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ほとんど無知な男の「ザ・フラッシュ」(ネタバレあり、そしてなぜか下ネタあり)レビュー〜究極だが、完璧じゃなーーい。

 作品には端的に言うと二種類分ける。芸術系とエンタメ系である。芸術とは自己を表現することこそが目的であり、他人に理解されるように作られていないのに対し、逆にエンタメとは他人を楽しませる前提で作られている。そう考えると、「ザ・フラッシュ」は究極のエンタメに挑戦していたように思える。
登場するスターや小ネタの数は数知れず、DCを追ってきていたファン達はみな目を輝かせて最高のひとときを味わえることは間違いない。まさに完璧

じゃなーーい



ファン達が目を輝かせてスクリーン見ている中で、私は手ぶらで誕生日パーティに参加した面持ちで画面を見つめていた。もちろん、映画自体がつまらなかったわけではない。ただ描かれてる小ネタの数は膨大な数すきて、自分の指の隙間からこぼれ落ちていってしまうのだ。これは悔しくて堪らない
感覚としてはコンドームを二枚つけてセックスしているに近い。セックスは楽しいけどなんで俺だけ二枚?みたいな感じだ。
 フラッシュという映画は映像的なものでいえば良く出来てると思う。だけどコンドーム二枚で感度が鈍っている自分から見れば、例えば相手が橋本環奈であろうがよっぽどのテクニシャンでない限りは完璧なセックスにはならないのだ。
 

問題1「予定調和すぎる」

 「ザ・フラッシュ」という映画のストーリーはタイムパラドックスものの王道を踏襲している。それはすなわちストーリーの展開上驚きが殆どないことを指している。
cmを見て想像できるストーリーのほぼ真ん中を突っきっていって、演出はそれぞれ独創的だが物語はシンプルだ。過去を変えようと奮闘するが結局現状を受け入れるしかないと気づき、過去にけじめをつける。
 そんなことは最初に話していたバットマンが言っていたとおり、わかりきっていることなのだ。 しかし、この映画が究極的だといえるのは先程も述べた通り演出の数々であって、DCファンは素晴らしいシーンの数々に脳のメモリを奪われる。要するに細けーことは気にしないモードになれるのだ。映画は本来ストーリーと演出の足し算で評価されるべきものであり、素晴らしき演出の数々で補っているといえる。

問題2「スーパーガールのアクションがターン制」


アクションに焦点を当てると、バットマンの戦いは泥臭くて面白い。
対して、スーパーガールの戦い方はワンパターンと言わざる得ない。基本的に殴り飛ばすか、不意打ちされるかの二択である。
 フラッシュは過去に戻った際、バットマンには忠告したのに、スーパーガールには不意打ちの警告しない理由がよくわからない。めちゃくちゃ冷めたことを言うと、距離を保ちつつヒットアンドアウェイでビームで戦えとか指示を出すべきだ。スーパーガールは他にも、「人間助ける理由薄い問題」※1、「薬品なしで雷当てて意味あんの?問題」※2を産み出している。

 

 総評

映画自体は楽しめるが、マジレスされると弱い部分があるのが少し残念な本作。「誰が見ても最高に面白い」が完璧なエンタメだとしたら、この作品は「人を選ぶがハマれば最高に面白い」といえるだろう。
 完璧なエンタメなんてものは実際のところありえないのだから、ある意味で一つの完成形と言える。
 勿論、なんの情報がなくてもつまらないということはなく「一緒に飯食ってくれるバットマン」は、みんな好きなはずだ。



☆3.5(最大限の楽しさを享受するには人を選ぶ)

※1スーパーガール人間助ける理由が薄いと感じてしまう。救けてもらったフラッシュの仲間になるのもゾット将軍を憎む気持ちもわかるが、自分を痛めつけた米軍のヘリコプターを助けるシーンはよくわからない。
※2薬品を通した雷で能力を得られるはずだが、最終的に普通に雷当ててるのが、よくわからない。 


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