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心暖かい「処方箋」に感謝の気持ちで一杯

向かいのビルの灯りが微かに滲んで見えるのは、今朝方から降り出した雨のせいだ。霧のような細雨が音もなく降り注ぎ、朝の訪れを遮っている。


ふと窓の外を見上げると、背の高い建物で切り取られた細くて長い空が、暗い灰色の絵の具で塗られた油絵のように分厚く重厚感を醸し出していた。


今日は尊敬する大学病院の院長先生との面会がある。コロナ禍にもかかわらず、特別待遇として向かい入れてくださったのです。当方の要件は、新発売した薬剤が無事に1周年を迎え、その好業績を感謝の念を込めて報告することになっている。


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「随分よく使われているようだなぁ、結構結構、該当する殆どの患者さんに使われているのではないかい?」


院長室へ招かれた時の第一声である。
深々と黙礼した後、底無し沼の様なふかふかのソファーに促され、腰を下ろした。いつもながらの軽快で明快な語り口調は、そこに居る皆の時間感覚を奪ってしまうほど楽しいひとときであり、あっという間に小一時間が経過しようとしている。


「ところでさ、入江塾って知ってるかい? 大阪にあった有名な進学塾なんだけど、中学生の時、入江塾の本を読んで痛く感心したんだよね」


勿論、名前程度であれば知っている。今では伝説の学習塾で、受験のノウハウではなく「自分で考える力」や「自分で生き抜く力」を基礎に教え込む。入塾試験や審査を一切行わないのに、灘高や東大合格者を次々と排出してしまう日本一有名だった学習塾です。


「人間にはね、青信号、黄色信号、赤信号の3つのグループがあり、青信号は常にトップを目指している、黄色信号はそこそこの位置で頑張り続けている、赤信号は止めてしまうグループなんだけどね、つまり、満足したらダメだってことだよ、赤信号」


思いの外、好業績を継続している僕らに対して「赤信号にはなるな」と警鐘を鳴らしてくださったのです。決して満足せず、自ら考え、更に発展させろと言うことなんでしょう。


今思えば、入江塾の考えは僕に近しい。最近の記事でも紹介しましたが、競争力ではなく、考える力をつけるべきだと考えています。



入江塾では単に学力だけ上げるのではなく、トイレ掃除や履物を揃えて脱ぐこと、上級生が下級生の面倒を見るようなことも厳しく指導されており、結局、そのような細かいこと、思いやりを疎かにしない姿勢が、大学受験等の人生の重大局面で細部に注意を行き渡らせ、火事場の馬鹿力を出す原動力になると説明されています。また受験テクニックで成績を上げるのではなく、問題に真正面からぶつかる重要性も強調されていました。

-経験者の談話-


楽しみにしていました院長先生との面談、思わず暖かい処方箋を頂きました。「決して満足せず、もっと先へ進むために、更に深掘りをしなさい」


厳しくて暖かい「処方箋」を心に刻み込んで宿泊先へと戻る頃には、細雨も徐々に本格的な梅雨の雨に変わっていた。通りに沿って規則正しく植えられている樹木に目線をやると、いつの間にか夏色の深い緑色へと衣替えをしていることに気づいた。もうあれから1年、あっという間の1年であった。


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最後まで読み進めて頂きありがとうございました。
早く元通りの明るい生活へ戻って欲しいと願っています。🌱


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