見出し画像

インターナショナル・カルチャーショック~うちの姉兄妹~②(子どもをインターに入れた理由)

子どもをインターに通わせているという話をすると、
「どうしてインターにしようと思ったの?」「親も英語が話せないといけないの?」「授業料高いんでしょ!?」「進学はどうするの?」というような質問をよく聞かれます。

ということで、きょうはまず、
どうして子どもをインターに通わせることにしたのかについて
書きたいと思います。

その前に簡単に私のお話。私は日本生まれ、日本育ち、留学経験なし、社会人になってから入った英会話スクールも1か月でやめてしまったような人間です。受験のための英語の勉強はそれなりにやったので、無駄に難しい英単語や熟語は知っていたりもしますが、仕事で英語を使う機会も特にないので、英会話能力はほぼ0。観光客に道をたずねられるとアワアワしてしまうレベルです。つまり、冒頭の「親も英語が話せないといけないの?」ということに関して言うと、必ずしも英語が話せないといけない訳ではないということ。ただし、学校からの連絡は基本的には全部英語なので、書類を読んで内容を理解できる程度の英語力と、教師との面談で最低限の意思を伝えられる程度のサバイバル英会話力がないと、苦労はすると思います。

そんな私が、どうして子どもをインターに通わせることにしたのか。きっかけは私が仕事でソウルに赴任することになったことです。私の赴任が決定した時、長女は小学校4年生、長男は小学校にあがったばかりで、2人とも地元の公立小学校に通っていました。その時点での2人の英語力は、公文の英語で習ったアルファベットの大文字、小文字をかき分けることと、あいさつ程度の定型文を覚えていたくらいでした。
そのような状況なので、もともとインターへの特別な思い入れもなかった私としては、子どもたちはソウルの日本人学校に行かせようと思っていました。でも、妻は違いました。「せっかく海外で生活するのなら、日本人コミュニティで日本人に囲まれて生活するのではなく、インターナショナルスクールに通わせて、いろいろな国の子と友達になって欲しい」と主張したのです。彼女は私と違って、中学・高校それぞれで東京都や学校の制度を使って1か月程ずつカナダやアメリカに交換留学を経験するなど、もともと海外生活への憧れを持っているタイプで、子どもに達にもそういう経験を積ませてあげたいと考えていたのでした。

私も、自分の周りで様々なタイプの人間を見てきた経験上「日本の受験制度の勝ち組が必ずしも人生の勝ち組ではない」と思っていて日本の学歴にこだわりが低いこともあったので、妻が望むならそういう選択肢もありかなと考え、インターについて調べました。ところが、いざ調べ始めるとインターナショナルスクールについての情報がなかなかみつかりません。今でこそ日本国内でのインターの認知度も高まり、ネット上で探せる情報もだいぶ増えましたが、2010年代中頃頃は今よりずっと少なかったのです。

赴任まで2か月強しかない中、限られた情報で判断するにはいろいろ不安がありました。特に気になったのは、「英語の早期教育がもてはやされているが、日本語できちんと論理的に考えられる土台を築かないうちにバイリンガル教育を受けさせると、英語も日本語も中途半端で思考力がない人間になる」といった言説で、それは一理あるなと感じました。その通説によると、10歳くらいまでが論理的思考の土台が築かれる時期なので、それまでは日本語教育をしっかりとして、それから英会話を勉強させるべしとのこと。当時、長女は10歳、長男は6歳、(次女は2歳)でした。この言説に従うなら長女はインターに通いだすのにちょうど良いタイミングだけれど、長男は早すぎるということになります。でも、よく考えると長男は読書が大好きで、普段の会話でも難しい言葉をきちんと使いこなしたり、論理だった説明も長女より得意だったりしていたので、年齢を基準に一律に考えるのは意味がないなと。それに、結局は家庭と学校でのコミュニケーションの質と総量の問題であって、学校で日本語に接する時間が減る分を、家できちんと意味のある会話をし、読書の時間を確保すれば、日本の小学校に漠然と通う程度の質と量はカバーできるだろうとも思いました。

もう1つ問題だったのは、子どもたちのやる気です。「インターに通わせてバイリンガルに育てたい」というのは親の欲であって、子ども達が望んでいないのに行かせる訳にはいきません。ぶっちゃけて言うと、子どもの頃の自分なら、まったく話すことも読むこともできない英語で全ての授業が行われる学校になんて絶対に行きたくないと思ったはずです。私はそういう子どもでした。なので、自分の子ども達も嫌がるんじゃないかなと漠然と思っていました。そこで、ご飯を食べているときに、なるべくさりげない感じで長女と長男に「韓国では、いま行っているのと同じような日本の学校と、外国人のお友達がいっぱいいて英語で勉強をする学校とどっちにいきたい?」と聞きました。意外なことに長女はあまり迷わず「英語の学校が良い」と答えました。それにつられて長男も「英語の学校」と言いました。「授業も、お友達と話すのも全部英語だよ?」と念押しをしましたが、2人とも「わかっているよ」とのこと。本人たちがそう言うなら、インターに行かせようと思い、そこから本格的に韓国で通うインター探しを始めることにしました。

なぜ、あの時うちの子どもたちはインターを選んだのか?私なりに考えると、当時小4になっていた長女は、中学受験に向けて同級生がSAPIXだ日能研だと塾に通いだし、親同士の会話も受験の話ばかりという状況だったので、ちょうど「日本の学校」にネガティブなイメージを抱きだしたタイミングだったんじゃないかなと思います。他方でそれまでにも何度か「外国の子どもたちと遊ぼう」といったイベントに参加したことがあったので「外国人のお友達」というキーワードは魅力的に感じたのかなと。一方、長男は長女が言うことに従っただけですね。まだ6歳ですから。事後的に本人たちに改めて確認もしていませんが、そんな感じかなと思います。意外と人生の岐路は、そんな些細な選択で大きく変わっていくもの。そして、その後2人ともインターナショナルスクールでの生活を6年ほど続けていますが、人生をエンジョイしている様子なので、今のところその時の選択は吉と出ているのではないかと思います。

ここまで読んでいただいたら分かったと思いますが、どうしてインターにしようと思ったのかという問いの答えは、「妻が行かせたいと言い、子ども達も行きたいと言ったから」という、私の主体性がほとんどない理由だった訳です。あえて恰好つけて言うなら、「こうでなければいけない」というような固定観念に縛れず、子どもが望むことはできるだけ自由にやれるような選択肢を用意してあげたいと考えたからという感じでしょうか。

次は、また時間を見つけて、韓国でのインターナショナルスクール選びの話を書きたいと思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?