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パネル調査(8月〜11月)集計結果

 シングルマザー調査プロジェクトは、「新型コロナウイルスの影響によるシングルマザーの就労・⽣活調査(毎⽉パネル調査)」の集計結果を公表しました。2020年8月から1年間継続して行う本パネル調査では、毎月調査を行っています。今回の集計結果は8月から11月に行ったアンケート結果を集計したものです。集計結果からは、勤務の制限を受けている人が約2割に上ることや、就労収入の減少によってひっ迫している家計の厳しさがうかがえます。

1. 高い就業率も、勤務の制限は約2割

 就業率は毎月調査を開始した8月の結果から11月に行った調査まで継続的に高い水準で推移しています。8月調査、9月調査、10月調査で、前月中に収入をともなう仕事をした割合(休業中、待機中、産休中、育休中などを含む)は、「東京」79.4%、82.5%、84.1%、「東京以外」89.5%、91.0%、90.8%でした。
 その一方、11月調査の時点で、約2割の人が10月に「会社の指示で休業・待機・出勤制限をした」と答えています。仕事をした人のうち「会社の指示で休業・待機・出勤制限をした」割合は「東京」28.8%、17.5%、18.9%、19.6%、「東京以外」25.7%、22.0%、19.3%、20.1%となっています。

<質問> あなたはx月中に収入をともなうお仕事をしましたか。

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<質問>(仕事をしたと回答した場合)x月中にあなたが体験した仕事上の出来事についてお聞きします。2つ以上の仕事をしていた人は、すべての仕事の出来事について、当てはまるものがあるかどうか教えてください。「会社の指示で休業・待機・出勤制限をした。」

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2. 減少する収入と養育費、養育費ゼロは7割以上

 コロナ拡大前に比べて就労収入が減少した人の割合は4〜5割を占めています。東京では9月まで減少傾向にあったものの、10月には増加に転じました。10月に入った就労収入(平均値、ゼロを除いた場合)は「東京」153,596円、「東京以外」146,746円。7月の平均金額「東京」156,512円、「東京以外」150,000円をそれぞれ下回っています。
 養育費ゼロ円と回答した人の割合は約7割、増加傾向にあります。また、10月に入った養育費(平均値、ゼロを除いた場合)は「東京」50,385円、「東京以外」43,571円。7月の平均金額「東京」55,893円、「東京以外」48,494円を下回りました。養育費を受け取っている世帯はわずか2-3割であり、なおかつその金額自体も低下していることがうかがえます。

<質問> 就労収入はいかがでしたか。

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<質問> x月中に入ってきた就労収入はいくらでしたか。ボーナスや臨時収入も含めて教えてください。(x月の前の月分の給与がx月に支払われる場合はx月中に入った就労収入になります。)2つ以上の仕事をしていた人はすべての収入を合計してください。 ※税込み(税金や社会保険料が引かれる前)の金額で選んでください。

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<質問> x月中に子どもの父親から入ってきた養育費はいくらでしたか。

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3. 継続する家計の厳しさ

 経済的な理由で家族が買えないことがあったと回答した項目に関しては、「子どもの服や靴」が65-70%と最も高くなっています。「食料(肉・魚や野菜)」を買えないことがあった人の割合も45-55%と約半数に上っています。さらに、食料(米などの主食)を回答した人の割合も30-35%いるということからも、危機的な家計の厳しさが明らかになっています。

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4. ライフラインの滞納が約1割、家賃の滞納は10月に増加
 ライフラインである家賃・住居費、電気代、水道代、ガス代、電話代・通信費を、当月中に支払うことができていない人の割合は7月から10月にかけて1割以上と一定数いることがうかがえます。
 また、家賃を支払うことができていない人の割合は「東京」、「東京以外」ともに7月8月9月は比較的低い割合だったものの、いずれも10月に増加しています。全体的な傾向としては「東京」は9月に支払いができていない割合(家賃以外)が増加しました。「東京以外」は、8月と10月に支払いができていない人が増加しています。

<質問> x月中に支払わなければならない下記の費目について、支払いはできましたか 。

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5. かさむ出費と年末への不安
 不安定かつ限られた収入の中でも、成長する子どもにかかる出費は次々と発生していいます。8月から開始した毎月調査で集まった自由回答を一部抜粋しました。

8月調査:「こどもが中学に入り、部活に所属したため、そのユニフォームやシューズを購入するのがキツかった。」「コロナ休校が終わり、部活が6月から始まりました。部活の道具が一式6万円くらいするので、まだ買えて無い。」「7月に働き方は元に戻ったが、6月までの収入が少なく、学校や習い事も再開し始め、家賃や光熱費の他に月謝や学校教材費など、貯金でやりくりしないといけなかった。(就学援助対象外の習字や辞書など高額教材費が一気に来たので大変だった)」

9月調査:「夏は学校が休みだったのと暑すぎて作り置きができなかったせいで食費が異常にかかりました。」「児童扶養手当が2ヶ月に1回になったが夏休みやお盆がある8月は振り込みがない月なので、夏休みの食費やお盆の準備などが思うようにできなかった。ひとり親家庭の給付金は25日に振込予定だったのでそれまでが大変でした。」「子どもの部活の冬用ジャージが急に届き、現金で払うよう言われたが急だったので9月の児童扶養手当が入るまで待ってもらった。」「汗をかきシャワーを浴びる回数が増えたり、子どものプール遊びなどで水道代が高かった。」「七月の収入が少なかったため、家賃や光熱費等払ったあと、残金が相当少なくて、母子手当や児童手当などが一切ない月だったので相当きつかったです。」

10月調査:「卒業アルバム代として学校から3万の請求があった。」「子供の学校の体操服が小さくなってしまい本人からも脱ぎづらいと言われて新しいサイズのものを購入したかったが、半そで3000円、ハーフパンツ3500円、秋冬用の上下ジャージは8000円もするのでまだ購入できていません。」「家賃も光熱費も遅れ遅れで支払っています。中学生の子どもの修学旅行の積立もあり大変です。」「娘の成長に伴い、ブラジャーの購入があり、安いものではないため出費になった。子供達の体操服がいよいよ小さすぎて恥ずかしいとなり。指定の通学シューズに穴があいて買い替え。(略)メガネの度数があわないと前から訴えがあるが、メガネの購入は先送りしている。」「食費です。子供が中学生になりとても食べるようになりました。以前より食べる量が増えているので食費も増えています。」

 また、11月調査では、年末年始の家計の⽀出について「まったく足りない」と答えた割合は東京39.7%、東京以外45.1%でした。年末年始に収入を増やすために臨時の仕事をする予定があるかどうかを聞いたところ、「する必要はない」と回答したのは「東京」8.0%、「東京以外」12%にとどまっています。年末年始を目前に、減少する収入を少しでも補いたい人の多さがうかがえる結果となっています。

<質問> 年末年始の時期、収入を増やすために、臨時の仕事をしますか

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