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続4回目「君たちはどう生きるか」鑑賞

いよいよ8月11日(金)にパンフ発売、情報解禁との事なので来週書こうとしていた事を前倒しにします。
○あくまで「続」ナウシカや「2」でなく、劇場版公開から約40年が経った今なお普遍的であり、世界がキナ臭くなった今こそ「作り直し」という形でアップデートする事で子供たちに伝えたい事があるのだと感じます。
宮崎駿監督の中で結論は出ているのだと思いますが、ただその結論を訴えるだけでは表現者として色がついてしまうし説教くさくプロパガンダにすらなってしまう恐れもある上に、おそらくご自身の死後の事もお考えなのでしょう、今作で結論が完結してしまうと今後の広がりも無いし、問題に対しただ答えを明示して理解が得られたとしても、今後発生しうる新たな問題に対し対処のできる子供たちが育たない。

考えて欲しい、考える習慣を持って欲しい、真実を見極める目を持って欲しい、「生きる」為に。

理解の「幅」のある表現、演出が多いのはまさに子供たちに考える姿勢を学んで欲しいからなのだと思います。

○もののけ姫の際に飛行機を出さないとする縛りを設けた記憶があるのですが、今作はナウシカ無しにナウシカを成立させる、ヒーロー/ヒロインに依存しないヒロイックファンタジーを作ろうという裏テーマがあったのかな?と邪推します。
今作の主人公である牧真人君は普通のどこにでも居そうな少年で彼が何かヒーロー的活躍をする事は無く、冒険的な要素はありますが必ず誰かに導かれており彼一人で何かを成し遂げるという事はほぼありませんが、地味に手に汗握る展開や最後は無事に元の世界に戻れるというカタルシスまでもが得られ、大枠で破綻の無いストーリー展開で良質なファンタジーとして成立しており、試みは成功なのではないかと感じます。

○作品製作の中で「目」の衰えを痛感し、描けるうちに「引退」を考えたが、「目」を外注すると思い切る事で、コンテさえ切れれば死ぬまで創作を続けられる体制が確立された。
高畑勲監督がご逝去された為(ご冥福をお祈りいたします)、観客としてご自身も楽しみにされていたであろう高畑さんの製作費の分まで自分が稼ごうとする必要も無くなり、結果として意識/無意識に役割分担していた表現領域も今後は宮崎駿監督の見地で発露できる環境が整った訳で、お元気なうちにもう何作か観られるのではないか?と期待しています。
ちなみに囲炉裏端でタバコの代替品をキセルで嗜む老人(主人公に小刀の研ぎ方を伝授)と床に臥す男性、7人の老婆のシーンですが、キセルの老人は鈴木敏夫P、床に臥す男性は高畑勲監督、代替品をなじるキリコ老婆は宮崎駿監督に見えて仕方が無いのは自分だけでしょうか?

この度は良い映画をありがとうございます、また鈴木敏夫Pの情報遮断というアイデアのおかげで、ただ鑑賞するだけでは得られない体験が出来、通常の何倍も楽しませて頂きました、重ねて御礼申し上げます。

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