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『創造的でなければ死んでるのと同じ』  夏野剛✖️松本徹三 対談連載 4.AIの未来、人類を救うのは!?

2021年10月26日(火)に開催された「Invent or Die - 未来の設計者たちへ:第11回 夏野剛 x 松本徹三」の書き起こしです。
通信業界の黎明期に、ソフトバンクとドコモで活躍。現在、日本の携帯電話の礎を作ったと言っても過言ではない二人。夏野剛松本徹三氏が日本の未来に関して議論します。

4. AIの未来、人類を救うのは!?

司会:ここで視聴者からご質問いただいてますので、読ませていただきます。今回のこの『2022年 地軸大変動』の本について。SFといえば、何十年も先の話のイメージでしたが、今回タイトルに2022年とついていて、設定が2022年で驚きました。時代設定の理由を教えていただきたいです。

松本氏:この本では「人類の将来がひょっとしたらこういうものになるんじゃないか」ということも書いていますが、それが実現できているのは異星人の世界なんです。地球人に関係のないところで。だって、地球人は永久にそこまで行けないかもしれないじゃないですか。それまでに滅びちゃって。そういう宇宙人がたまたま地球に来るのは、明日かもしれないし、100年先かもしれない。1000年先でもいい。地球の状態には関係ないんですから。それなら早い方が面白いじゃないですか。だって、来年そういうことが起こる確率と100年後に起こる確率とは似たようなものです。両方とも0.0001%ぐらいだったら似たようなもので、その違いは誤差の範囲じゃないですか。そしたら2022年の方が2050年より面白いですよね。2022年なら、受けて立つ地球人は今のままなんです。今のままでなければ勉強になりませんよ。50年先の人間がどうかとか考えたって意味ないです。
この宇宙人は圧倒的な力を持ってるけど、人類だってそこへはいけるかもしれません。しかし、そこに行こうと思えば、アインシュタインみたいな天才が何百年も努力を重ねる必要がある。そうなると、その間に、いい加減な政治家なんかが間違いを犯して、人類は滅亡してしまう可能性が高い。ですから、人類が滅亡する前に科学技術を飛躍的に発展させるには、AIが自律的にすごいスピードでどんどん自分を進化させていく事に期待するしかないと、僕は考えています。

夏野氏:2022年といえば来年ですよ。

司会:そうですね。それもインパクトが。

松本氏:異星人は実はもう地球に来ているが、各国の首脳にメールを送るのは来年の2月という想定なんですが、その時期も迫ってきましたね。

夏野氏:かなり近い。でも、別に今『2001年宇宙の旅』っていう作品を読んだり、あるいは映画を見たりして、別に2001年って20年も前じゃんって思わないんです。だから、別に。

松本氏:後になって見れば、それは一応古典になるからいいんですけども。

夏野氏:あとはメタファーなんですよね。『2022年』って名付けてるのは、今起こる可能性があることかもしれないっていうふうにメッセージしていて、これが2077年だったら知らんわいっていう話になるわけですよ。

松本氏:その通りです。

人類を救うのは圧倒的な技術力?

司会:私が興味を持っていることで申し訳ないのですが。本の中では、ショルという異星人が他の星から来る設定で、全く人類とは違う設定になっています。これを考えるにあたって何かイメージしたこと、参考にしたものがあったのですか?

松本氏:僕は「今の人類がこのままどんどん行ったらどうなるのか」とまず考えました。9割方は滅びてると思ってます。残念ながら。だって、今の人類は金正恩さん1人コントロールできないんですよ。そもそも、人間っていうのは訳の分からない存在なんです。普通の人でも何やるか分からないし、とんでもない人が権力を持つかもしれないわけです。歴史がそれを示しています。昔はどんなに変な人が権力を持ったって、せいぜい1,000人を刀で切り殺したとか、そのくらいしかできなかったわけですが、今は核がある。そして、もっと怖いのが人工のウイルスです。初めは癌を撲滅するためだったのに、手が滑って変なウイルスを作っちゃって、それが間違って流出してしまったら、あっという間に人類は滅亡します。そういう可能性を排除しながらショルのようになれるとしたら、僕は基本的に『生物としての身勝手な本能や不安定性を持たないAI』に頼るしかないと思ってます。人間じゃ無理だと。そして、現実にそれを達成できたのがこの異星人です。彼らが達成したのは圧倒的な科学技術力ですから、何万光年の先からでも来れるし、地球の地軸もキュッと変えちゃう。

司会:バリア張ったりとか。

松本氏:圧倒的な技術力ですよね。比較にならない。繰り返しますが、人間が普通にトロトロやってたら、そこに行くまでに何かの事故が起こって人類は滅びると僕は固く信じてます。そういう意味では、AIだけが人類を救う可能性があると信じて疑わないです。だから、これからAIをやる人は頑張ってよと。

未来を正面から考える

司会:夏野さんは、これに関してどうお考えですか? AIが人類を救うとか。

夏野氏:すごい恐ろしい、怖いけども真実を言っているのは何かっていうと、科学技術が発展してそうそうのことでは人間は別に死ななくなったわけです。でも、この地球っていう環境の中で生物としての人類っていうのは、他に色々な種があるうちの一つ。ウイルスもその一つだし、それから、別に猿とか他の人もいる中で、種としてどう生き残ってるかっていう生存競争はせざるを得ないんです。でも、そこにヒューマニティとか、かわいそうだから弱者も救わなきゃいけないみたいな発想があって。それ自体は別に全然いいんです。いいんだけど、ちょっとバランスが崩れたらそんなこと言ってられない現実があることを、僕らはどこか心の中に入れておかないといけなくて。

今回のコロナでも、日本ではそれほどでもないかもしれないけど、欧米諸国だとホームレスも多く犠牲になっているわけです。治療も受けられずに。こういうことが現実にあるってことを、どこかで僕らは知った上で、でも、平時はちゃんと弱者も助け合いながら、しかも、公助をちゃんとしながらやっていくんだけど。でも、そんなこと言えない瞬間もどっかにあるっていうことも認知しておく必要性があると思います。
そういうことを真っ向から言ってしまうと、弱肉強食の、強者の何とかって言うんだけど。でも、それが生物種としての我々。そういうところはどうしても生物として持ってる、どうしようもない事実であり、今回のコロナ禍でもそういうことが出てきている。そこでどうバランスを取っていくかっていうことをシミュレーションする。今の状況では全然考えられない状態が起こったときにどうすんのっていう。このSFの役割っていうのは僕は大きいって思ってます。

司会:松本さん、今のはいかがですか?

松本氏:同感ですね。僕も本当にそう思います。もっと考えてほしいんです。きれいごとではなくて。今はみんな、きれいごとで満足しちゃってますけど、本当に追い詰められたらそんな状態じゃないですよ。


5. 知識の幅を広げよう 
に続く。

『創造的でなければ死んでるのと同じ』  夏野剛✖️松本徹三 対談連載1〜7

1. 地獄を知っている二人!?
2. 迷った時は遠を見ろ
3. 海外から見た日本
4. AIの未来、人類を救うのは!?
5. 知識の幅を広げよう
6. 日本の市場と会社の限界
7. 若者よ、会社や社会をハックせよ!


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