見出し画像

身近な虫を撮る方法。自粛生活下で、マクロ撮影に挑戦してみた。 #14

こんにちは。前回更新から早一ヶ月。皆様、長い自粛生活をどうお過ごしでしょうか?僕もずっとひきこもりですが、そろそろ季節の進みに焦りを感じつつ、自らの体調を整えつつ、撮影に出ることも考え始めております。

さて前回記事では、「自粛生活下で出来る撮影」について考えてみました。

▽ 前回記事はコチラ ▽

その中でも、この一か月間、家の庭や、近くの草むら等、人と接触しない近場をフィールドにして、マクロレンズを使った撮影を行ってきました。身近な虫や花の撮影が主になりますね。なかでもテントウムシやアリなど、1cmに満たないような小さな被写体が多かったように思います。今回はどのようにしてそういった小さな被写体を撮っていくのか、併せて機材や撮影法についてもお話してみたいと思います。
…とはいえ、マクロ撮影に関して、僕はまだまだ経験不足。知識・技術共に、至らぬ点も多いですが、一緒に始めていくようなつもりでご一読いただけると幸いです。

■ マクロ撮影のボケはすごい。

機材のお話の前に、ひとつ確認しておきたいこと。があります。
高倍率(とっても大きく写す)のマクロ撮影でまず頭に入れておかなければいけないのは、被写体が非常に近いので"めちゃくちゃボケる"ということです。まぁはっきり言って、ボケ過ぎるんです。

画像1

小さな花をマクロで撮影してみました。かなり被写界深度が浅い(ピントが合う層が薄い)のがお分かりいただけると思います。これ、絞りいくらで撮っていると思いますか?実はF8です。普段の撮影ならば、ぼかしたくない風景とかで使うような数値ですよね。これ以上被写界深度が浅いとピントを合わせるのが難しい。スナップやポートレイト等の普段の撮影なら、どうやってボケを作るか、というところに留意する場合が多いですが、逆に被写体をしっかり写すために、いかにボケさせないかを考える。マクロ撮影はそんな世界です。

画像2

植物の樹液(?)を摂るクロオオアリです。蟻としては大型の種類ですが、それでも1cm程度。この写真の絞りはなんと、F36。ちなみに、ちょこまかと歩き回る被写体なので、シャッタースピードは1/160秒です。F36なんて、普通の撮影ではあまりお目にかかれない数値ですよね。時にはボカすこともありますが、僕は小さな虫の撮影では、明瞭に写すために極力絞り込んで撮影しています。

■ 光の量と拡散が、特に大切。

ピントが浅いので、とにかく絞る。そんな風にして撮っていると、絞り込んだ分、取り込める光の量は減ります。だから日中でも「もっと光を!」ということになるわけです。『マクロ撮影にストロボは必須』と言われる理由はここにあります。F36だったら、ISO感度をある程度上げても、晴天下でもまったく光量不足になってしまいますからね。
それからもう一つ課題があります。それは光を拡散させることです。これはそんなに難しい話ではなくて、マクロ撮影って、被写体にめっちゃくちゃ近づいて撮影しますよね。だから、例えばカメラの内臓ストロボで撮影すると、カメラボディやレンズの先端がストロボ光を遮って影になってしまうのです。だから、光を広げて被写体にまんべんなく当たるようにしてあげなければならない。
例えばレンズの先端に装着するマクロ専用のストロボというのもあります。これならボディやレンズに遮られることなく被写体に光を当てることができますが、なかなかに高価です。それよりも簡単な方法は、デフューザーという半透明の板のようなものをつけて、光を拡散する、というもの。後述しますが、携帯用の小さなソフトボックスなどがお薦めです。

さて、では機材について少しお話してみましょう。

■ マクロレンズとストロボ

まずはレンズ。ウチにあったマクロレンズはこのレンズです。
僕の撮影ではさほど使用頻度の高いレンズではありませんでした。
今後、水中の撮影を進めていくうえで使用頻度は上がると思うのですが、
まさかこんな形で活躍することになろうとは…。
それからもう一つ、ストロボです。僕はクリップオンストロボを使用しています。初めは普段の撮影にサブで使っている純正のSB700をメインに使っていました。

これは非常に使い易いストロボでお進めなのですが、僕の場合、昆虫を撮影するときは光量はオート(TTL)で、ガリガリに絞って何枚も撮影することが多いので、フル発光を連発してしまい、ストロボに負担が大きいかなと、安価な、非純正のストロボに替えました。消耗品という考えですが、今のところは故障もせず、問題無し。性能に差があり、チャージに時間がかかって連射に足止めがかかったりはしますが、まぁ普通に使えています。

注意点ストロボはフル発光を続けると負担がかかるので、大切に使いたい人は、マニュアル発光で光量をコントロールすることをお薦めします。

それから、気軽に始めたい方、ストロボ持ってないよ、という方、内臓ストロボでもOKです。その場合については後述しますね。

■ クローズアップレンズ・テレコンで倍率を上げる

私が使っているマクロレンズの最大撮影倍率は1.00倍。テントウムシの様な1cmに満たない虫をファインダーいっぱいに写すには、足りない撮影倍率です。その場合、クローズアップレンズをレンズの先に装着して撮影倍率を上げます。本来は、標準的なレンズに装着してマクロの様に写すものですが、マクロレンズに装着して倍率をさらに上げるという使い方もできます。ちなみに私が使っているのはRaynoxというブランドのものです。他にはケンコーなども発売しているようです。ちょっとこれは試してみたいなと個人的には思っています。

画像4

△ 105mmマクロレンズ+クローズアップレンズ △

この写真は、マクロレンズ+クローズアップレンズで大きく写したナミテントウ。目が複眼になっている様子まで写っています。F値は40。
もうひとつ、マクロレンズに装着可能なテレコンバーターをお持ちの方は是非試してみてください。最短撮影距離が変わらないまま、大きく写せるようになります。これもマクロ撮影には有効です。(メーカーによっては望遠レンズにしか付けられないテレコンもあるので、要確認です)

画像6

△ 105mmマクロレンズ+1.4倍テレコンバーター △

■ デフューザー

画像10

室内で使うわけではないので、コンパクトに、持ち運びできることが重要です。クリップオンストロボ用のミニサイズのソフトボックス(上写真)や、レンズの鏡筒に装着するタイプ、Kenkoの影とりなどが適しているかなと思います。影とりは見栄えはちょっとカッコ悪いけど 笑)、使い易くてお薦めです。僕はマクロ撮影以外でも、お仕事撮影で普通に使っています。

画像7

ハエトリグモ。頭部や身体の下に出る影の柔らかさも、写真の雰囲気を左右します。よくみると、この小さな瞳にも、僕のカメラのデフューザーが写りこんでいます。1cmに満たない被写体にも、ポートレイト撮影でいうキャッチライト(瞳に光が映りこむこと)が存在するんですね…。

画像11

また、甲虫類はけっこうツヤっとしているので、強いストロボ光がギラギラと反射してしまうことも多いです。上の写真は、かなり大きく撮ったナナホシテントウ。頭とその上の胸部付近に光が強く当たりすぎて、白飛びをしてしまっています。こういった場合は、さらに光を柔らかくするためにデフューザーの使い方を工夫します。これは僕にも、まだまだ正解はわかりませんが、マクロ撮影の、ひとつの肝と言える部分なのかも知れません。
僕の場合、光の周りをさらに柔らかくするために、デフューザーの角度を変えたり、重ねて使ったりと試行錯誤しています。うまく良い感じに光が回れば嬉しいものです。この辺も、ぜひトライしてみてくださいね。

画像5

先ほどのナナホシテントウと比べて、すこーし光が柔らかくなったような…。自己満足でしょうか。笑)

■ 高画素機やセンサーの小さなサイズのカメラを使う

最後にカメラのボディについて。マクロ撮影にはボケさせない工夫が必要、ということを述べましたが、これを逆手に取るとボケが少ないセンサーサイズの小さなカメラはマクロに有利ということになります。同じレンズでも、大きく、ボケを少なく写せます。フルフレーム(フルサイズ)に較べて、APS-Cやマイクロフォーサーズのカメラは、マクロ撮影では有利と言えるでしょう。そしてもうひとつ、高画素機を使うという手もあります。これをクロップモードで小さくして使う。高画素機なら、クロップ(データを切り取ること・トリミング)しても画素数は十分です。僕は昆虫写真にはニコンのD800Eを使っています。(いい加減買い替えろよという声も聞こえてきそうですが…笑)3630万画素のモデルですが、これを1.2倍クロップモードで撮影しています。最初からトリミングした状態で撮影するようなものですね。ちなみに1.5倍モードで撮影すれば、APS-Cで撮影するのとボケ具合や撮影倍率は同等になり、高画素機なら、クロップしても画素数は十分です。

■ マクロレンズが無くても、まずはクローズアップレンズ+影とりで始めてみよう

画像8

△ NikonD40 + 50mmF1.8 + クローズアップレンズ + 影とり △

マクロレンズもクリップオンストロボも高価です。
お持ちでない方は、まずは標準レンズ+クローズアップレンズ+デフューザーで始めてみる、という手もありますよ。撮影倍率はそこまで大きくはできませんが、立派にマクロな撮影が可能です。上の写真は、APS-Cのカメラに50mmレンズにクローズアップレンズを装着、内臓ストロボ+影とりでの撮影です。非常にコンパクトな機材(下写真)ですが、これで充分、昆虫撮影を楽しめると思います。それにしても…D40。懐かしいですよね。良いカメラです。

画像9

こちらに向かって伸びている白い物体(笑)は、レンズに装着したデフューザー、影とりです。この方式なら、クリップオンストロボじゃなくても装着可能ですね。

注意:Kenkoの影とりには2020年5月現在、サイズが2種類あります。
クリップオンストロボにはJUMBOサイズがお薦めです。


いかがでしたでしょうか…。
機材の話だけで結構な文字数になってしまいました。
今回はなんか、ちょっと小難しい話になっちゃいましたかね…。

ストロボを使うので、露出の話などややこしい所はありますが、身近な昆虫の撮影、被写体探しは肩の力を抜いて楽しむことができます。テントウムシやアリはアブラムシも絡んでくると、色々なやりとりがあって見ていて楽しい。そんな自然写真の楽しさの芯の部分のお話も、またこのマガジンで出来ればなと考えています。
肩の力を抜いて、まずは足下の楽しい被写体を探すことから。皆さんも是非一度、トライしていただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


更新情報はツイッター・フェイスブックで随時配信しています。
フォローしていただけると嬉しいです。
■ twitter @sinh11  ■ facebook
■ マガジン 自然写真家のnote
▼ 前記事 ▼
自粛下で出来る"自然写真"を考える。



この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

いただいたサポートは、旅費や機材など新しい撮影活動の資金とさせていただき、そこで得た経験を、またこちらで皆様にシェアしていきたいと思います。

励みになります!
46
二神慎之介 / 東京/道東。写真撮り。映画『草原の椅子』から写真の途に。 現在はヒグマを中心とする野生動物を被写体に活動中。 http://www.sinh11.com/

この記事が入っているマガジン

自然写真家のnote
自然写真家のnote
  • 15本

ヒグマや漁師... 野生動物や自然に関って生きる人達を撮影する二神慎之介の思うこと、自然観、撮影活動について エッセイ形式で綴っていきます。

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。