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歌詞は大げさな方がグッとくる。

私は趣味で曲を作るのだけど、5歳子どもが私の曲を覚えてしまって困っている。
というのも、下記の歌詞が5歳の口から放たれると、衝撃的。

気づーけばーておーくれー いえいえいえー
もがいても あがいてもー
血が滲み 苦しくてもー
死んでもいいーあなーたがいれーば

血が滲み?!死んでもいい?!
なんちゅう歌詞を書いているのだ、私は。

意味を理解していないのは救いだが、他の曲で上書きしといてよ。
と思い、「他の曲聞きなさーい」と促すと、

うっせぇ、うっせぇ、うっせえわ!

あかーん!
それも5歳が歌うと衝撃的~~~

でも、「聞いてはいけません」というのも教育ではない気がして…
なんとな~く『香水』に動画を飛ばしてみたのでした。

ってなことがあって、歌詞について考えた。

なぜ「歌の歌詞」は大胆・大げさな表現になるのか

歌詞を字面だけで見てみると、エロティックで露骨な表現だったり、
意味不明だったり、大げさでしょ~って表現が多い気がする。

でも、不思議なことにメロディがのると丁度いい。

なぜそうなるのか考えてみたら

①意味が辻褄合うように、限られた音数に文字を当てはめる必要がある
②リズムにのせても違和感がない文節の切れ方でないといけない
③声に出す(歌う)と気持ちがいい!と思える言葉がいい
④歌詞を音としてしか認識しない人がいる(私…)

というように、制約が多いから大胆で大げさな表現の方が、ぱっと聞いた時伝わりやすいんじゃないだろうか?
それを、「キャッチ―な表現」と言うんじゃないかな?

④の「歌詞を音としてしか認識しない人がいる」っていうのは、
理解できない人もいるかもしれないが、
私は音楽を聴くとき歌詞が入ってこない。意識していないというか。
カラオケに行って、歌詞を目で見た時に「こんな意味だったんだ~いい歌詞~」と感心することが多い。
なので、私が覚えていられる曲の歌詞はキャッチ―な表現の曲ばかり。

こと歌詞においては、日本語的に正しいかが全てではないと思う。

あ、その感覚わかるわかる。
言い得て妙だな。
声に出したくなる!

それが大事で、印象的だからこそ、何年も覚えていられるのだなぁと。

【独断と偏見】大胆で大げさでグッときた曲の歌詞

大げさな歌詞の曲だけがグッとくる、ということではない。
ここで伝えたいのは、歌詞だから許される・グッとくるな~という表現ってあるよね、ということだ。

パッと浮かぶものを例として挙げる。
※公式っぽい動画あるものだけ貼ります。

会いたくて 会いたくて 震える
引用:西野カナ 『会いたくて 会いたくて』


表現に震えたね。
「孤独に打ち震える」を連想させるじゃない?
わざわざ「孤独で」「寂しくて」と言わなくても、「あなたがいなくて孤独で寂しくて打ち震える」という気持ちを

会いたくて 会いたくて 震える

だけに集約して、キャッチ―で歌いやすい。んでカワイイ。
すごいなぁ~可愛いな~と思った。

別に君を求めてないけど 横に居られると思い出す
引用:瑛人『香水』

「別に」という言い回しからサビを展開するのが、大胆!
あと、「居られると」っていう表現がうっすらと未練が残る感じを本当に上手く表現しててしびれた。

「別に」つながりで。

別に合う必要なんてない
引用:宇多田ヒカル 『Addicted To You』

このセリフから始まるラブソングってありなの?!
「会う必要なんてない」なんて、大胆で大げさで、めっちゃカッコいい。
わかる…強がりっすよ。
って当時中学生の私に何がわかるんだよ、とか振り返ると思うんだが思ってた。
この曲は、この始まりの「べっつにあーうひっつよーうーなんてなーい」が言いたくて歌ってた節ある。

たった一行で心キャッチされた。

骨まで溶けるような テキーラみたいなキスをして
引用:松任谷由実 『真夏の夜の夢』

骨は溶けないっしょ、大げさ~~~
そしてそれがすっごいカッコいい。
この1行だけで、「とても情熱的で大人な恋の物語」の歌が始まるってわかる。
歌うと大人になった気になれて。
「テキーラみたいなキス」って天才だ。

はぁ?うっせぇうっせぇうっせぇわ
引用:Ado『うっせぇわ』

ちゃんと聴いてみると、ただただ「うっせぇわ」って言ってない。
「うるさいな」でも「五月蠅いわ」でもダメで。

「大人がよく言う正論なんて聞き飽きました、もう五月蠅いです」
というニュアンス、思春期のあのもやもやした尖った気持ち。
それらをまとめると「うっせぇわ」って表現が本当ハマってる。

大げさというか、過激な表現に見えるけれどこの曲にはそれ以外ない。
嗚呼、こんな思い切った歌詞が書きたいよ。
いわゆるスラングで正規表現じゃない。
感情を伝えることを優先する場合「正しい日本語」ってなんだろう?って思わせられた。
そして、この曲叫ぶとリズムが気持ちぃぃ~~。

タイトなジーンズにねじ込む わたしという戦うボディ
引用:BoA『VALENTI』

これは大げさよ~~
ジーンズ履いただけのことを、こんなカッコつけて言えないよ。
音楽だから許される。
そして、音楽だからこそ「ジーンズを履いた」だけでもダメで。
めちゃくちゃキャッチ―でこの曲とフレーズ大好きだった。
今でも歌うし、ずーーーーっと覚えてる。
意味じゃなくて「言い回し」だけでこんなにグッとくる歌詞、というのも実はなかなかないんじゃないかと思う。

壊れるほど愛しても 1/3も伝わらない
引用:SIAM SHADE 『1/3の純情な感情』

これを挙げないなんて嘘。
歌い出しにこんな大胆で大げさな表現かつ、それが1/3も伝わらないというどんでん返しのサプライズ付き。
私もついつい「とても・すごく」の表現として、「死ぬほど」とか使っちゃいがちだけれど、もう何をどう書いたってSIAM SHADEの後追いでしかないし、これは越えられないな~と思っている。
いや、お前どの立場でゆーとんねんって感じだけど。言いたいだけ。

どうしたって!消せない夢も 止まれない今も
引用:LiSA 『紅蓮華』

「どうしても」じゃダメで。
「どうしたって!」だからいい。
強い気持ちを伝えたい強い気持ちが伝わる。
リズムに合いまくりでためが気持ちいい。歌いたくなる。
たった数文字の違い、少しの表現の違いだけで曲の印象が大きく違ったんだろうな、ということを最近めの曲で一番感じた。


書いていると、どんどん浮かんできて本当はもっともっと書きたい歌詞があるんだけど。
ラッド、DS455、SOULHEAD、中森明菜、山口百恵、安全地帯、SOUL'd OUT、椎名林檎…えんどもあ。

眠いのでここらでおわり。

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