対談連載 中島聡×草場 壽一 #2「社会的な活動とビジネスは相容れないんじゃないか?」
シンギュラリティ・ラボは、シンギュラリティ・ソサエティ(代表:中島聡)と未来技術推進協会(代表:草場 壽一)が共同代表で立ち上げたコミュニティです。詳しくはリンク先を御覧ください。今回は、交流会で実施された特別対談の書き起こしを連載でお届けします!
もくじ
前回の配信
配信予定
社会的な活動とビジネスは相容れないんじゃないか?
モチベーション管理とインセンティブ
仲間をみつけるときに意識すること
前回の配信
対談連載 中島聡×草場 壽一 #1「ソサエティを立ち上げた思い」
ソサエティを立ち上げた思い
なぜこういったコミュニティ形式で立ち上げたのか
いまコミュニティがうまくいっている部分、課題だなと思っているところ
配信予定
会員に望むこと
エンジニアから起業家になるには
3Dプリンタは楽しい
新しいことは理解されない
ユーザーとして株を買う
mmhmmにはなぜ猫が映らないのか
ブロックチェーンとNFTの考察
社会的な活動とビジネスは相容れないんじゃないか?
草場:最近、自分中でも課題だなと思ってるのが、ちょっとある方にもご指摘をされて、答えられなかった部分なんですけども、やはりNPO的な活動とビジネスは相いれないんじゃないかと。
意見がわかれるのですが、ビジネスの目的はあくまでも売上を上げていくことなので、NPO的な活動を任意で集まってやる形式は、そもそも難しいんじゃないかって話を最近受けることが何件かありまして、この点はどう思われますか。
中島:割と実験的な話だと思うんですよ。別に会社を作って、そこでフォープロフィットで経営して、フリーランスの人を集めて受けてやるっていうやり方もありますけど、なんていうのかな、実際にビジネスでやりますってなると、本当にちゃんと稼がないとならないじゃないですか。だからそれはそれできつくて、僕は今までいっぱい見てきたけど、そういう受注ビジネスをやってる小さい会社って結構自転車操業状態になるんで厳しくなる。特にみんなフリーランスで働いてくれればいいけど、やっぱ社員とか抱え始めるとすごく重くなって。受注の案件ってのはね、いろいろ増えたり減ったりするので。そうするとだんだん会社の運営は厳しいわ、労働環境も厳しくなるっていう悪循環に陥るので、そういうふうには、僕はしたくないというか、そういうやり方にはあまり関わりたくない。
だからって言ってノンプロフィットでやるのが答えとは思わないんですけど、少なくともそれではない。新しいやり方。
で、NPOは純粋に事務局として存在していて、別に売り上げを求めるわけじゃなくて、目的はフリーランスの人たちが面白いプロジェクトをやるっていう目的のもとに存在しているという形で、やってみる価値はあるんじゃないかなと思うんですよ。だからNPOなので別に儲ける必要はないですよと。
ただその代わり、社員としては雇いませんよという割とはっきりしたスタンスでできるので、実験的ではありますけど、やる価値はあるかなと思ってます。
草場:僕もそう思ってます。そういう伝え方ですね。結構強めに言ってくる方もいるんで、なんていうか、投資家とかビジネスサイドは、言い方難しいですけど、ある意味遊びに見えるって言われることもたまにあるので。
ただ実験的な取り組みっていう部分では、それはある意味当たっていて。
私もこれがうまくいけばいろんな人がいわゆるお金儲けだけに走ることなく、自分の自己実現できることができると思ってるので、やっぱり引き続きこうやっていこうと思ってます。
モチベーション管理とインセンティブ
草場:これは多分プロジェクト立ち上げた側のお話なのですが、モチベーションの部分は、常に課題になると思うのですよ。もちろん自分たちでプロジェクトを立ち上げているので、自分でモチベーション管理をしなさいって話だと思うのですが、やはり普段仕事もしながら自分の時間を作ってやるっていうのは、スタートアップに近いので、なかなか上手くいかないことも多いと思います。そこでモチベーション管理が一つ課題かなと。なかなか人が集まりづらかったりすると、自分でやるしかないってとこがあるのですけど、プロジェクトにいろんな人を取り入れていきたいというところで、ちゃんと実績を見せていく必要があるなと思います。
中島さんの本を読んでいると、ビルゲイツとのやりとりや、彼がいろいろ提案する前に、中島さんがプロトタイプを事前に作っておいて、言われたときには出すっていうスタイルだと思うのですが、中島さんがいろんなものを新しく生み出していくときのモチベーションは何でしょうか。
何回かお話させていただいて感じるのは、やっぱり面白いっていうところがあるのでしょうか、大前提に。
中島:そうですね。面白いっていうのがあるから。僕はテクノロジーが大好きだし、それによって何か今までにないものが作れるのと、それを世の中に出したときには、喜んでくれるし驚いてくれるし、それが一番のインセンティブですよね。
だから多分、僕なんかは、例えばどっかの会社が出してる面白そうなサービスを真似して、うちの会社も作りたいからみたいなのには全然興味を持たないタイプで、これまでにないものを作りたいとか、それはわがままなんですけど、でもわがままでいいと思っていて、結局僕の場合はみんなもそうですけど、モチベーションが高いか高くないかで全然生産性違うので、だったらその仕事を選べばいいわけで、モチベーションが上がる仕事を、と僕は思いますよ。
仲間をみつけるときに意識すること
草場:自分がそのモチベーションに取り組むことに対して仲間を見つけていくときに、何か意識することはありますか。仲間作りってあまり意識されないでしょうか。
中島:するときはっていうか、割と自分が何か熱くなってるものって結構説得力がある話し方ができるんです、自然に。自分が本当にそうだから。ふりしてるわけじゃないのでね。
そうは言っても全員がそれを評価してくれるわけじゃないんですけど、別に共感してくれない人に時間かけてもしょうがない。何人か会ってる中で、かつ優秀な人で、共感してくれる人が出ればもうそこは頑張って釣りに行くという、そんな感じですね。
草場:やはり自分が一番モチベーションを感じる部分ってのはすごく大事ですね。
中島:ほら、よく例えばね、スティーブジョブスのような人は、すごい説得力を持っているじゃないですか。でもやっぱりあれはね、本物なんだと思うんですよ。本当に自分はこれはいいと思ってるから、相手を説得できる。だからその辺はやっぱり意識すると、要は自分自身のモチベーションっていうのが、直接人をリクルートするときに役に立つみたいなことが何かわかってくると、すごく自然にいろんなもの流れ始めると思うんです。そういうのがなくても、その人を説得できる人はたまにいるのかもしれないけど。
テレビショッピングのカリスマみたいにできるのもいいんだけど、普通の人はそういうことはできないので。無理にそれをすることもなく、要は自分が思ってることを熱く語ればいいだけだと僕は思いますけどね。
草場:中島さんがそういうのをもともと自然にやってた形なんですね。
中島:そうです。なので、僕はモチベーションがすごく高くないと何もできないタイプなので、自分が何かやってるときっていうのはモチベーションすごく上がってるんですよね。なので自然と説得力が上がるんですね。だから割と私はそういうことに関しては無理してなくて。
草場:なんとなくわかってきました。
自分のことを、自分自身もよく理解されているかっていうのは、お話してとても感じる部分ではありますね。
中島:そうそう、実はあまり無理してないんですよ。無理とか努力とか。
努力してないって言うと変かもしれないけど、割と楽しいことしかやってないので、側から見るとものすごい時間使って働いてるから、努力するように見えるかもしれないけど、本人は実は楽しんでるだけ、みたいな。そんな感じです。
草場:すごく勉強になります。やはりプロジェクトを立ち上げるときも、そもそもの目的とかがもちろんあるし、しかもそれを楽しめるような工夫もすごく必要だと思いました。
次回は「会員に望むこと/エンジニアから起業家になるには」をお送り予定です。お楽しみに!
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