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『学校をUpdate!Web3時代の教育を考える』礒津政明×夏野剛×中島聡 連載対談1.Webの世界も変革期、2040年の教育はどうなる?!

2022年6月21日(火)に開催された、ソニーグループ教育部門トップで、メタバース・AI・ブロックチェーン・AR/VRを活用した未来の教育を提案する礒津政明氏を招いて、オンライン教育の最先端を行く学校法人角川ドワンゴ学園理事の夏野剛と、高専を活用した世界で通用するソフトウェア養成学校を提案する中島聡が教育について議論を交わした書き起こしです。

『学校をUpdate!Web3時代の教育を考える』
1.Webの世界も変革期、2040年の教育はどうなる?!
2.あらゆるものがオープンになる時代の教育とは
3.ミライの教育、先生の役割とは?
4.学びの多様性!学びたい時に学ぶことができる環境が大切


1.Webの世界も変革期、2040年の教育はどうなる?!

司会:大変お待たせいたしました。さっそく、本日の主役のお三方をお招きしたいと思います。一般社団法人、シンギュラリティソサエティ代表理事の中島聡さん。共同発起人の夏野剛さん。そして、本日のゲスト株式会社ソニー・グローバルエデュケーション会長、教育フューチャリストの礒津政明さんです。こんばんは。

一同:こんばんは。

司会:よろしくお願いします。

一同:よろしくお願いします。

司会:中島さんと夏野さんとの対談は、前回が4月4日ということで、約2ヶ月半ぶりですが、近況や気になることありましたら、教えていただけますか。夏野さん、いかがですか?

21世紀に起こってしまった「戦争」について考える 

夏野氏:前回に引き続きなんですが、21世紀のこんな時に、ウクライナでああいうことが起こる。これはショックです。僕も衝撃からまだ立ち直っていなくて。21世紀にもなって武力による国境変更みたいなことを平気で、しかも、常任理事国のロシアがやってしまうという。しかも、それに対して世界中が何もできない。事実上何もできてないということについて、21世紀、この2022年を契機に、20世紀に逆戻りしてしまった感覚があって。この後遺症は、恐らく最低30年、長ければ70年ぐらい。つまり、22世紀になるまで引きずってしまうようなことが今起こっていると感じていて、けっこう衝撃を受けています。

司会:ありがとうございます。学校現場からも、平和教育を何とか進めていきたいというお話をたくさん頂くので、そういうところも今日、少しお話しできれば現場としてはとても嬉しいと思っています。

夏野氏:まさにそうで、特に日本の子供たちにとって、こんなにいい教材はないです。というのは、ウクライナの人には本当に申し訳ないのですが、日本に差し迫った危機、危険がない中で、これだけの情報が現地から出てきて、感情とか、思いとか、情報を共有できるという機会を教育にどれだけ生かせるかというのはものすごく大事なことだと、僕は思っています。

司会:そうですね。この出来事をウェブリテラシー・メディアリテラシーだけじゃなくて、様々な子どもたちの今後の大きな教材にしていかないと、いけないものだと私も思っています。

夏野氏:正直言ってしまうと、今、「ここから先は危険な刺激的な映像が出ます」とか、あるいは、全ての視界にはモザイクをかけているというのも、本当にいいのかどうかというのは、今日、ぜひ皆さんと議論したいと思います。

WEBの世界も10年に一度の変革期「Web3のスマートコントラクト」とは

司会:分かりました。ありがとうございます。中島さんはいかがですか?

中島氏:僕個人にとってここ2、3ヶ月は、けっこう大きかった。というのは、10年とは言わないまでも、6、7年のサイクルで、この技術は面白いから自分で思い切り時間をかけてみよう、みたいなものが現れて、それに一生懸命になるんです。エンジニアのキャリアとして。それが久しぶりに起こった感じです。
 それがWeb3なのですが。暗号通貨で起こっていることはよく知っていて、僕は割としょうもないと思っていたんです。マネーゲームだから。ということで割と冷たい目で見ていたのですが、最近面白いと思ったのは、DAOという仕組みです。それがすごいのか、すごくないのか、外にいると分からないわけです。なので、一度中に入ってみようと思って、Nouns DAOというDAOの中ではもっともDAOらしいDAOの中に入って経験したんです。いろいろいい学びはあったのですが、そんな中で技術の勉強をしないとちゃんと分からないので、DAOを動かしているスマートコントラクト、NounsDAOはNounsDAOで自分たちのスマートコントラクトのアプリケーションを持っているので、それを読むための勉強を始めて。そしたら、はまってしまって。Web3の世界では、よく不思議の国のアリスに例えて、「ウサギの穴にはまる」と言うのですが、まさにそんな感じで。今、毎日のようにスマートコントラクトを書く人生に変わってしまいました。
 そんな中で、一つ立ち上げたのが、今私のバックグラウンドに表示しているNounsArtFestival(ナウンズ・アート・フェスティバル)っていう映画祭です。

Nouns Art Festival

昔からオンライン映画祭をやりたかったのです。それに向けての賞金を集めるために、NFTを出してやるということを言ったら、日本円で600万ぐらい集まりました。そういうちょっと今までと違う映画祭もやっています。
 一つ気が付いたのは、スマートコントラクトを使ってアプリケーションを世の中に出すという行動は、サーバーがいらないんです。なので、ものすごく今までと違うスケールでビジネスができる。特に、個人レベルの人がすごく出せるんです。ちゃんと説明すると長くなりますが、例えば、普通にサーバーを立てると、そのサーバーってAmazonで立てるなら、Amazonにお金を払い続けない限りサーバーが止まってしまいます。比べると、ブロックチェーン上に出したスマートコントラクトというのは、別にサーバー費用がいらないので、勝手に走り続けてくれるんです。勝手に走り続けるということは、そこに月額課金がいらないということで、誰でもいい仕事さえできれば、その人の仕事がブロックチェーンに残って、動き続けることができるので、これはとんでもない革命だと思いました。じゃあまずは、自分でいろいろなものを残そうという感じで、いろんなプロジェクトをスタートしています。
 僕としては、会社を作ることをしなくても、ビジネスが立ち上げられる。つまり世の中に価値が提供できる時代になったので、そういう生き方や仕事の仕方ができるようになったことを、もっといろんな人に知ってほしいです。

司会:ありがとうございます。私もキャリア教育の授業をすることも多いのですが、いまだに中学生の子たちが、「いい高校に行き、いい大学に入り、大手のホワイト企業に入りたいです。どうすればいいですか?」と言います。中島さんのおっしゃる通り、いろんな人たちが会社を通さずにチームを作って、プロジェクトを進めていくという働き方って、まだまだ日本社会には浸透していない。子どもたちも、そういう未来があるということを知らないまま大学まで行ってしまうのではないかという危機感があるので、教育的な観点から見ても、ぜひそれを広げていきたいと思いました。
 ショートムービー、私も拝見させていただきまして、P&Gさんの、子どもをお母さんがずっと小さい時から見守っているというのは、私も今、小学校3年生と5年生の子どもがいるので、本当にすごく泣きそうになりました。ああいう感動や愛で、心の中に、言葉にはできないけれども、何か湧き上がってくるもの、それを誰かにシェアしたいとか、自分も何か行動したいというようなところに移り、半径5メートルでも変えていけると、すごく世界は良くなるんじゃないかと思いました。
 このコンテストは、中島さんが審査をされるのですか? 

中島氏:そうです。私も審査しますし、寄付をしてもらう形でNFTを発行したので、それを持っている人たちに投票してもらいます。

2040年の教育を考える「学びの将来像」とは!?

司会:ありがとうございます。とても楽しみです。Nouns Art Festival、興味のある人は、ぜひ検索をしてみてください。本日のゲスト、礒津さんはいかがですか? 今回、未来の教育に関する本を出版されるとお伺いしました。

礒津氏:6月29日に、『2040 教育のミライ』という本を出版させていただくことになりました。この本は、「2040年の教育は、こんなふうに変わっているはずだ、変わっていてほしい」と予測と願いを織り交ぜながら書いたもので、教育関連の本としては珍しく、先ほとお話にあったようなWeb3であるとか、メタバース、あとはXRなどの技術と教育との関わりを、わりと技術的な視点で説明しています。もちろん、教育の本なので、詳しい技術のことは書いていませんが、なんとなくさわりが分かるような本になっています。
 それから、あとはプログラミング的思考や、アクティブラーニング、探求型学習とかPBL(プロジェクト型授業)、海外進学など、最近の教育系のトピックも入っていて、我々が考える学びの将来像について、できるだけリアルに紹介したものになっています。ちょうど今Amazonで予約受付中(※現在販売中)ですので、ぜひこの機会にご予約いただけると嬉しいです。

司会:ありがとうございます。私も冒頭の漫画から拝見させていただきましたが、学校現場でWeb3やメタバース等、これだけのキーワードを、あと18年の間に入れて、教育の未来を変えていくにはどんな方法があるのか、私自身とても興味があるので、いろいろ教えていただけたらと思います。

2.『あらゆるものがオープンになる時代の教育とは』に続く



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