エベレスト渋滞問題からも見える安全と経済の問題
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最近、エベレストの頂上付近の酸素が薄い地点、通称デスゾーンでの渋滞がおきているという。
その結果、頂上付近に滞在する時間が増え、無酸素や寒さで命を落とすクライマーが増えて問題となっている。
そしてBBCニュースによれば、その背景には、①好期を逃した、②交通整理する政府の連絡官がいなかったことに加え、③未熟な登山者増加。④それに伴う登山ビジネス参入業者の増加、その結果としての価格競争激化、経験不足のガイドの増加が挙げられるという。
とくに③④の場合、ネパール政府は入山許可、登山ビジネス参入障壁の厳格化によってバランスをとるべきだが、ネパール政府にとっては入山許可手数料120万円は貴重な収入源になっているので、なかなか厳格化な対処ができない状態だという。
ここでも安全と経済合理性のトレードオフという問題が起きているのだが、そこにはネパールの貧困事情もそこに見え隠れしている。
おそらく、ネパール人の生活水準からすれば、世界中の登山者の落とす金は大きいから、業者としてはお客さんである登山者をたくさん集めてお金儲けしたい。
そのための手段として他の業者より安い価格で集客する。
未熟なガイドの誤誘導の失敗によって生じる信用悪化のリスクを加味しても登山者グループは数百万円から一千万円を落としてくれるので、それを補うだけのメリットがあるんだろうと思う。
そのうち、他の業者もそれに追随し、価格競争が起きる。
法律による制限が無ければ、それが極限なく続き、やがて利益を確保するために経験不足・教育不足のガイドが横行し、登山者の安全がおざなりになる。
安全確保のために雇ったガイドが安全を脅かす。なんとも皮肉な流れ。
その結果、1番損するのは登山者ということになる。
結局、この問題は金を出す側の安全に対する意識の問題になるんだと思う。
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同じことは、警備業も含めたこの国の安全ビジネス全般にもいえると思う。
結局買手や依頼主が安全というものを雑費くらいに考えるようだと、ちょっと景気が悪くなれば、真っ先に削減の対象となり、貰うお金自体も減る。
この場合、最低賃金の縛りで人件費も削れないとすれば、諸経費を切り詰めることになる。
当然教育に使うお金もその対象になる。資格保持者や経験者も雇いにくくなる。
当然、サービスレベルも落ちるだろう。
その結果、困るのはお客様ということになる。
だからそうならないためにはお客様の警備を含む安全産業に対する意識を変えてもらう必要がある。
そのためには、お客様自身もきちんとした業者を調べる必要はある。
のみならず、協会もそうだけど、自分達業者も警備や安全産業の大切さをいろんな形で伝えていく必要があると思うのである。
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