ご近所さんからの頂き物
北海道にいた頃、特にオホーツク海側の街に転居してからは、ご近所さんや職場の同僚から魚や野菜をいただくことが多かった。
春にはホタテの稚貝のハネ品をあちこちからいただくのが毎年恒例だったし、夏は多くの友人達が家で食べきれないからと家庭菜園で採れたトマトやトウモロコシをお裾分けしてくれた。秋になれば実家が農家だという同僚が規格外のジャガイモやタマネギを持ってきてくれることも度々だったし、冬になれば休日に近くの湖で氷上釣りを楽しんだ職場の若手社員達が「お土産です!」と大量のワカサギを会社に持ってくるのも日常の光景だった。
恵まれた環境で暮らしていたものだと、今にして思う。
しかし
宮城に来てからのご近所さんからの頂き物も、なかなか凄い。
昨夜の晩酌。
野菜やお刺身は買ったものだが、しかし。
この塩ウニは、石巻の義実家でご近所さんからいただいたもの。
自家製だという。
めちゃくちゃ美味しい。
こんなん、スプーン1杯分で数百円分でしょうよ。買ったら何千円するか。
とてもじゃないが、気軽に買えるレベルじゃない一品。
2年前に義父が亡くなって以降、石巻の義実家では義母が一人暮らしをしている。
そんな義母を気遣って、ご近所の方々が何かと声を掛けてくれたり、美味しいものをお裾分けしてくれるのだという。
仕事に追われ、頻繁には実家に通えずにいる一人息子(夫)とその嫁は、恐縮するばかり。
せめてもの御礼にと、先日の帰省の際には仙台銘菓を持ってご挨拶に行ったのだが、いえいえこちらこそこんなお気遣いをいただかなくてもと、御礼の御礼に大量の野菜や果物をいただいてしまった。
その上、帰り際に義母から持たされたのが、このご近所さんからのウニ。
もはや、リアルわらしべ長者である。
石巻のウニに失礼のないよう、浦霞の特別純米酒ひやおろしとともに、じっくりと味わう。
ありがたいねぇ、と、夫婦でしみじみと語らいながら、昨夜も幸せな晩酌のひと時を過ごした。
東日本大震災の時、元漁師の義父は、揺れの大きさにこの後大きな津波が来ると直感したという。
義母とともに近くの小学校に向かった際には、避難をためらっていた近所の方々にも声をかけ、一緒にすぐ避難するようにと呼び掛けたそうだ。
「あの時、声を掛けてもらわなかったら危なかった。おかげで命拾いした。」
後日、近所の方からそう言われたと、義母が教えてくれた。
震災当日のことは「思い出したくない」と言って、あまり語らない義母。
けれど、避難の際のこの話は、私が宮城に移住してくる前、まだ義父が存命だった頃に義母が教えてくれた、数少ない震災関連のエピソードだった。
人間関係を厄介で面倒だと感じてしまうことも多い毎日だけれど、その一方で、人との繋がりは大事だと気付かされることも多い。
日々、感謝したり反省したり。
そんな思いを忘れずにいるためにも、こうしてnoteに書き記しておくのは、今の自分にとって必要なことなのかもしれない。
まだまだ至らないことばかり。
それでも、お世話になっている人達にいつか恩返しが出来るように、頑張ろうと思う。
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