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読書ログ#1-齊藤孝『知的生産力』

はじめに

面白かったです。心に残るフレーズや道しるべになる考え方も書いてあり、とても興味深い本でした。あなたも、この本を読む前と読んだあとでは、読書への関わりが180%変わるかもしれません。

知的生産力とは何か

【知的生産】
新たなアイデア・工夫を思いつき、世に出したり、人に伝えること。
ツイートを書いたり、ブログを更新したり、絵を描いたり、曲を作ったり、写真を撮ったり、人と会話をするといったアウトプットを知的にすること。

齊藤孝『知的生産力』

昔から個人の記録を残す手段として日記はありましたが、それは「他の人は読まない」前提のものです。SNS、ブログ、HPなど、インターネットが普及したことによる最大の恩恵、それはすべての人が発信者になれる点です。

自分の考えや日常生活を多くの人と共有できることは大きな魅力である一方、文章には、書き手の人となりがにじみでるものです。18世紀のフランスの博物学者ビュフォンは「文は人なり」という言葉を残しています。Xのツイートを例に挙げるのであれば、知識、表現力、思考力、知性、感性、品性、価値観が文章を通じて現れ、読み手はにじみ出る知性を無意識に感じ取っていることになります。

すべての人が発信者になれる時代、せっかくならば知的なアウトプットができるようになろうよ、というのが斎藤さんのメッセージだと私は解釈しました。

著者によると、「”何をどうアウトプットしたいのか”によってインプットの質、量、方法が変わる」のだそう。たしかに、足が速くなりたいのに筋トレばかりしていてもしょうがない。どんな結果を出したいのかによって手段も変えるべき。

私の場合は今年こそ「noteに読書ログを投稿する」というアウトプットがしたいから、そのために気になった文をメモ帳に書き出しておいたり、知らない単語があったら調べるようにしようと思いました。

”引用+コメント”で簡単アウトプット

じつは、「”引用+コメント”がアウトプットの基本形」であり、知的フレーズをメモした時点で、アウトプットの8割は完成しているそう。

メルロ=ポンティは著作『知覚の現象学』において、「コミュニケーションの基本は身体性にある」と主張しています。(引用)
会話で大切なのは、言葉の意味だけではなく、相手の顔の表情、手の動き、話すテンポなどを総合的に見ながら「相手が今、どんな感情なのか」「自分の発言をどう受け取っているのか」を、体ごとで判断することなのだと感じました。(コメント)

齊藤孝『知的生産力』より

のように、”引用”を引き出してしまえばあとは自分の考えを述べるだけだから、8割は終わったようなものらしい。この”引用+コメント”でアウトプットすると、簡単なのにオリジナリティが生まれて非常に便利だと感じました。

実は、著者はこの例のように「哲学をビジネスと結びつけてアウトプットする」ことを推奨しています。実際に私もビジネスに活用するまでいかずとも、人間関係の在り方、時間の捉え方などは哲学に影響を受けている部分があります。もう一段階メタ的に思考すると、ビジネスにまで哲学の効用の範囲を拡張できるのだと感じられました。

難しい哲学書もこんな風に実生活に落とし込む方法を知っていれば、すこし身近に感じますね。私も図書館に行って、ずっと読んでみたかったスピノザの原著でも読んでみようかと思えました。

おわりに

齊藤孝『知的生産力』の感想でした。いろいろなビジネス書を読み漁る前にぜひ読んでほしい一冊です。教養ある人間になるための教科書的存在となる本ですので、ぜひ手に取って読んでみてください。

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