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夫より猫


コロナ禍、
夫が二度目の高熱を出した。

一度目は去年、クリスマスのあたり。年末年始はずっと看病だった。
今回は、3.11と同程度の地震もあり心身ともに疲弊していたし、新幹線が使えず電車やバスなどを使って職場へ向かい、その後は数日ホテル住まい。新幹線が動いてからは乗客の数がかなり多く『密』だったらしいし、ちょっと心配はしていた。それなのに毎週末ゴルフに出かけた。(半分仕事)


で、夫は先日、二回目のPCRを受けた。
医療従事者の方に申し訳ない。本人じゃないけど謝る。ほんとに、仕事増やしてごめんなさい。


そして私は今回こそは、夫はコロナかもしれないなあと、なんとなく思った。
思ったけれど、二回目のせいか私自身、前回のように「消毒!」「消毒!」「消毒!」という心持ちにはならなかった。これが慣れというやつなんだな、と身をもって知った。

もし家族がコロナにかかったら――なんてことはこの1年の間に誰もが何度かヒヤッとして、その分だけ『家庭内感染を回避するなんて無理だな』とあきらめたと思う。
私もまさに、その心境だった。

よくテレビで『コロナにかかったら本人がトイレやお風呂や洗面所を使った都度掃除して消毒する』なんて言ってるけれど、それって不可能に近くないですか?ってはなしだ。
だって、風邪だったにしても、かかった本人は高熱出して相当しんどいわけで、自分が使ったトイレや洗面所、触ったドアノブを毎回掃除?消毒?
そんな余力はないだろう。大人でもないんだから、子供だったら、老人だったら、もっとないだろう。

うちの夫にしても、寝室から極力出ないようにしているけれど、回復を促すために必要な水分、とればとるだけトイレの回数は増えるし、意思とは無関係に咳も勝手に出る。マスクは常にしていても共有のスペースでゲホゲホ、やっている。出したくて出しているわけじゃないのも理解できる。
なので自分が使うときに、息を止めて、空間消毒をして、あちこち拭くのは非感染者の方だ。

そして食事。
運ぶ、部屋の前に置く、食べ終えたら部屋の外へ出す、片付ける。――ここまでは接触ナシで済むけれど、食べ終えた食器を片付けるのも、非感染者だ。毎日、三食。
汗をかいて大量に出た洗濯、寝具、それを洗うのも、同じく。
だって本人ができないから。できるぐらいならもうほぼほぼ回復している。

最近、コロナの感染状況を見ていると『家庭内感染が大半』と言っているけれど、そんなの当然でしょ、と鼻で笑ってしまう。逆に感染しなかったら相当強い免疫力の持ち主だ。尊敬する。それか、相当広いお宅にお住まいかだ。トイレも洗面所も2か所あるとかね。

そんなわけで私は正直、夫がコロナにかかったら世話をせざるを得ない私もアウトだろうな、となんとなくあきらめ始めている。ただ心配なのは猫なのだ。本当に、それだけ。猫には絶対にうつしたくはない。絶対に。
まったくね。いつまでこの不安定な状況が続くのだろうか。夫は体が丈夫な方ではないのにつきあいを超優先するので、たぶんまた繰り返すだろう。可哀想に。でもごめん。夫より、私は猫の心配をする!


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