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写真と時空(とき)

写真は芸術です。
でも、油彩や水彩画のような絵画とは少しばかり異なります。
写真機というもの、即ちカメラは、とても面白い道具です。
あなたがシャッターボタンを押した瞬間、あなたの方向へ向かってレンズに飛び込んできた光の粒子を捉える機械、それがカメラです。
光を捉える機械ですよ!まるでSFの世界の道具のようです。

実際、カメラはとても不思議な道具です。
何しろ今述べたように、その瞬間の光の粒子を捉えて記録する道具なのです。
シャッターを切った瞬間から、あなたの目の前にはシャッターを切った「後」の世界が広がり、そしてカメラの中にはシャッターを切った「瞬間」の世界が捉えられるのです。
何を当たり前のことを言ってるんだ!?と思うかもしれません。
しかしよく考えてみてください。
つまりこれは、人に過去の世界を見せることが出来るようになったということです。これは驚異的に凄いことですよ。
そして同時に、時空(とき)を止めた世界を見ることが出来るのです。
もちろん、厳密にはシャッター速度というものがあって、シャッターが開いている間の時空を圧縮して止めるということになります。

最新の物理学では、時間の概念や取扱いを論じ、タイムマシンは出来るのか?未来には行けるのか?過去には戻れるのか?そういったことを日夜まじめに研究しています。
それでもそれは途方もない研究であり、進めば進むほど訳の分からない、大変な研究です。
時空とは何なのか、誰もその本質を突き止めたことがないのに、カメラは既に200年近く前から時空を止めた世界を見ているのです。

カメラは時空を止めて、その瞬間を記録し、そして人に過去を見せることを可能にしたのです。

旅でカメラを使って写真を撮る。
これは時空を止めて、あなたの過去を記録することなのです。
その時、その瞬間、その場所に、あなたが確かに存在して、あなたが生きていた証拠、それがあなたの写真なのです。
不思議ですよね。

さあ、それでは旅に出て、時空を止めに行ってみましょうか。

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