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Invent or Die - 未来の設計者たちへ:第四回 中島聡 x 増井雄一郎 書き起こし その9

2018年11月26日(月)に開催された「Invent or Die - 未来の設計者たちへ:第四回 中島聡 x 増井雄一郎」の書き起こしです。
ソフトウェアエンジニアである中島聡と、高校在学中からプログラミングをはじめ大学時代に起業、現在でも第一線で続ける有名エンジニアの増井雄一郎氏がエンジニアの未来に関して議論します。

中島:ちょっと戻すと、シンギュラリティソサエティみたいなところで考えたいのは、そういうその勉強する仕組みだったり、もしくは教育システムだったりっていうのはやっていきたいので。

増井:そうですね。どうやったら、その何をゴールにするかってのが、プログラムを覚えることがゴールじゃないので、プログラムを覚えて何を作りたいかによって学ぶプログラムが違う、それこそ言語が違うのかもしれないし、もしかしたらプログラムじゃなくてエクセルでいいかも知れなくて。

中島:そもそもプログラミングとかを何かが分かってないと、そのプログラマ、例えばある会社として問題があるとかアイデアがある時に、そこにそもそもプログラムが必要。それは自分たちで作れるものなのか、買ってこなきゃいけないのか、どっかに頼むのか、その辺の経営判断すらできないわけです。だからそこくらいはできるようになりたいと思っている人はいると思う。

増井:そうですね、僕のところに来る人も、結構そういうので、外注でお願いしてるんだけど彼らが何をしてるか知りたい、それで自分が勉強したいっていう人がちょいちょい問い合わせがありますね。

中島:外注に頼んでいるのに?

増井:頼んでるので、それを自分でもう少しわかるようになりたいとか、むしろできるようになりたいとか。

中島:ITのことって難しいじゃない、特に経営判断って。僕がブログで Androidをテレビに載せるかどうかって会話のことを面白おかしく2010年くらいに書いたんだけど、僕はその時はシャープかなんかで起こっていることを知ってたからそれを引き合いに出したんだけど、ソニーでも起こっていて、結局ソニーも Androidテレビ出しているんです。散々僕はあの時貶したんだけど、結局ビジョンがないから出ていて、ソニーからテレビとプレステを買って繋いでも、プレステ側の ID と AndroidテレビのID は違うんです。AndroidはGoogle だし、そっちの情報は全くソニーに来ないっていう状況のテレビを売ってるんです。それは本当は、Android を入れるかどうかっていう経営判断の時にしなきゃいけなかったのに、多分その経営者は何もわからず、Android が流行っている、エンジニアに「Androidどうなんだ」って聞いたら「とってもいいOSです」「じゃテレビにのせた方がいいかな」みたいなこと言うと「いいと思います」そうゆうなんか本来の戦略的な会話がされずに。

増井:IT戦略がないからですよね、そこには。

中島:で、それが今ブロックチェーンとAIに起こっているんじゃないかな。今あるいわゆるITゼネコンにとってはすごい儲け話で「あ、お宅のIT戦略は・・」みたいな、IBMとかそれで今もう・・ね。IBMの人がいたら申し訳ないけど、IBMのワトソンっていうのは、あれは本当に宣伝の道具でしかなくて、お客さんに対して「お宅AI必要ですよ」って言ってコンサルでお金をがっつり取って、ひょっとするとワトソンは使うかもしれないけど使わなくても、とにかくコンサルティングフィーだけとればいいみたいなので、それは今AIとブロックチェーンで起こってます。

増井:その二つをやりたいですっていう会社は9割9分カモですよね。

中島:経営陣はなんか言葉だけ知ってるから。

増井:普通に考えれば、ほとんどの会社に必要ないですからね。少なくとも世の中の99%の会社は今の段階では必要ないですね。

中島:プライベートブロックチェーンほど意味がないものはないんだけど

増井:全く意味がわからないですね。

中島:ほんとにプライベートチェーンて売ってるからね。それでビジネスしている人がいて、日本でもブロックチェーンをビジネスに取り入れるっていう会社は15%くらいいて、怖いよね。それは結局ITコンサルティング会社に騙されるだけだよね。

増井:僕はちなみに、トレタの時にやっぱり会社の中でブロックチェーンやった方がいいじゃないのという話があったんですよ、なので、エンジニアの人以外経営層全部含めてブロックチェーンが何をするのかっていう講習を1時間やりました。それ以降二度と出てこなくなりました。恥ずかしいからそうゆうことは言わないでくださいって。

中島:中途半端にわかってるとね。

増井:ほんとに、みんなブロックチェーンとか好きですよね。新しいキーワードって。

中島:申し訳ないのは、僕もブロックチェーンが出てきたときに論文が出てきたときに感動してこりゃすごいテクノロジーって褒めちゃったわけです。

増井:あれはテクノロジー的には僕は素晴らしいと思うですけど。

中島:別にそれは、何に使えるって話はしてないじゃないですか。仮想通貨自身はいいけど、結局バブっちゃってうまくいかないねで、終わっているはずなのになぜかブロックチェーンって技術はすごいだけが一人歩きしてて、その分散だっていうことを忘れてプライベートブロックチェーンとか、ほんとに矛盾してるよね。

増井:思いついた人は、ある意味新しい発明だと思いますけどね。

中島:プライベートブロックチェーンという言葉には要注意ですね。

増井:でも本当に経営の人がわからないと、そういう風になるなるってのは、まぁまぁ大きな一つの弊害ですよね。僕、スタートアップどういう会社がいいですかって言われる時とかに、経営層の近いところにエンジニアリングがわかる人がいないと、多分相当辛い、さっき言ったじゃ自分のミスをすごいするので、転職先として。どうゆう会社がいいですかってときにそこを引き合いに出しますね。

中島:それもあってその経団連とかはすごく心配ですよね。

増井:さっきのNTTの人も書いてましたしね、上の方の人たちが結局エンジニアリングのことがわからなくて、辞める一つに原因って書いてましたからね。

中島:そのそもそもそういう会社が、生き残ることが正しいのか、疑問になってくるよね。例えばハードウェアの会社がありましたと、上の人たちはハードのことをしてきたので、あんまソフトのこと詳しくないわけ、でも本当は今はソフトとハードをうまく組み合わせた会社こそ面白いことができるから、お金もあるしリソースもあるから大チャンスなのに、結局上がソフト分かってないからできないっていうすごいもったいないと状況になってる。ああいう会社を救うべきなのか、もうさっさと・・

増井:僕はさっさと見切りをつければいいんじゃないかと思いますけどね。

中島:でも今日はそうゆう会社からきている人も、いっぱいいるので。

増井:すぐ何社か思いつきますけど。僕は会社はもっと入れ替わってもいいと思っているので。自分は転職もしますし、ただでも会社はもっともっと入れ替わっても、結局会社になってくって、ひとつのビジネスを掘ってくことが多いと思うんですよ。例えばトレタだと飲食の予約管理をしているので、基本的に飲食という軸を縦にずっと掘ってくんですね。いろんな飲食に関するいろんなもの。うちだと予約管理なので、効率的に同じ方向に掘っていくことになることが多いです、そうすると先細りになっていくことが多です。もうひとつだと、横に広げて掘っていくって方法もあるんですけど、ほとんどの会社はそれを取れないので、単純に効率を考えれば広げるよりも掘ってた方が短期的に収益が高いので、そうなったらたくさん会社作っていた方が横による代わり、いろんな会社に作らせて、ある程度伸びたところに投資をするなり、っていう方が理にかなっていて、会社があんまり長く存続するのは、特にこんなに技術の入れ替わりとか社会の入れ替わりが早くなったなら、それだけその会社も同時に早くなるべきだと思うんですよね。

中島:会社の新陳代謝ね。30年前の会社がダメになるのは当然で。

増井:当然だと思います。

中島:そう意味でいうと、実は30年前と今のを比べて大騒ぎしてるけど、実はアメリカの大きな会社もけっこうダメになってるからね。だから、アメリカの場合は新しい会社が生まれてきているから、ランキングがあるけど日本はそこに入っていないという、それだけの話。

増井:そうですね。多分昔のトップの方に出ていたアメリカの会社も、多分今ない会社多いですよね。アメリカで結構大きなとこの破綻とか小売も含めてすごいよく聞きますよね。

中島:コンパックとかHPとかすごいよね。デジタルリサーチから始まって

増井:SUNとか色々なくなってる会社多いですよね。

中島:みんななくなっちゃったもんね。

増井:そうゆう風になるのが正しいと思っているので、そう考えると結局転職せざるを得ないってことは出るので、みんな考えるんだろうなと思うんですけどね、転職のこととか。

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