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OPPENHEIMER/オッペンハイマー


どんな描写なのか興味があり観てきましたが、不倫相手との情事シーンがレーティングの理由のようで、R15+と尺が3時間と長いので配給の調整に時間が必要で、「そういう事」にして宣伝に使ったのかもしれません。

基本的に主人公の人物像を描く事が目的で、専門用語も出てきますが、例えばアイソトープは輸出の話をしているので、良く分からない重要物質としてとらえたりして、理解しやすい何かに置き換えて、前半は主人公がどんな人間なのかの理解(並列時間軸)、中盤は核開発(時間軸は割とリニア)、後半は権謀術数に巻き込まれていく様子(並列時間軸)の3ブロックに分けて、単純化して大枠で解釈しながら、再度見直して理解を深めてゆくと分かりやすいかと。
物理学的素養や当時の歴史的知識はあるに越したことはないでしょうが、要は政治的傾向も不倫も物理学も新型兵器もそれが投下され終戦後に英雄視され拍手の中嫌そうにサービストークをしてしまう描写も戦争も国家も留学時代の失敗やみじめな思いも全て主人公を形取る要素かつ舞台装置だと達観して少し引いて全体を観る事が理解の助けになるでしょう。
並列した時間軸の描写は一見、理解のハードルが上がるように感じますが、良く練られていて、何かの像を複数の面より見る事で脳内で立体的な像として知覚させる手法として、一度ハードルを越えてしまえば逆に分かりやすいように感じました。

ネタバレすると被爆地の描写はラジオでの政府発表と軍からの電話報告の音声情報のみで絵はありませんでした。
この辺りは色々簡略化されており、広島型と長崎型では違う種類の原爆が落とされてますが複数の種類の兵器を並列で開発していた描写は無く
(※24年4月6日追記:ちょっと筆が走ってしまいすいません、大小のグラス2つがビー玉で満たされてゆく描写をうっかり忘れておりました、グラスの片方がウランで他方がプルトニウム、ビー玉の量が開発の進捗です、すいませんでした。)
ナガサキのセリフは申し訳程度でほとんどヒロシマばかりで通しており映画としてはあくまで主人公の思考の変化の起こるイベントでしかないので尺と観客の理解を助ける為に単純化しているように感じました。
一方、投下都市決定では「キョウト」を外した件が協調されており、これは米国内向けのエクスキューズなのでしょうか?

とはいえ後半になるにつれ、歴史の教科書や原作とされる書籍にはそう書かれているけど本当にそれだけなの?主人公って本当にそういう人なの?という監督の気持ちというか、プロパガンダにも悲劇のヒーローにもしないぞという気概と、シンプルに監督自身の疑問というか、同じ立場だったら自分はどうしただろう?貴方ならどうする?といった問いかけの気持ちも感じられました。

洋画という共通項しかありませんが、1曲紹介します、本作との関連はありません。

Dolly Parton - I Will Always Love You


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