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落語を撮らせてもらってます。

上のカバー写真。
今月閉店した銀座最古のキャバレー『白いばら』での
独演会のワンシーン。演じたのは『艶話』。
手元だけでなんだか女性っぽいって思える。
そういう所作をファインダー越しに見つけると
噺家のすごさっていうか、落語の奥深さを感じさせられる。

白いばら、の話は、まぁまた別の機会に譲るとして、撮影の話。
落語家『立川志の春』を撮らせてもらうようになって今年で3年目。
僕の2018年の重大目標のひとつが、彼の良い写真を撮ること。

高座での落語家の撮影は、距離や角度に制限がある。
舞台の袖から、つまり噺家の横顔を撮るというのが一般的なのかな。
僕の場合、野生動物の撮影機材である望遠レンズを使って
客席の最後尾から『正面で撮る』、というところから始まった。

最初に立ちはだかった壁は『音』。
古典落語は特に、という印象なんだけど
噺家が良い表情をするときはシーンとする場面も多い。
一眼レフのシャッター音は静かな会場に思ったよりも響くもの。
僕はすぐさまカメラメーカーのプロサポートに相談し
消音カバーを試した。その後も試行錯誤あって、
だいたい音を抑えることには成功したけど、
今回のミラーレスの導入で、さらに幅が広がるだろうと思う。
望遠は信頼性の高い一眼レフ、近距離は身軽なミラーレスで
今後は撮影していくつもりだ。
撮影の角度が制限されるだけに、常に違うアングルを探し続けることも
撮り手として常に意識しておかねばならないことだと考えている。

ファインダー越しに噺家の表情を覗きながら、
僕は徐々に落語の世界そのものに魅せられてきたように思う。
舞台の袖から息をひそめて眺める世界…
緊張と安堵、控室や舞台袖に戻ってくるときの彼の表情…。
『立川志の春』の仕事は、見ていてとても面白い。
撮影者としてこんなに楽しい仕事はないだろう。

今年、彼は真打挑戦を宣言した。
その横顔を、撮り手としてどこまで追わせてもらえるか
わからないけど、今からとても楽しみだ。
真剣勝負の彼の仕事を、こちらも真剣勝負で追いかけていきたい。


そんなわけで、明日も撮影に伺います。
日比谷コンベンションホール 大ホールでの独演会
◆1月17日(水) 19時15分開演 (18時45分 開場)
https://goo.gl/FoN6sW

皆さんもぜひどうぞ。 :)




Nikon D5 + AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II
Ginza, Fukagawa, Kanto Japan 2017.

いただいたサポートは、旅費や機材など新しい撮影活動の資金とさせていただき、そこで得た経験を、またこちらで皆様にシェアしていきたいと思います。