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叱られた息子の成長

今日は大きな成長を目の当たりにすることができた。
息子が僕に叱られた事が分かっているのだとハッキリとわかった。
今、息子は1歳半でもうすぐ1歳7ヶ月になる。
少し前までは叱られている時も良くわかっていないのか、元気に返事をしてみたり、叱られたばかりの事をすぐに繰り返してまた叱られてを繰り返していた。

何だか声色や語気が強いのは感じて泣いたりもしていたが、何が悪いのか分かっていない様子だった。

僕自身、まだ何が悪いのか分からないだろうな。と思いながらも叱っていた。
まだ分からないのだから叱ったりしなくてもいいのではないか?
大好きな両親に何もわからないのに怖い顔や怖い声で叱られて、悲しいだろうな。
と少し、僕達両親側の精神衛生上も宜しく無かった。

そんな息子が
わざとよだれを出して自分の顔に塗りたくる、という悪戯を止めなかった。
今時期なんて肌荒れに繋がるし、乾燥も相まって頬が痛くなったり痒くなるかもしれない。
毎晩お風呂上がりに丁寧にクリームを塗っているのに無駄になったしまう。
去年も頬が荒れて真っ赤になってしまっていた。
そんな可哀想な目に会ってほしくない、ということもあり少し強く叱った。

怒鳴ったり、もちろん手を上げたりなんかはしない。
真っ直ぐ目を見て、顔を逸らしたり甘えて誤魔化そうとしてもそれを受け入れない。
何度も逸らそうとする顔を押さえつけ、僕も何度も同じ言葉を繰り返す。
次第に息子も悲しそうな顔になっていき、こちらの問いかけに頷いたり、小さく返事をするようになった。

心苦しさもあるが、やめない。
お母さん曰く、僕はめちゃくちゃ息子に甘いらしいので息子もショックだったのかもしれない。
こんなに懇々と叱るのも久しぶりだ。
息子は解放された後もしばらく静かに、大人しくなっていた。
今までもこの状態までにはなっていた。
またしばらくしたら遊び始めるし、悪戯もする。

ところが今日はそうではなかった。
叱った悪戯を繰り返しはしなかったし、いつもなら座っている僕の足元に乗りもの図鑑を持ってきて読んでくれ、とせがむのだがそれもしなかった。
ただ、1人で静かに本を開いて指差している。
そんな姿を見ているとイジらしくて抱きしめてあげたくなった。
だけど、我慢しなければいけない。

息子は今気持ちの整理をつけているのだろう。
叱られたのは夕方。
今日は朝から息子と2人でドライブに出かけ、お昼寝も一緒。
午後からは大好きな車を見に大通りまでお散歩。
きっと楽しんでくれていたに違いない。
楽しかった1日の終盤に叱られて、今日1日が悲しい日になってしまったのか。

僕から離れて静かに本を見ている息子。
今日はいつも大騒ぎのお風呂でも大人しく、お鼻掃除やシャンプーの間頑張っていた。
お風呂上がりの着替えやボディクリームを塗る時間も、いつもなら逃げ回り笑っているが今日は全く手間取らなかった。

落ち込んでいるのか、僕が怖いのか。
ただただ悲しそうなその姿に胸が締め付けられる。
お母さんのお風呂上がりを待つ間、僕は息子と2人。
息子がじっとこちらを見ているのがわかる。
僕はもう我慢しなくていいかな、となった。
おいで、抱っこしよう。
息子はバタバタと走りながら腕に飛び込んでくる。

その瞬間、もう可愛くて愛しくて仕方なかった。
我慢していたのは僕の方では無く、息子の方だった。
甘えたいのをずっと我慢して、叱られた事はせずに大人しく過ごして、僕がいつも軽く叱るお鼻掃除や着替えの時も良い子にしていた。

息子はまだ言葉をハッキリと喋れない。

ごめんなさい。
もうしない。
と言えないのだ。

僕が

もう怒ってないよ。
もういいよ。
と伝えてもわからない。

叱られたショックだけ抱えて、でもどうしていいかわからない。
そんな息子が「抱っこ」と意味のわかる単語を聞いた瞬間駆け出した。
許してもらう。反省する。と言う事の意味もまだ分からない息子なのだ。
甘えたい気持ちを押し殺して過ごすしか、やり方がわからなかったのだろうか?

息子を抱きしめながら、今まで叱られる事の意味がわかっていなかった息子の成長を感じた。
同時に、どうしていいかわからずにずっと我慢して耐えていた息子の頑張りに泣きそうになる。

その後は遠慮せずに甘えてきてくれた。
抱っこをせがみ、図鑑を読む時は僕の足上にすっぽり収まる。
いつものニコニコ顔で甘えてくる。
安心する気持ちと申し訳ない気持ちがせめぎ合う。

以前までは息子もケロっとしていたから叱れていたのだと思う。
今日の姿を見て、僕も心が押しつぶされそうになった。
叱る、という行為は愛と覚悟が無ければ出来ない。と僕も今日知った。
叱る機会なんて無ければそれに越した事は無いのだが、これから先必ず叱ら無ければならない日が来るだろう。

その時は愛と覚悟を持って息子に立ち向かえるように心の準備をしておこう。

というお話。

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