後の問題です」

画像26

私「ちなみに『サイゼリヤ』は一切関係ない問題となっております」

夫「なんなんだ」

最終問題

"サイゼリヤへの想い"という完全なる私情を持ち出してしまったことで分かりづらくなってしまいましたが、最後の問題、果たして解けるのか…!?

夫「うーん、分からん。もしかして縦読みかな…?」

画像26

夫「『てがみおよめ』?」

私「はい」

スッ・・・・

手紙

夫「え、何?」

私「合言葉は『手紙を読め』。今から手紙を読み上げます」

私はポケットに隠し持っていた手紙を取り出しました。実はこの手紙を書くのにも、少しだけ時間をかけたのです。

(3)グッとくる手紙を書こう

時は一週間前にさかのぼります。

夫に「リアル脱出ゲーム風のプロポーズをする」ことを思いついたその瞬間に、ゴールで彼に向けた手紙を読むことを決めていました。

せっかくの人生に一度のプロポーズなのだから、泣ける文章を書きたいと思った私。

過去にこんなツイートを見かけたことを思い出しました。

「文章の上達方法はただひとつ、写経しかない

普段の私といえばサイゼリヤのグランドメニューくらいしか写経していないので、ここはいっちょ「泣ける文章」をひたすら写経してその技術を身に着けるっきゃない。

何を写経しようかと考えたときに真っ先に頭に浮かんだもの。世界でいちばん泣ける手紙でお馴染みの―――

花嫁から両親へ結婚式の最後に読むやつです。

いっぱしのアラサーなのでもう過去15回くらい結婚式に参列していますが、15回ともキッチリ泣きました。
よ~し、インターネットで見つけた「花嫁から両親への手紙」を写経して、技術力を身に着けていくぞ!

写経

できた!

合計5人分の花嫁からの手紙(約3,500字)を号泣しながら写経しました(幸あれ…と願いながら)

このように写経をしていると、自分のグっとくるポイントがだいたい同じようなシーンであるということが分かり、花嫁からの手紙における文章構成の方程式が見えてきました。

方程式

そしてこのPOINT②において「過去の思い出を振り返らせる」というのが、泣かせる文章の秘訣のようです。その真相に気づいた私は、さっそくこの方程式を駆使して自らの手紙の作成に取り掛かりました。

※キレイな字で書くために、WEBのボールペン字講座で「本田圭佑選手の名言」を書く練習もしました。

本田のペン字

(4)手紙を読む

……というような経緯で書いた手紙を、いよいよ夫の前で読み上げる時が来ました。

私「読み上げます」

手紙画像

私「・・・これで、独身時代からの脱出は成功です」

夫「・・・」

私「どうだった?」

夫「プロポーズだ・・・」

突然のプロポーズに、当たり前のコメントしか言えない夫。

夫「・・・俺からしなきゃなって思ってたんだけど、そういうの上手にできない性格だから、嬉しいです」

彼に手紙を渡すと、「嬉しいね」と何回も言いながら、何度も何度も読み返していました。その姿を見て、私の方がちょっとだけ泣きそうになってしまいました。

これにて、晴れて私たちは改めて夫婦になった実感を持てたのです。

私「ちょっと最後にいい?」

夫「何?」

私「今の一連をnoteの記事にするからちゃんと撮影をし直したいんだけど」

夫「そうだろうなと思ってた。いいよ」


改めて、この人とでないと私はダメだなぁと実感しました。
一生、笑って過ごそうね。

おわり


≪本日の一曲≫ 明るい未来 / never young beach


この記事が受賞したコンテスト

ありがとうイン・ザ・スカイ