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⻑期化するコロナ禍におけるひとり親の就労・生活調査「第6波による影響ー働けず減収・進学困難」を発表しました

 シングルマザー支援に取り組むしんぐるまざあず・ふぉーらむおよび研究者、専門家らによるひとり親調査プロジェクトチームは、約2年にわたる新型コロナウイルスの影響を受け、第6波におけるひとり親の就労・生活調査を2022年3月に実施し、その調査結果をレポート「長期化するコロナ禍におけるひとり親の就労・生活調査『第6波による影響ー働けず減収・進学困難』」として発表しました。本調査はしんぐるまざあず・ふぉーらむの食品支援を受けている人たちを対象としており、就労している人が81.4%と高い割合を示しているにもかかわらず、全体の平均月収は13.6万円(税込)、非正規雇用の8割を占めるパート・アルバイト・派遣の平均月収は11.1万円(税込)とまだまだ生活は苦しい状況がうかがえます。

 また、第6波の直接的な影響として、子どもの通う学校の休園休校や子どもの預け先が休みになったことによる仕事への影響が「収入減少」や「勤務日数や労働時間の減少」という形で、特にパート・アルバイト・派遣者社員のひとり親はより大きな影響を受けていることも明らかになりました。

 2021年の年末から2022年2月末にかけて、「米などの主食」が買えない経験をしたのは約5割(45.7%)「服や靴」が買えない経験をした家庭は8割(80.4%)に上りました。子どもの進路に関しては、コロナによる影響が「あった」と答えた人の中には進学自体を諦めたという声もあり、苦しい状況が子どもにも大きな影響を与えていることがわかりました。特に、高校生以上の子どもにかかる学校関連の費用(入学金の一時負担や制服・教材費など)が切迫する家計に重くのしかかっていることが明らかになっています。

 本調査の対象者は食糧支援を受けているということもあり、非常に厳しい状況に置かれていることが想定されますが、約6割(61.2%)が貯金を取り崩したと回答しています。その一方、政府による緊急小口資金を借り入れたという人は全体のわずか8.5%にとどまっており、自由記述からは借入自体ができないという声やすでに他の返済で困難な状況にいることが見えてきました。また、これまでに行った調査でも、長期化するコロナ禍の中で、貯蓄額が非常に低い(10万円未満)の世帯が過去2年間で徐々に増加していることがわかっています。パート・アルバイトなどで不安定かつ低い収入や、貯蓄の低さが目立つ脆弱な層がコロナによる休園休校などで子どもの預け先を失うことで、さらに困難な状況に置かれています。

 立教大学コミュニティ福祉学部の湯澤直美教授は、2020年8月からのパネル調査から回復していないひとり親の苦しい状況や平均月収の低さ(税込13.6万円)が生存問題であるということ、教育費用の高さが子ども世代への不利な状況へと繋がっていることなどを指摘し、今後も長期的な影響が懸念されることから、支援対象を高校生まで引き上げるなど抜本的な改訂が必要だとコメントしました。


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