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徒然コンテンツ評⑤『ぼっち・ざ・ろっく!』を深堀りすればThe Beatlesまでたどり着く

 おめぇは何度休んでいるんだという話は聞かなかったことにします。さ、じゃあ早速やるか。

 今回は巷で流行りの『ぼっち・ざ・ろっく!』について話していく。といっても、自分はまだ数話しか観られていないので、今回は総評というよりは、もっと音楽が楽しくなるような話をしていく。是非、アニメの世界をきっかけにして、洋楽邦楽の垣根を越えて素晴らしい音楽に触れてほしい。

1.直接の影響元

 『ぼっち・ざ・ろっく!』は女子高校生である後藤ひとりが、バンド活動を通じて他者と心を通わせていく物語である。この話には、直接のオマージュとなったバンドが存在する。それが、『ASIAN KUNG-FU GENERATION』、通称アジカンだ。

 例えば、メンバーの名前。『ぼっち・ざ・ろっく!』の作品内で結成された『結束バンド』のメンバーは後藤ひとり、喜多郁代、山田リョウ、伊地知虹夏の4人。一方で、アジカンのメンバーは後藤正文、喜多建介、山田貴洋、伊地知潔の4人。苗字が同じである。『結束バンド』はボーカルが喜多ちゃんでリードギターがぼっちちゃんなのに対して、アジカンはボーカルが後藤さんでリードギターが喜多さんという違いはあるが。

 他にも、最終話では『転がる岩、君に朝が降る』という曲が流れたそうだが(まだそこまで観られていない)、これはアジカンの曲である。

 めちゃくちゃいい曲。是非、こういうところからアジカンを知っていってほしい。アルバムなら、『ソルファ』がおすすめ。1曲目からかっこいい。ただのパワーコードの簡単なフレーズなのに、これほどまでかっこいいのかと思わせてくれる。


2.さらに派生して聴きたい -カジュアル編-

 さて、ここからはアジカンから派生して聴くことができる様々なアーティストや作品を紹介していく。

 アジカンはその昔、対バンツアーを行っていた。知らない人のために解説すると、対バンというのは複数のバンドが1つのライブを行う形式である。フェスの小さいバージョン、とでも思ってくれればいい。

 アジカンが行っていた『NANA-IRO ELECTRIC TOUR』は、アジカンの他に『ELLEGARDEN』、『ストレイテナー』の2バンドが参加していた。同年代であり、大人気だったこの2つのバンドからまずは追ってほしい。

 まずは『ELLEGARDEN』、通称エルレから。2008年から2018年まで活動を休止していたバンド。最近、待望の活動再開となった。ボーカルの細美さんの熱くてギターロックとの相性が抜群な声が素晴らしい。そんなエルレで是非聴いてほしいのは『RIOT ON THE GRILL』。自分が高校生の頃、友人におすすめされて聴いてヘビロテしていたアルバムだ。

 曲でいうと、『風の日』あたりがおすすめかな。直球なロックで、彼らの音楽の真髄がわかるだろう。


 では、もう一つのバンドである『ストレイテナー』、通称テナーを紹介する。彼らはアジカンやエルレと比較して、よりオルタナティブでノスタルジックな雰囲気が漂う。直球勝負、というよりはテクニカルなイメージ。そんなテナーのおすすめアルバムは『COLD DISC』。有名な曲ではないけど、『Force』という曲がおすすめ。他にも、シングルカットされた『シーグラス』も彼らの味全開の作品。

 有名な曲だと、『Melodic Storm』かな。当時、まだテナーは3人組。リードギタリストが加入する前の曲だが、勢いもあって未だにライブで多く演奏される彼らのキラーチューンだ。

 このような形で、カジュアルな部分だけでもこんなに色々なアーティストを知ることができた。次の章からはさらにディープに派生していく。

3.さらに派生して聴きたい -ディープ編①-

 エルレやテナーを知ったら、さらにこのバンドも知っておきたい。『Nothing's Carved In Stone』、通称ナッシングスだ。エルレのギタリストである生形真一さんと、テナーのベーシストである日向秀和さんが中心となって立ち上げたバンド。彼らはよりスタイリッシュに、よりディープにといった作風で、随所にミクスチャーロックとしての幅広さが垣間見える。そんな彼らのおすすめアルバムといえば『REVOLT』だ。アニメ『PSYCHO-PASS』のOPとしても知られる『Out Of Control』を始めとして、引き出しの多さを感じさせられる彼らの傑作。

 代表曲としては、『Spirt Inspiration』かな。生形さんのギタープレイの美味しい部分が随所に味わえる。てか本当にかっこよすぎなんだよなぁ(思わず出る本音)。


 この『Spirt Inspiration』は、実は大手ギターメーカーであるGibson公式YouTubeチャンネルで演奏されている。本家とは違い、インストバージョンだ。

 このインストバージョンで、生形さんと演奏しているのが、『The Yellow Monkey』、通称イエモンの菊地英昭さんである。ということで、是非イエモンも聴いてほしい。アルバムは、『パンチドランカー』をおすすめしたい。当時、人気絶好調で過密スケジュールの中制作された作品だが、そうとは思わせないほど聴きごたえのある作品に仕上がっている。

 曲だと、『パール』をおすすめしたいかな。数年前に、Mステで披露した曲。強く訴えかける吉井さんのボーカルが突き刺さる。


 さて、エルレまで戻って、もう一つバンドを紹介したい。『the HIATUS』だ。2008年に活動を休止したエルレに代わってボーカルの細美さんが立ち上げたバンドだ。エルレの時とは違って、こっちはもっと複雑な音楽が展開される。ストリングスも多いし。アルバムは『The Afterglow Tour 2012』を挙げておく。これも高校時代に友人からおすすめされた作品。ライブの彼らの熱が伝わる。エルレ時代を彷彿とさせつつ、さらに進化した音楽像を投げかけた『ベテルギウスの灯』がイチオシ。 

 代表曲なら『Horse Riding』をおすすめしたい。全体的にエルレの頃よりもドラムの重心が下にいったというか、重たい音が増えたように感じる。

さて、少しディープに語りすぎてしまった。②ではついに洋楽に踏み込んでいく。

4.さらに派生して聴きたい -ディープ編②-

 さらにディープに進んでいこうじゃないか。アジカンが直接の影響元と語っているバンドがある。それが『Oasis』だ。彼らの曲を是非聴いてほしい。アルバムは『Morning Glory』がおすすめ。哀愁漂う屈指の名曲である『Wonderwall』を始めとして、90年代最高のアルバムと言われても文句なし。全ロックファンはかじりついて聴け!この領域に集いし、一騎当千万夫不当のえいr

 彼らの曲、というかカバー曲なのだがおすすめは『I am the Walrus』だ。リアム・ギャラガーの渋い声が曲にマッチしている。


 なにを隠そう、この『I am the Walrus』のオリジナルが『The Beatles』だ(激遅タイトル回収)。大変お待たせしました。まずは原曲を比較して聴いてもらおう。

 ロックの祖ともいえるバンドについておすすめのアルバムなんで全部に決まっているだろ!という感じなのだが、それではあまりにも身も蓋もないので、ここは『Abbey Road』をおすすめしておく。

みんなここに行って写真撮っているよね

 はい!みんな見たことあるでしょこのジャケット!そうですそれの元ネタであります!後半のメドレーは音楽の歴史すべてを通しても名作と胸を張って言えるし、前半も『Come Together』や『Here Come the Sun』など、ド級の名曲が控えている。これで最高傑作と紹介すると賛否両論になるのが『The Beatles』のやばすぎるところ。末恐ろしい。


 さて、最後は『転がる岩、君に朝が降る』という曲名からだ。転がる岩、英語にするとローリングストーン。ということで、『The Rolling Stones』も聴いてほしい。黒人音楽であるブルースを白人も演奏するんだ!と意気揚々で挑んだ彼らだったが、本場のブルースにはなれなかった。代わりにロックというあまりに大きなジャンルを産み落としたが。そんな彼らも名作揃いだが、ここは『Let It Bleed』をご紹介しておく。押しも押されぬ最強のナンバーである『Gimme Shelter』を始め、ルーツむき出しの『Midnight Rambler』など、最高のストーンズ体験ができる

 シングルなら『Paint it, Black』を紹介しておこう。もしかしたら、なんか聴いたことある!と思うかもしれない。ここまで全部聴いてくれたキミ、最高だ。飛ばし飛ばし見たキミも最高だ。


5.言いたいこと

 さて、ここまで『ぼっち・ざ・ろっく!』からこんなところまで旅してしまったわけだが、ここまでの話はいかがだっただろうか?退屈に感じてしまう方も多いだろう。しかし、「あ、なんかちょっと面白いな」であったり、「全部はハマれなかったけど、この曲は面白いかも!」といった気持ちがもしあったら、その気持ちを大切にしてほしい。それが音楽をDigる楽しみの第一歩である。

 ここからは自分の体験談を語る。自分は昔、とあるニコ生を見ていた時に、そこでかかっている音楽が気になった。聞くところによると、それは『スピッツ』の『スパイダー』という曲らしいとわかった。そこから彼らの音楽を聴きまくった。そしてふと思った。「こんな素晴らしい音楽はどのようにして生まれるのだろうか」と。疑問に思ってWikipediaを見ると、『ブルーハーツ』というバンドから影響を受けたらしい。こうして『ブルーハーツ』も聴くことになった。

 かくいう自分も、このようにして音楽の聴く幅をどんどん広げていった。「坂本真綾さんが好きだから、物語シリーズも黒執事もエスカフローネも桜蘭高校ホスト部も見よう!」と同じノリである(これも完全に自分語り)。音楽は点ではなく線である。それぞれのアーティスト同士で互いに影響を受け、影響を与えという相互関係を常に繰り返している。直接的にしろ、間接的にしろ、これは覆しようもない事実である。それならば、ルーツや関連するものを知っていた方がより楽しい。もちろん、予備知識がないからこそ楽しいこともあるが、予備知識が増えると物が豊かに見えるということがこの事象でわかってもらえたら嬉しい。そして、一人でいいから音楽を聴くのが好きになる人が出てくるのを願ってやまない。

6.まとめ

 一気にこの記事を書き上げて疲れた…。みんな、音楽はいいぞ(雑)。次回は本当にそろそろスピッツのライブについてまとめるから待っててー。ではではー。

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