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Bang Boo Race

ホントに俺じゃないとダメか、ともう一度パンダに訊いた。

「いやぁ、だってボク、踏めないし」

パンダは照れたように言う。まだ一回も運転したことないんだぞ、と喉元まで出かかった。パンダは自分の足で歩いたことすらないのに。

目の前には完成した手製のホーバー(※浮遊二輪車のこと)が置かれている。キーを捻れば起動してふわっと浮くだろう。ペダルを踏めば進むだろう。この埃臭い倉庫で何度も点検したからわかっている。

「ボクがハンドルで運転して、縞田がペダルで走らせる。大丈夫だよ、問題ない」

車椅子の上、アザのある左目で、アザのない右目で、パンダが微笑む。

言ってしまえば、パンダを不憫に思って協力してただけだった。学校でいつも蛇岡たちにいじめられて、無理に笑うパンダが可哀想なだけだった。

そう、この機体で、しかも二人乗りで、ホーバーのレースに出るなんて、これっぽっちも考えてなかった。

白状すると、俺はスピード恐怖症なんだ。


【続く】

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