ブンゲイドンジャラ参加作品まとめ
#ブンゲイドンジャラという企画を始めました。概要は下記ツイートリンクと画像をご覧下さい。
【ゆる募】【文芸界隈拡散希望】#ブンゲイドンジャラ という企画を思いついてしまいましたので、興味を持たれた方、ちょいと画像の企画書を覗いていってくださいな。
— 心労 (@sinlowasno1) January 23, 2022
今回の企画はゆるい短文アンソロジー作って楽しんじゃおうぜっていう試みです。以下スレッドに詳細を。→ pic.twitter.com/7QeXbJeXyu
以下は、この企画にご投稿いただきました皆様の作品です。(掲載順、敬称略)
当記事に記載されている皆様の作品の著作権は作者様に帰属します。許可無しの改変、転載、流用はおやめください。
１心労(例) 冬 マイクロノベル
例：#ブンゲイドンジャラ
— 心労 (@sinlowasno1) January 23, 2022
「寒くなったら起こしてね」
歩いてたら干し大根にそう声を掛けられたので、僕は家のおばあちゃんにそう伝えた。
「なあに、目覚まし時計があるから大丈夫よ」
おばあちゃんは笑顔で振り子の止まった柱時計を指さした。
冬が来ると動き出すらしい。#冬 #マイクロノベル
２さむぇ 秋 マイクロノベル
#ブンゲイドンジャラ
— さむぇ@ずんぐりさん (@mapupuland) January 23, 2022
この世に秩序(コスモス)をもたらすため、神は初めにコスモス畑を作った。
そこへ強風が。花弁が散って顔にまとわりつく。花弁を吸い込んだ神は咽せた。
こうして世界は混沌(カオス)に包まれたのである。#秋 #マイクロノベル
３乙野二郎 冬 俳句
#ブンゲイドンジャラ
— 乙野二郎 (@otsunovel) January 23, 2022
掘り炬燵ほうれい線のいとおしさ#冬 #俳句
４まっきー 秋 マイクロノベル
#ブンゲイドンジャラ
— まっきーは執筆中 next stage 𝄇 (@nekojita0414) January 23, 2022
「ドンジャラ。ドラえもん一色」
「哲也！テメェ積み込みやがったなッ！」
「だとしたら何だ。バレないイカサマはイカサマではない」
「うぬぬ…正論だ」
「ここはひとつ、落ち着いてセイロンティーでも飲もうじゃないか」
「ほっこりするね」
「秋だね」#秋 #マイクロノベル
５さむぇ 春 マイクロノベル
#ブンゲイドンジャラ
— さむぇ@ずんぐりさん (@mapupuland) January 23, 2022
さいた さいた
「くそっ！チュー・リップの鼻が！」
「素手で鼻を裂くなんて…化け物が！」
「奴が逆の手に持っている鼻はもしかして…楢の」
ならんだ ならんだ
「後ろだ！赤！白！黄色！」
「「「うわぁぁぁぁ！！！」」」
どのはなみても きれいだな#春 #マイクロノベル
６大江信 夏 マイクロノベル
夏に妊娠した。お腹にはお祖父さんがいた。赤ちゃんにはお祖父さんの名前を付けた。お祖父さんが結婚したら母が産まれて、母は未婚で私を産む。お祖父さんがばあちゃんと結婚しなかったら私はどうなる？お祖父さん教えて。「夏に神を産み私は宇宙と #夏 になった。」#ブンゲイドンジャラ#ブンゲイ幻
— 大江信 (@oemakotoqq) January 23, 2022
７ニガクサケンイチ 夏 マイクロノベル
サイダーさんにお願いすると、しぶしぶ左のこめかみを打ち叩き始め、三分ほどで右耳の穴からビー玉の透明な球面がめりめり盛り上がってくる。当然の激痛、苦悶の歯ぎしり、口角に溜まる泡がシュワァと弾け、子らは笑い、青あらし吹き抜け、いよいよ耳血。#ブンゲイドンジャラ #夏 #マイクロノベル
— ニガクサ ケンイチ (@nigakusakennthi) January 23, 2022
８大江信 冬 マイクロノベル
みちゃった。吾輩も餃子とごはんとビール食べたいなー あれ！宮月さんタレないね！「いやいやいやいや、これは #ブンゲイドンジャラ #冬 の餃子にタレは要らぬぞ編なのでえぇ！す！！」そうか！ #ブンゲイ平和 の餃子ファイトクラブだったよこの世界線は！（邪悪お嬢様達の、ごはんです。みせしめに） https://t.co/sXoZxyUoLC pic.twitter.com/xtDg95VMDD
— 大江信 (@oemakotoqq) January 23, 2022
９ｙｏｎｏ 冬 短詩
白い壁を抜いながら歩く。桜の季節ははまだかと呟きながら #ブンゲイドンジャラ #冬 #短詩
— ｙｏｎｏ (@iyono) January 23, 2022
１０🐟 冬 短詩
.
— 𓆞.｡+...𓆟.｡.𓆜.｡+.｡ﾟ𝑯𝒆𝒍𝒍𝒐… (@konosirosan11) January 23, 2022
生きるのは独り
暖めるなら貴方と二人
風の啼く戒厳令の夜
冬の残骸が
底の無い水溜りに
沈んでゆく
.#ブンゲイドンジャラ#冬#短詩
１１🐟 春 短詩
.
— 𓆞.｡+...𓆟.｡.𓆜.｡+.｡ﾟ𝑯𝒆𝒍𝒍𝒐… (@konosirosan11) January 23, 2022
消してまた
書く便箋に積もる
3月の雪
往きて帰らぬ旅立ちと
告げられなくて
.#ブンゲイドンジャラ#春#短詩
１２RoMMS 秋 マイクロノベル
夏祭りの夜よりとうに三月ほど祭りの囃子がまだ鳴りやまぬ。妻に訊ねてみたものの聞こえはせぬと呆れられ。晴るる空まだ暗いまま冬が近くもまだやまぬ。祭りの囃子はこちらへと徐々に徐々にと近づいた。ついには庭にて囃子鳴る。妻の姿がはて見えぬ。君はどこぞへお隠れか。#ブンゲイドンジャラ
— RoMMS (@moooomaaaaaxxx) January 23, 2022
１３渡辺八畳 冬 短詩
キャベツの芯は甘く、踏みしめられた雪よりも堅い。爪楊枝を刺していく。きゅうきゅうに詰まった繊維をくぐり、もう抜けない。早朝に見る死体のように、子供たちをあやす母親のように、旬のキャベツはいくつもの爪楊枝を捕えている。#ブンゲイドンジャラ#冬#短詩
— 渡辺八畳🍖詩誌『BONE』vol.1 販売中 (@yoinoyoi) January 23, 2022
１４渋皮ヨロイ 春 マイクロノベル
#ブンゲイドンジャラ
— 渋皮ヨロイ (@yoroshibu) January 23, 2022
ようやく父が鱒釣りから帰ってきた。すでに四月も終わっていた。魚籠から濡れそぼったたい焼きを取り出し、何匹も並べる。「鱒、大量だよ」。そう言って父は泣いた。腹が割れてあんこがはみ出した魚もある。母が大嫌いだった粒あんで、それさえも潰れている。#マイクロノベル #春
１５渡辺八畳 夏 短詩
蝉があんなにうるさいのは
— 渡辺八畳🍖詩誌『BONE』vol.1 販売中 (@yoinoyoi) January 23, 2022
鳴き声さえも暑くて溶けているからだ
笑い顔のまま硬直してしまった子供たちが
表情筋を痙攣させたまま汗を流す
遊び途中で固まった彼らは
実に見事なポーズをしている
このまま記念として永遠に硬直し続けてほしい#ブンゲイドンジャラ#夏#短詩
１６糸山乃衣 冬 マイクロノベル
#ブンゲイドンジャラ
— 糸山乃衣 (@Itoyama_Noe) January 23, 2022
はい死んだ。頭から鷹掴みにされ、そう思った。だけど鷹の奴、びびって動けない俺に冷えた足をのせたり懐に突っこんだりするばかり。やっぱ温め鳥にはふくら雀だよね。言いあう声で理解が追いつく。俄然、気が大きくなる。極上の羽根布団に悠々と沈みこむ。#マイクロノベル #冬
１７野村日魚子 春 短歌
#ブンゲイドンジャラ #春 #短歌
— 野村 (@d0ede5) January 23, 2022
「春に」野村日魚子
スプーンを舐めたら舌に花びらがくっついてきて困るわたしを笑う
希求 あの人が永遠だと考えている長さのその花の咲く時間の
よくないことを告げてやるぞと思い冷蔵庫を開けて力のつよい手をそのまま愛す
１８野村日魚子 冬 短歌
#ブンゲイドンジャラ #冬 #短歌
— 野村 (@d0ede5) January 23, 2022
「nightseeing」野村日魚子
どの人間も泣いてはいないのに庭がぬれていてそれは雪なのだという
あの家もこの家も墓石みたいでそこに住むひとりひとりをきちんと好きだ
泣く泣くあきらめた犬たちを思い出している顔のいくつもの子どもの夜
１９ henco 秋 俳句
#ブンゲイドンジャラ #冬 #短歌
— henco (@henco_twnv) January 24, 2022
帰り道 マスク外して 仰ぐ夜 欠けたお月様 吐く息白く
２０ henco 秋 俳句
#ブンゲイドンジャラ #冬 #短歌
— henco (@henco_twnv) January 24, 2022
帰り道 マスク外して 仰ぐ夜 欠けたお月様 吐く息白く
２１クモハ Yoh 冬 マイクロノベル
シクラメンの花芯を摘んでいて、小人を見つけた。花の面倒を見る代わりに住まわせてやろうと提案した。あくる日、花ビラがドット柄に！ 次の日はマーブル模様。お気に召しませんでしたかと小人が言う。オリジナリティないね、と評したのがまずかったらしい。翌日花は枯れ、小人は消えた。
— クモハ Yoh＠ドグウずきんちゃん (@YohKumoha) January 24, 2022
２２henco 夏 短歌
#ブンゲイドンジャラ #夏 #短歌
— henco (@henco_twnv) January 24, 2022
「まだ夏じゃないけど」いつもの前振りで 会場煽る 君が大好き
２３大江信 秋 マイクロノベル
子ども達の時代が終わり秋は笑った。私達が果物を買いに降りてきて秋を見たら笑っていた。「渦に巻かれてここに来て得た物も多いので山々は稜線を隠している。」果物を買って上がる。秋は背後でそう言ったに違いなかった。私達はまだ終わらないよ。ごめんね。また会おうね。#ブンゲイドンジャラ
— 大江信 (@oemakotoqq) January 24, 2022
２４うっかり 冬 短詩
名刺
— うっかり (俳句、短歌とか) (@575or57577) January 24, 2022
予備の名刺が
財布から出される
91mm×55mm 白紙
肩書が温もるのにはよい炬燵
太陽と直線でつながる昼間
炬燵から出てゆく吐息は
名刺を持たない
#ブンゲイドンジャラ #詩
２５なんかよむ千住 春 俳句
#ブンゲイドンジャラ #俳句 #春
— なんかよむ千住 (@essay500) January 24, 2022
春浅し白が倍居るチェスゲーム
神様が目刺食みつつふる賽子
ぱたりぱたオセロ返りて春疾風
トランプの余白の傷や子持ハゼ
牌はなぜ白魚の色どんじゃらじゃら
鷹化して鳩となるかな国士無双
２６うっかり 春 短詩
クワズイモ
— うっかり (俳句、短歌とか) (@575or57577) January 24, 2022
硝子が流体であるように
クワズイモも流体である
それは籠の要らない虫を飼うようで
今 羽化のところだ
じっと見ている#ブンゲイドンジャラ #詩 #春
２７草野理恵子 春 短詩
顔が消えてしまったので
— 草野理恵子 (@riekopi158) January 24, 2022
角のない鹿の皮を被った
風が睫毛を撫でた
皆好きな動物の皮にした
あなたが鹿であるように祈った
祈りをそんなものに使うなと
父は蹴った
私は短くミーンと鳴いた
これから色々なものが消える
白い靴下を膝の上まで伸ばすと
鈴蘭の刺繡が消えていた
きっと春も消えると思った
２８草野理恵子 冬 短詩
その日
— 草野理恵子 (@riekopi158) January 24, 2022
私の誕生日だった
立ち枯れた木が
水面から伸びている湖に来た
白い鳥が目の粗いレースのように
点在していた
鳥の中に座り
私は小さな鳥になった
――プレゼントを待っていて
鳥が等間隔に並ぶ湖
手足のどこかを欠き
銃身のように首を曲げ
飛び立つことない白い鳥たち
――冬が来るね
２９いと 秋 短詩
はらりのおと
— いと *゜…𓅣𓅸𓆃*。゜𓆗。* (@ririsometime) January 24, 2022
は、らり
かさりのおと
か、さり
枯れ葉
は、去り
プラタナスの幹#ブンゲイドンジャラ#秋#詩
３０草野理恵子 夏 短詩
写真は破けていた
— 草野理恵子 (@riekopi158) January 24, 2022
額の下と唇と鼻の間に
強い折り目がついていた
目は開けたら大きいだろう
白黒だから色は想像した
砂の城はできては崩れを繰り返し
高い城になった
その先に窓を付け
写真を入れた
夏なのに寒い日だった
大切な人の写真だよ
ずっと持っていた
母か子か
自分なのかもわからないまま
３１東風 夏 マイクロノベル
家の前に安全ぼうやの墓場がある。お盆の頃になると塗料の剥げた子や落書きされた子たちが楽しげに思い出話するのが聞こえてくる。中には首のない子たちもいて、ただ無言で墓場を彷徨っている。首を取り戻した彼らが何を語るのか聞いてみたいのだが、残念ながら落ちた首は可燃ごみだろう。
— 東風 (@kokamisako) January 24, 2022
３２クモハ Yoh 冬 マイクロノベル
雪の下には死体が埋まっている、というのは本当だ。俺が隣人を丁寧に殺して葬ったから。永久凍土に懇切丁寧に穴を掘り、埋めた。その苦労たるや一編の詩にも等しい。だが、ヤヴァい。南極の氷が溶け始めている。俺は熱心な環境運動家になり、地球温暖化に立ち向かう。全ては完全犯罪のためだ。俺の名は
— クモハ Yoh＠ドグウずきんちゃん (@YohKumoha) January 24, 2022
３３阿瀬みち 秋 短歌
香ばしく弾けるような柴犬の焼き芋屋台牽くすがた #ブンゲイドンジャラ#秋 #短歌
— 阿瀬みち🌿𓃱 𓃗 𓃚 𓅱🌊 (@aze_michi) January 25, 2022
３４草野理恵子 秋 短詩
目隠し鬼をした
— 草野理恵子 (@riekopi158) January 25, 2022
君の目に包帯を巻いた
そのまま映画館に入り
空撮した都市の映像を観た
君は音声だけを聞き
恐怖に両手を前に出した
僕は君の前には立たない
弱くても君はまだ鬼だ
君はそのまま前に進むと
破壊された都市の映像が
森林に変わった
風の中
目隠し鬼は続き
眼窩の部分に落ち葉が溜まった
３５冬木草華 冬 マイクロノベル
クリスマスに世界が滅亡すると情報通から教えてもらったのでTwitterで呟くとそのツイートが12万RT、25万いいね。人生で初めてバズった。が、クリスマスに世界が滅亡することもなく、私のアカウントは炎上した。おかげで今年の冬はすこし暖かくなった。#ブンゲイドンジャラ #冬 #マイクロノベル
— 冬木草華 (@soukafuyuki) January 25, 2022
３６渋皮ヨロイ 冬 マイクロノベル
#ブンゲイドンジャラ
— 渋皮ヨロイ (@yoroshibu) January 26, 2022
凍る湖に集められた一発屋たち。今や彼らは処分されようとしていた。自分はまだ終わっていない、という切実な訴えに続けて、それぞれ、往年のギャグを披露する。刹那、もれなく氷柱と化していく。（養成所講義「長く愛される芸人になるために」資料映像より）#冬 #マイクロノベル
３７渋皮ヨロイ 秋 マイクロノベル
#ブンゲイドンジャラ
— 渋皮ヨロイ (@yoroshibu) January 26, 2022
幽霊たちが霊峰と星空の狭間にある休憩所に集まってきた。ここで一夏働き続けた疲労や余熱をクールダウンしてから闇へと帰る。まだ騒ぎ足りず、あるいは人になったと思い違え、地上に残るものもいるが、山々が赤く染まるころ、休憩所は完璧な静寂に包まれる。#秋 #マイクロノベル
３８渋皮ヨロイ 夏 マイクロノベル
#ブンゲイドンジャラ
— 渋皮ヨロイ (@yoroshibu) January 26, 2022
夜になっても蓮の花は開いたまま淡く光る。お堀にかかる赤い橋から僕はそれを眺めている。一枚ごとに花びらの色が変わる。桃色が濃くなり、薄まり、重厚なクリーム色になり、青も染み出る。やがて僕は水滴の一つとなり、花の中で朝までころころ転がり続ける。#夏 #マイクロノベル
３９大江信 春 マイクロノベル
「春は好きな人を目で追う」妻はソファからTVの中のソン・イェジンを見つめている。私は科白をやめて舞台袖から見る。春は彗星が仕事をするのでありったけの愛を送ることができる。目が合うと笑い返してくれた。「ソン・イェジンさんは本当に良い人」と妻は言ったが台詞を噛んだ。#ブンゲイドンジャラ
— 大江信 (@oemakotoqq) January 26, 2022
４０夏川大空 夏 マイクロノベル
#ブンゲイドンジャラ
— 夏川大空@アプリつくる (@natukawa_sky) January 26, 2022
少年の夏が来た、少年は少女に恋し友をも得て色々な夢を見た。
夏真っ盛りに、少年の胸は膨らみ、そして少年は少女となり、少年は死んだ。
死んだと思われていた少年だが、わたしの中でいつでも、あの夏の続きを夢見ている。#夏 #マイクロノベル
４１夏川大空 夏 マイクロノベル
#ブンゲイドンジャラ
— 夏川大空@アプリつくる (@natukawa_sky) January 26, 2022
とんぼ、とんぼやとんぼ。銀や赤やオニヤンマやイトトンボ。
あの夏見た図鑑の、恐竜時代のそれはそれはおおきなとんぼ。
お前はどうしていなくなってしまったのか、いつか捕まえてやろうと思っていたのに。
恐竜は鳥となった、お前は小さくなった、わたしはどうだろう。
４２夏川大空 夏 マイクロノベル
#ブンゲイドンジャラ
— 夏川大空@アプリつくる (@natukawa_sky) January 26, 2022
青く、ラムネ菓子のように、少し高くなったそれをかじる手の影。
青く、もっと美味しいものはあるだろうに。
青かったのだ私は、青く、青く、青く。#夏 #マイクロノベル
４３夏川大空 夏 マイクロノベル
#ブンゲイドンジャラ
— 夏川大空@アプリつくる (@natukawa_sky) January 26, 2022
空はどこまでも続いているように思っていた、見える世界がちいさいというとこは、
見えない世界はもっともっとおおきなものだろう。
まだみてない世界へはいついつ行けるのだろう、スニーカーの泥だらけの足で。#夏 #マイクロノベル
４４比良岡美紀 春 マイクロノベル
#ブンゲイドンジャラ
— 比良岡美紀 Miki Hiraoka (@HiraokMik2) January 26, 2022
ラジオに投稿された桜の木の下の不審者。見にいったら確かにブツブツ呟いている。よく見ると耳にはイヤホンらしき物。閃いて直撃してみた。やっぱり。数年後、件の不審者からハガキが来た。「お陰様でアナウンス学院を修了しました。この春から同僚です」#春#マイクロノベル
４５比良岡美紀 夏 マイクロノベル
#ブンゲイドンジャラ
— 比良岡美紀 Miki Hiraoka (@HiraokMik2) January 26, 2022
夏といえば怪談。だけど時節柄、人が集まるのは難しい。ならばと廃病院へやってきた。ここで肝試しライブ中継、のつもりが何も聞こえず放送事故。あれからみんな肩が重いんだけど、気のせい、だよね？#夏#マイクロノベル
４６比良岡美紀 秋 マイクロノベル
#ブンゲイドンジャラ
— 比良岡美紀 Miki Hiraoka (@HiraokMik2) January 26, 2022
京都への社員旅行、せっかくだからと申し込んだお寺の座禅会。私たちだけ叩かれまくりで周囲の視線が痛かったけど、紅葉も食事も楽しんで、舞妓さん体験もできて大満足。帰ろうと料亭を出たらお祓いしませんかって。道行く人が振り返ってたのってそのせい？#秋#マイクロノベル
４７比良岡美紀 冬 マイクロノベル
#ブンゲイドンジャラ
— 比良岡美紀 Miki Hiraoka (@HiraokMik2) January 26, 2022
「冬は寒いから、休日はいつも家で過ごしてる」「勿体ない、寒いからこそ夜景が綺麗に見えるのに」元・不審者さんからクリスマスのお誘い。てっきりディナーでもご馳走してくれるのかと思ったら。観覧車から夜景を見るなら先に言って！#冬#マイクロノベル
４８通天閣盛男 夏 マイクロノベル
タートルネックのセーターを貰った。しかし今は8月で38度の炎天下である。私は御礼と共に冬に着る旨を伝えるも「今着てみてよ、着たらわかるから」と言われ、意を決して汗ばんだ体を頭からセーターに突っ込んだ。なんと、タートルネックの長い首の穴を抜けると雪国であった。#夏 #ブンゲイドンジャラ
— もりっしー/通天閣盛男/ (@mori_cccccccccc) January 26, 2022
４９大江信 秋 マイクロノベル
切れたからTOBACCOを買いに来たんだ。数十年振りだったからネエチャンいるかな？とは思ったよ。でも信じてたんだ。ブツは買えた。手探りしたら見つかった。約束通りに…。ネエチャンありがとう！って焼き芋を渡せなかったのが心残りなんだ。綺麗な秋晴れだよ。今どうしているの？#ブンゲイドンジャラ pic.twitter.com/Tf2WB0116r
— 大江信 (@oemakotoqq) January 26, 2022
５０心労 冬 短歌
出社する前のコーヒー飲む瞬間だけ生き返る世界は冬#ブンゲイドンジャラ #冬 #短歌
— 心労 (@sinlowasno1) January 27, 2022
５１山崎朝日 冬 短詩
#ブンゲイドンジャラ #冬 #短詩
— 山崎朝日 (@mannbou235) January 29, 2022
うさぎがふるよと時計が唄う
いつも狂ってる古い古い柱時計
狂い方を知ってさえいれば何の問題もないと
本棚がわらう
灰色の空
音の消えていく午後
５２山崎朝日 春 短詩
はるか三十センチを跳び上がって
— 山崎朝日 (@mannbou235) January 29, 2022
切り株の上
雉が叫ぶ
ここが俺の
ここが俺の
ここが俺の！ 大地だ
はるか三十センチ下の地面で
白と黄色と空色のちいさい花たちがわらう
むかいの山では別な雉が
ここは俺の
ここは俺の
ここは俺の！ 斜面だ
はるかはるか下方の小川で
鷺がゆっくり足をおろす
５３山崎朝日 夏 短詩
爆発したての白い雲
— 山崎朝日 (@mannbou235) January 29, 2022
僅かな風を阻むレースのカーテン
客間のソファーに
プールの午後の重ったい眠り
手足が焼けたソーセージみたいで
前髪が汗で額にはりついていて
恋なんか知りもしないのに
聞こえてる恋の歌が
めちゃくちゃなつかしくて
ねえあれっていつのことだっけ
しあわせだったよねぇ
５４山崎朝日 秋 短詩
#ブンゲイドンジャラ #秋 #短詩
— 山崎朝日 (@mannbou235) January 29, 2022
長く棲んだ枝を離れ
透明な空に吸い込まれて
高く遠くまだ遠く
帰る
帰りたい
どこに
風が落ちた時いる場所に
５５ｙｏｎｏ 秋 マイクロノベル
『秋月国奇譚』湖を紅い葉っぱが覆っている。ある若武者との悲恋で尼となった女性の髪であるという。むかしのことだ #ブンゲイドンジャラ #秋 #マイクロノベル
— ｙｏｎｏ (@iyono) January 29, 2022
５６🐟 夏 短詩
.
— 𓆞.｡+...𓆟.｡.𓆜.｡+.｡ﾟ𝑯𝒆𝒍𝒍𝒐… (@konosirosan11) January 29, 2022
綴られなかった詩と
崩れそうな言葉の代わりに
花を活けた
水晶に似た、白い。
消えてゆく身体
未来愛したかもしれない何か
精製されて
遠い記憶になりますように
.#ブンゲイドンジャラ#夏#短詩
５７山崎朝日 春 マイクロノベル
#ブンゲイドンジャラ #春
— 山崎朝日 (@mannbou235) January 30, 2022
景色が明るくなってきた。仕事を終え、車に乗り込もうとして空を見ると、彼方の雲に光が残っている。気がつけば、建設中の建物の屋上でも、河川敷の工事現場でも、作業を終えた人々は彼方の雲を見ている。そういえば今日は三百六十六節気の一、「空見」の日だ。
５８山崎朝日 夏 マイクロノベル
一度きりの魔法なのに、冬のウイーンにいる筈だったのに、なんでこんな……って。あなたが悪いんだよ。ラデッキーマーチにトランペットで参加したいかなんて馬鹿な事訊くから。手拍子に決まってんじゃん。トランペットなら智弁和歌山のアフリカンシンフォニーだよって、つい。
— 山崎朝日 (@mannbou235) January 30, 2022
５９山崎朝日 冬 マイクロノベル
夕暮れというのは静かで寂しいものだと、最近の人間は思っているらしい。日が落ちると同時に空を閉じ始めた鵯の聲に、梢は笑んだ。年が明け、本格的に寒くなって、急に数の増えた鵯。けたたましく鳴き交わすその一声ごとに空に薄い膜が降ろされ一日が終わりに近づけば、冬もまた、終わりに近づくのだ。
— 山崎朝日 (@mannbou235) January 30, 2022
６０クモハ Yoh 春 マイクロノベル
うす藍の雪残る中、花びら餅の咲やよし。
— クモハ Yoh＠ドグウずきんちゃん (@YohKumoha) January 30, 2022
枝の高みにヤナギネコの姿が見える夜はなおさら。
銀の和毛をまとったヤナギネコが、ビュ〜ロロロ〜と喉をふるわせて鳴く。
と春が山から顔を出す。
顔を出した春はニタリと笑い、ある時はあっかんべーをし、山の奥に再び姿を隠す。
春は少しずつやってくる。
６１山崎朝日 秋 マイクロノベル
風と笹叢は待ち疲れている。かそけきとわびしきは言い合いを続けていた。どこか秘密めいて小さな生命を想わせる自分に比べてアンタは廃屋感を醸してしまうとかそけきが囁けば、存在自体が消え入りそうなお前より自分の方が確かだとわびしきが呟く。どっちでもいいけどねと光は地面で体を丸めた。
— 山崎朝日 (@mannbou235) January 30, 2022
６２すい 秋 短詩
「九月」
— すい (@jade_902) January 30, 2022
離反の夢を追うばかり
君影に縋れども
重き身体と嘯きながら
軽き命を甘く咬む
目先(まなさき)は赤く
胸内は黒く
指先は白く
心底は蒼く
成さぬ言葉の羅列を裂いて
君影を抱(いだ)けども
浅き自傷を徒に
深き血を噴く痛みも知らず
#ブンゲイドンジャラ #詩 #秋
６３ツキヒホシ 春 マイクロノベル
その頃、母は私の手を引いてよく夜の散歩に出た。ぼんやり大きな月を見上げては朧月夜を歌っていた。田舎の田んぼにはレンゲが咲いていて、月明かりにも、他の地と違うことが分かった。レンゲが咲いているのは休耕地なのだという。今は休耕地だらけなのに、レンゲはどこにもない。母は、もういない。
— ツキヒホシ (@blackbird828) January 30, 2022
６４ツキヒホシ 夏 マイクロノベル
蜩が鳴くと夏休みが終わりに近づくから嫌だった。それなのに、お盆前でも秘境と呼ばれる伯母の家の辺りでは一日中鳴いている。檜ばかりの山道を、場違いないろのサンダルごと湧き水に洗われながら転がるように降りて行く。川の水音が近い。今日こそは向こう岸の岩へ行く。翡翠色の淵を渡るのだ。
— ツキヒホシ (@blackbird828) January 30, 2022
６５すい 春 短詩
「桜吹雪に時を見た」
— すい (@jade_902) January 30, 2022
心臓をこじあけて
血のにおいをかいだ
哀しみは置き去り
桜吹雪に時を見た
嘘を重ねて造った城に
ああ あの子が帰ってく
真実が痛すぎて
自ら盲いて帰ってく
誰と別れたか
もう忘れた
祈りはみじめったらしい
桜吹雪に時を見た
#ブンゲイドンジャラ #詩 #春
６６ツキヒホシ 秋 マイクロノベル
図書委員長と副委員長は、分かりやすい二人だった。共に学年一位二位の秀才で、読書家だった。学校にはろくな蔵書がなかったが、木の葉の色が小口と同じになる頃には、時間も黄金色に微睡んだ。彼は、自分の価値がわかる女として彼女を見ていた。その観点を彼女は見抜いていた。葉は音もなく落ちた。
— ツキヒホシ (@blackbird828) January 30, 2022
６７ツキヒホシ 冬 マイクロノベル
夜になると、彼女は母屋から小さな離れへと戻っていった。足の立たない子を抱いて、姑からやっと逃れて、僅かな距離をずしりと握る。その夜、雪が舞った。これは自分をどこかへ連れていってはくれまいか。目を上げるとら虚空からは別世界への扉が見えた。吹雪けばいい。何を叫んでも聞こえないほどに。
— ツキヒホシ (@blackbird828) January 30, 2022
以上、６５作品＋心労の２作品例示でした。
(2022年１月３１日0:２５誤字修正を含め最終編集)
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