2020年代の就職活動 (1) --採用前線概況--
はじめに
1990年代から2000年代中盤までというのは所謂就職氷河期と言われる時代だった。僕はその頃に就職したのでまあそれなりに苦労したし、僕の周りの友人たちも苦労していた。僕なりの氷河期のまとめはまた改めてしようと思うのだけれど、翻って2010年代中ごろからは打って変わって就職戦線というのはコロナ禍の時期をのぞいては基本的に売り手市場で推移している。
一方で、僕はこれでも中手のIT企業で採用活動に関与することもあるので、採用に携わる側の目線で就職活動について述べてみようと思う。と思ったところで、このネタは実は人間の仕事に関わることであり、仕事の悩みなどは多岐にわたりあるので、ひとつの記事にまとめるのは難しそうなので、いくつかに分けて論じることにした。分量が最終的にどのようになるかは今のところまだ見通しは立っていない。
就職活動中のみなさんへ
この記事は採用のていで書いているが、それは僕が採用する側にいるからそう書いているだけである。採用と求職は表裏一体を成すものであるから、この記事を通じて採用する側が何を考えて採用をしているのかっていうのを感じ取ってもらえたら嬉しい。その中にもしかしたら就職活動のヒントになるものがあるかもしれない。
この記事で扱うもの
新卒採用市場について。(したがって、暗黙のうちにこの記事は大学生や大学院生で新卒で就職をしようとしている人たちを対象にしている。)
理系職種の観点で。
採用する立場から。
述べてみようと思う。一方で、
この記事で扱わないもの
中途採用市場について。こちらは別途扱おうと思う。
就職サービスの使い方。こちらは人事側の人間ではないし、就活する立場から離れて久しく、正確な内容にならないと思うので扱わない。
これらの前提で楽しくお読みいただければと思う。
僕がどんな人間か
就職とか採用について語るのが働いたことも就職活動したことも採用したこともない人間だと不安に思われるだろうから、ここで簡単に自分自身について述べたい。ざっくりした説明はこちらの記事を読んでほしい。
そのほかに、僕が採用に関わった人間としてこういうNOTEを書くのに相応しい人間であることを保証するため、僕の立場をまとめておこう。
某理系の大学の大学院を出て、それに関係する研究開発にJTC僻地工場でやっていた。僕がいた部門は稼ぎ頭であり、採用でもかなり融通を聞かせてもらえる立場にあった。ちなみに売り上げ規模は1兆円規模であり、大手といっても差し支えなかったのではないかと思う。
その僻地JTCでは研究開発部門のマネージャーまでやっており、採用活動にも関与していた。従って、採用目線での色々なことが言えるのではないかと思う。またマネージャーというのは人間のやりくり、その他のやりくりに苦慮するものであり、大体世の中でおこってること一般についても常にチェックするようにしていた。
その後、AIベンチャーに移り、とある部門の長をやっていた。ここでも採用活動時かかわっており、面談をしたり、研修プログラムの立案に関与したりしていた。
現職でもやはり当然のように採用に関与しているし、人事と協業して採用方針の作成をしたりしている。
注意点
ある程度自分の経験談を元にした内容も書こうと思っている。その部分は有料とさせてもらいたい。
僕の主業務は研究開発であり、現職では役員にかなり近い立場であるが、人事担当ではないので、人事の観点での話はできない。ただ、面接、ESのレビューはする立場なので何かの参考になると思う。
改正履歴
2024年4月15日:有効求人倍率の定義の誤記を修正。
採用前線概況
採用のしやすさについて
まず、全体的に今の就活のしやすさについてまとめてみようと思う。
前述のとおり、今は就活は何かにつけて売り手市場であり、就活生の要求も昔に比べればかなり通りやすい状況にある。僕が就職したころは就活生の要望などはおためごかしに聞く程度であったと思う。
まず、こちらの有効求人倍率の長期データを見てほしい。有効求人倍率というのは就職のしやすさであり、最も一般的な雇用に関する統計データである。この値が大きいほど就職しやすく、有効求人倍率が1で求職者が全員職につけている状況で、1を超えると求職者より仕事の方が多い状況を表している。
ご覧いただくとわかると思うが、戦後の朝鮮戦争特需から高度経済成長が続き、有効求人倍率は高く推移している。1970年代のオイルショックで急激に低下して、その後また1990年代のバブル期にピークが見られる。今は景気があまりよくない時代と言われるが、日本経済のピーク時のバブル期に匹敵する有効求人倍率になっていることがわかる。
その後のバブル崩壊の影響で2000年代まで低めで推移していたが、ITバブル等の影響で景気の浮揚が見られ、いよいよ日本も長期の不景気から脱するかと思われたときに2008年のリーマン色があり再び景気が低迷し、求人も低調になる。それと同時に以前から取りざたされていた少子化の影響で景気の良しあしに関わりなく人不足が顕在化してきた。それが2010年代である。
その頃には所謂2013年問題ということが言われいていた。
どういうことかというと、それまでずっと日本経済を支えていた団塊の世代 (1947年から1949年までに生まれた人たち。) が定年退職する時期で、その人たちが日本の産業を支えていたのが一気に抜けるため本格的な労働力不足に陥ると予測されていた。僕もその頃には既に就職していたのだが、毎年僕のいた部署から5人くらいずつ定年を迎えるおじさんたちがいた。ただ、2013年問題というのは強く意識されていたので、ほとんどのおじさんたちは定年を延長して65歳まで残ってもらったり、人によっては70歳まで延長して働いてくれる人たちもいた。
そういった対策をしつつもいよいよ2010年代後半には少子化の影響が本格化してきて仕事が余るようになり今日に至るのである。すなわち、統計上はすべての求職者が職にありつける時代なのである。
しかしながら、有効求人倍率というのは物凄く雑な指標であり、
$$
(\text{有効求人倍率}) = \frac{(\text{有効求人数})}{(\text{有効求職者数})}
$$
という定義になっている。つまり、仕事を求めている求職者の数で、求人の数を割っているものだ。この値が1を超えると求人の数が仕事を探している求職者の数より多いことがわかる。そして、この式は、求職者数と求人数しか考慮されておらず、即ち、 働いている人たちの仕事に対するマッチングは一切考慮していないのである 。
これがどういうことかというと、皆さんも仕事は選ばなければ いくらでも あるが、 必ずしも望んだ仕事に就けるわけではないかもしれない ことを意味している。しかし、いわばこれは当たり前のことであり、我々は自分たちに合った仕事をするために就職活動をするのである。
職業のマッチング
前述のとおり人間というのは働かないと生きていけないことが多いので、働くわけだが、働くという苦役はなるべく軽くしたいので、なるべくなら仕事は選り好みしたいというのが人情であろうと思う。選り好みできず、気に入らない仕事にしかありつけなかった場合にはその仕事をやめて次の仕事に移っていくのである。
それを表したものに、 職業マッチング指標 というのがある。
これもかなり大雑把な統計量であり、就職率と充足率という就業についての指標から求めているものである。つまりどれだけみんなが今の仕事に満足してそうかというのがわかるものである。その性質上、 値が大きいほどみんなが仕事に満足してる 状況である。この辺の定義と説明は後程簡単に述べようと思うが、とりあえず値が大きいほど良いと思ってほしい。
こちらがマッチング指標である。この中の太い黒線が職業マッチング指標である。横軸は年度だが、平成になっていることに注意してほしい。その時系列のうち灰色で塗りつぶされている所が恐らく社会的に大きなインパクトのある出来事があった年で、恐らく、右から順に、東日本大震災、リーマンショック、NY同時多発テロ、バブル崩壊の影響が深刻化した年を示しているものと思われる。
このグラフを見る限り、職業マッチング指標というのは0.25から0.3の間を推移しており、0.25付近の値をとるとそれなりに社会的なインパクトが大きく、就職が難しい状況であると見て取れる。実際にリーマンショックはそれなりに影響が大きく、思うような就職ができなかった人がいたように思う。
これは全部の職業、職種でのデータだが、実際には我々は個別業界、個別職種で働いているので、個別の職業別のデータを見てみようと思う。
下の図は平成25年度、つまり2013年のデータである。
横軸が充足率、縦軸が就職率である。
それぞれの指標の意味はやはり、後程定義を示すが、ざっくりいうと、
充足率が高い:人が足りている
就職率が高い:人が足りていない
とみなしてしまって差し支えない。
そして、先ほどから扱っているマッチング指標はこのグラフのなかの原点からの距離をしめしている。つまり、原点から遠い職業程マッチング指標が高いほど人事上はバランスがとれている状態と言える。また、充足率と就職率のバランスが良いほどほどよく人手が足りず、ほどよく新しい人が入ってくる、組織にとって新陳代謝が活発でそれなりに健全に維持されている状況を示している。ただしこれは厚労省の資料であり、 厚労省が考える健全な職場、職業と、皆さんが考える働きたい職場というのは同じわけではない ということは言うまでもない。すなわち、マッチング指標が高い職業についていても幸せかはわからないということである。
そして、この図からあきらかなように、職業によってかなりバラけていることがわかる。その中で皆さんのイメージ通り、販売とか管理の仕事はかなり低い所にあることがわかる。また、保安の職業というのが、極端に充足率が低く、就職率が高いことがわかるが、これは警備関係の仕事は常に人不足で、入ってもすぐ辞めてしまうのであろうということがわかる。
一方で、事務的職業というのが、充足率が高く就職率が低い状況にある。これは僕は現代の企業にとってのある種の触れてはいけない闇であると思っているのだが、事務の仕事というのは人は足りているが、就職したい人は中々そこで働くことができないということを意味している。つまり事務職というのは現代の人気職業であることが見て取れる。
この辺のグラフを見て仕事をするにあたってそれぞれの職業にどういう性質があり、どこでどのように生きていくべきかという戦略がある程度たてられるかもしれないし、当たり前のこと言うんじゃないこのくそオヤジ、こっちは必死なんだと思うかもしれない。しかし、一応僕は理系なのであり、理系というのはごくごく当たり前だと思われることが本当に当たり前に成立しているのかという疑問を常に持ち、どうもこれは本当に成立しそうだぞということを確かめていかないといけないので、こういうことをするのである。
そしてこの職業マッチング指標というのも面白いネタなので、そのうちこれをネタに何か語るかもしれない。
さて、この節の最後にここでつかった言葉たちの定義をまとめてこの節を終わることにしたい。
def. 就職率
就職率は、就職した人の数を求職している人の数で割ったものである。つまり、求職者のうち就職できた人の率を示している。この値が 高いほど就職しやすい ことを意味している。
$$
(\text{就職率})=\frac{(\text{就職件数})}{(新規求職者数)}
$$
def. 充足率
就職率は、就職した人の数を企業が出した求人の数で割ったものである。つまり、これは企業が出した求人に対してどのくらいの採用ができたかを示している。この値が 高いほど採用しやすい ことを意味している。つまり、この値が高いほどその職種に就職しにくいことを意味している。事務職は現代では超人気な、働きたくてもなかなか職にありつけない職業なのである。
$$
(\text{充足率})=\frac{(\text{就職件数})}{(\text{新規求人数})}
$$
def. マッチング指標
これらの就職率と充足率を使って構成される指標がマッチング指標である。先ほどのグラフのように、充足率と就職率をプロットしたグラフ上の原点からの距離に比例するものである。
この解釈は中々難しいところだが、高ければ高いほど採用もしやすいし、就職もしやすい、程々の人材の新陳代謝がある職場といえると思う。逆にこの値が低いと、採用しずらい、もしくは就職しにくい職業であるといえる。つまり、労働者と雇用者のどちらかに有利な状況にあるといえる。しかし、労働者と雇用者どちらかに有利な状況というのは健全な状況とはいえなず、やはり程々がよさそうであると政府は考えているのであろうと思う。
$$
(\text{マッチング指標})=\frac{\sqrt{(\text{就職率})^2 + (\text{充足率})^2}}{\sqrt{2}}
$$
企業にとっての求人
多くの求職者にとって、就職とはとてもしんどいものであると思う。
よくお祈りメールだけ送ってきやがってという文句や、内定を受諾するなら他社の内定を蹴れと言われたとかいうエピソードを聞く。一見するとこれらは企業が優先的な地位にあり、学生をいじめているかのように見えるかもしれないが、逆の立場になってみてみてほしい。というのがこの章の趣旨である。
会社の構成要素と求人活動
国は、国民、領土、政府により成り立つといわれているが、事業は人、モノ、金で動いているといわれている。つまり、企業を構成する重要な要素に人が挙がっているのである。すなわち、企業の側も人を欲しているのである。この点僕は少し誤解をしていて、氷河期に就職活動をすると、周りは求職者だらけであり、企業は不景気でこれ以上人を増やせない中でわずかに空いた空席を有り余る求職者の中から選んでいるので、物凄い買い手市場であり、企業というのは横暴なものだと思っていた。
しかし、全くそんなことはなかったというのが僕の感想だ。
どういうことかというと、会社というのは先述の通り人がいないと成立しない。そして、人は老いていきいずれ定年を迎え職業人生から退場していく。人間の人生というのは大体こんな感じだと思うが、
```mermaid
timeline
title 人生
1980: 誕生
1986: 小学校から高校
2000: 大学
2004: 就職
2040: 老後
```
これを会社組織の中に当てはめると、人を採用して、欠員が出たら新しく埋めなければならない。模式的には。
```mermaid
timeline
title 会社の人達
2000: Aさん
2040: Bさん
2080: Cさん
```
こんな感じになるだろう。しかしこれは単純すぎるモデルだ。
一人抜けたらもう一人採用するというのはごく数人で回している零細企業でしかできない芸当であり、多くの企業では常に人は去るので、常に人を採用しなければいけない。イメージとしてはゆく川の流れは絶えずして、元の流れにあらずというような新陳代謝がある状態にしておかなければならない。したがって必ず毎年求人を出して新しく人を雇わないといけない。(この例外が就職氷河期であり、そのあおりをいまくってるところもあるが、それはまた別の話。)
あまりうまく書けてないが、実際にはこういうイメージだと思う。
```mermaid
timeline
title 大きい会社の人たち
2000: Aさん
2005: Aさん: Bさん
2010: Aさん: Bさん: Cさん
2015: Aさんの老後: Bさん: Cさん
```
この新陳代謝が正常に回っている状況を維持するためにあるのが求人活動であり、それは会社がなくなるまでほぼずっとつづくものである。
選ばれなかった企業
ここで一つ個人的なエピソードを紹介しようと思う。
僕みたいなやる気がなく、見た目の良くない社員もJTC僻地工場勤務時代にも前職でもそれなりに何故か人前に立たされる機会があった。その中に就職活動中の学生さんとの面談というものあった。
以前は就活シーズンになると就活フォーラムというようなのをやって、展示会の借りて会社紹介のブースを設けて、そこで学生さん向けに会社紹介をしたりすることがある。そこに人事とか同じ職場や違う職場の人たちと出かけることになった。そのときが僕の採用に関わった最初のイベントでだった。
それまで求職者の立場でしか物事を見たことがなかったので、「人事め、クソみたいな仕事のためにこの超多忙な俺様を居心地のいい僻地工場からこんな人の多い東京に呼びつけやがって、僻地に戻ったら課長を捕まえて文句の一つでもいってやる。」と思いながら参加した。大体そのときそこにいた採用担当の人事の女性がちょっと気に食わないやつだった。なんなら生意気な態度を取ったら見えない所で指摘してやると思ってたのだ。
しかし、いざイベントが始まると、今度は僕は企業の方、つまり採用する立場になる。そうすると、ブースにきてくれる学生さんがお客さんになるのである。
ここで人が集まらないと本当に悲惨である。実際に僕のいた会社はとても地味な会社であったので、派手な最終製品を持ってる会社や、キラキラした会社に比べるとやはり人気はないのである。したがって、中の人も地味、集まる人もまばらである。そしてたくさん人が集まるキラキラ企業をと比べて自分達を見ると人事の苦労というのが大変しのばれたのである。
つまり、そのとき、 僕らは学生さんから選ばれていた のである。
僕らが学生さんを選ぶ立場になるのはまだちょっと先のことであった。
当たり前のことなのだが、これを体感するまではそれは頭では分かっていたのだが、全く自分事としてとらえられてなかったのである。そしてそのときはじめて人事担当者も血の通った人間であり、感情を持ち、学生さんが集まらないと焦り、落ち込み、話しかけてきてくれた学生さんはネ申に見えることがわかった。これは僕の人生の中で得た重大な気付きの中でかなり高い位置にランクづけられている。
そう、僕ら採用サイドはESを受け取る時点で学生さんからの選抜から漏れているのだ。そして僕たちを選んでくれた学生さんたちの中から更にいい人を選んで、面接をして、共に働けるかを考えて、次の年の4月1日に会社にきてくれるのを祈る立場なのだと知った。
氷河期時時代はそうじゃないというかもしれないが、最早氷河期ではないのだ。今はそういう時代であり、我々もそれに適応しなければならない。
応募者の皆さんはまず最初の段階で自分たちが会社を選ぶ立場にあるということを自覚しておくと少しは気が楽かもしれない。
採用でのミッション
この章のまとめのようになるが、繰り返すが、採用担当者にとって達成したいことは、就職してくれる人を集めることである。これはごく当たり前のことのように感じるかもしれないが、応募者としては色々な選考プロセスを経てお祈りメールを受け取るとそのことが頭から抜けてしまうかもしれないが、これは厳然たる事実であり、社内的には人事が採用目標を達成しないと、「あー、今年も新人こないのかよー。」的な嘆きが事業部サイド聞かれることもある。
そんなきれいごと言ったってこっちだって色々と落とされまくって凹んでるんだよと言われればそこまでなのだが、採用サイドもこっちだって来てほしいのに来てくれないんだよということなのである。すなわち、ここでマクロに見れば採用数は多く、就職しやすい状況なのに、いい仕事が見つからないなあというミスマッチのようなものが発生しており、それがまた転職に繋がっていく構図になっている。ここで重要な役割を果たすのが就職サービスであり、恐らくこれがないと現代の就職活動や採用活動は成立しない。そもそもこの手のものはかなり昔からあったと思われる。
つまり、就職サービスとは何をしているかというと、求職者と求人者の間を取り持つエージェント (代理店) としての機能を持つのだが、これがないと人間はP2P (peer-to-peerの略だが、ここでは求職者が色んな会社を直接訪問することを想定している) でしらみつぶしに色々な会社を探さないといけなくなる。
```mermaid
flowchart LR
subgraph 会社
A["A社"]
B["B社"]
C["C社"]
end
subgraph 求職者
a["あきおさん"]
b["ベンジャミンさん"]
c["千佳さん"]
end
a --> A
a --> B
a --> C
b --> A
b --> B
b --> C
c --> A
c --> B
c --> C
```
ここでは3人の求職者が3つの会社にアクセスする様子を表しているが、この時点で9通りのアクセスのルートがあり、大変効率が悪い。そもそもこの求職者3人がこの3つの会社を「自分だけで探す」のは無理かもしれない。
そこで、ここに代理人、あるいは、仲介人として就職サービスというのが現れる。簡単な説明にとどめるが、会社も求職者もここを見ておけばOKという存在になるので、仕事を探す、または、求人を打つのにはうってつけな存在である。
```mermaid
flowchart LR
subgraph 会社
A["A社"]
B["B社"]
C["C社"]
end
subgraph 就職サービス
R["Rナビ"]
end
subgraph 求職者
a["あきおさん"]
b["ベンジャミンさん"]
c["千佳さん"]
end
a --> R
b --> R
c --> R
A --> R
B --> R
C --> R
```
それぞれのプレーヤーの関係は上記のようになる。Mermaidで書いているので若干わかりにくいが、前のP2Pで探していたときよりも線の数が6本に減っていることがわかる。まだこの図だと求職者が3人しかいないのであまりうまみが感じられないかもしれないが、これが数が増えていくといずれ企業の方も全部の問い合わせに対応できなくなるので、こういう仲介者がいた方が効率がよくなる。
そしていくつかの就職サービスがずっと右肩上がりの成長を続けてきたのだが、それに伴って硬直化した就活スタイルに一部批判が見られたりするが、決してそういう存在はなくならないし、有利に使った方が圧倒的にお得なのだ。しかも日本の新卒採用市場ではリクナビやマイナビとかのリッチなサイトが無料で使えるのである。その原資は登録している会社から払われている訳だが、昭和の中頃までは仕事をあっせんしてくれた人にお礼を渡したりしてたことを考えるとこういった就職サービスはまさに求職者にとっては救いのネ申であるといえる。
採用の流れ
色々なプレーヤーの立ち回りについて
では一旦ここで採用側からみた流れを見直しておこうと思う。なお、ここでも注意してほしいのは、僕は人事担当者ではないので、この理解があってるかよくわからないということだ。ただし、間違ってたとしてもそう外してないと思う。
```mermaid
sequenceDiagram
participant 企業
participant 学生
participant 就職サービス
participant 大学
企業 ->> 企業: 採用計画立案。採用コスト、採用計画人数を確定。
企業 ->> 就職サービス: サービス提供を依頼。ランディングページ作成。企業ページ作成。
就職サービス ->> 学生: サービス提供。色んな企業のページが見えるようになる。
企業 ->> 学生: リクルータの個別アプローチ。
企業 ->> 大学: 求人票の発行。
企業 ->> 就職サービス: 就活イベントの企画。
activate 企業
activate 学生
activate 就職サービス
就職サービス ->> 学生: 就活イベント開催。
企業 ->> 学生: 就活イベントで直接応募者へアプローチ。
学生 ->> 就職サービス: 企業の志望度のフィードバック、企業へのコンタクト依頼。
deactivate 企業
deactivate 学生
deactivate 就職サービス
critical 就活
学生 ->> 就職サービス: 応募
就職サービス ->> 企業: 応募者集約
学生 ->> 学生: ES作成
学生 ->> 就職サービス: ES提出
就職サービス ->> 企業: ES集約
企業 ->> 企業: 書類選考
end
```
シーケンス図でES提出からの書類選考までをまとめてみた。
全部書くと訳が分からなくなるので省略したが、色んなプレーヤーが知らない所で沢山動いていることがわかったと思う。そして、企業は就職活動が開始される前に色々な動きをしていることが見て取れると思う。さて、ここでは採用サイドでどういう流れで求職者を受け入れていくか簡単にまとめたいと思う。このあたりから段々自分の経験をもとにした話や、知っておくとお得な情報がでてくるかもしれないので、これ以降は有料部分に回すことにする。一応有料パートもお小遣い程度で購入できる額にしているので、採用する立場の人間が何をしてるのかに興味がある場合には有料パートをみてみてほしい。
まとめ
2本目の記事で慣れていないので、気合いを入れて書きすぎてしまった。あと、NOTEでMermaidを書くとその場で確認しながら図を書けないので時間がかかってしまう。
さて、ここまで、長い文章を読んでくれ方へ、大変ありがとうございます。有料パートを見てもらえる方へ、もう少しお付き合いください。ただ、有料パートは採用側の方は見る必要はないかもしれない。
そして一旦ここでこれまでのまとめをしておこうと思う。
2020年代は少子高齢化のあおりを受けて一貫して人が足りない時代であり、バブル期に比べて就職自体はしやすい。しかし、それは仕事を選ばなければの話であり、実際には仕事を選びたいと思うのが人情である。
したがって、職業ごとに人気不人気の仕事があり、それはある程度大ざっばな統計データで把握することができる。データ上は事務作業が一番人気があり、警備関係が人材不足である。これはある程度直感とも一致すると思う。この点については別のところで深堀したいと思う。
企業というのは人で成り立つので採用活動は欠かすことのできないものである。そして、採用初期段階では企業は学生さんから選ばれる立場である。
もし僕の記事が気に入ったらサポートお願いします。創作の励みになりますし、僕の貴重な源泉外のお小遣いになります。そして僕がおやつをたくさんかえるようになります。