棒っこみたいな魚がめちゃくちゃ美味しい高級魚だった話【アカヤガラ】
先月のある日の仕事帰り。その日は珍しく定時退社出来たので、久しぶりに仙台杜の市場に寄ってみた。
地元の鮮魚を多数扱っているお店に足を運ぶと、サバやイワシ、鮭、ダルマガレイといったお馴染みの魚の大きなパックのすぐ横に、見慣れない魚が並べられていた。
パックの中に入っていたのは、直径2~3センチ、長さ7~8センチほどに筒切りにされた赤茶色の魚。
貼られたシールには「宮城県産 アカヤガラ」と書かれていた。
10切、いや15,6切ほどぎっしり入って、お値段は300円ほど。
魅力的なお値段とはいえ、私にとっては初めて見る魚である。どう食べたら良いのだろうか。そもそも、どんな種類の魚なのかも判断がつかない。パックに入っていたのは胴体だけだった。頭と尾を切り落としたのがこの状態なのか、それともウナギのように長い魚をぶつ切りにしたのがこの状態なのか。
私はそっとスマホを取り出し、「アカヤガラ」で検索した。
「高級魚」と表示された。
見た目はともかく、美味しい高級魚。
それが、この値段とは。
即、購入。
いそいそと帰宅し、早速塩を振って焼いてみると、これがなかなかの美味しさだった。
「美味しい。これ食べやすいね。」
と、夫が言う。
私も同感だった。
正直なところ、さすが高級魚!と驚くほどのインパクトは無かったものの、くせが無い美味しさだった。白身魚の定番の美味しさとでも言おうか。皮にもほんのりと風味があって、焼いただけなのに燻製のような味わい。何より、うろこがほとんど気にならないのが食べやすくて嬉しい。
「美味しいね。見た目、棒っこみたいなのにね。」
「ホントにね。ぶった切った木刀みたいなのにね。」
そんなことを笑って語らいながら、その日は4切を美味しくいただいた。
残り10切ほどは、いつものようにさっと洗ってからキッチンペーパーで水気をよく拭きとり、塩を振ってジップロックに入れて冷凍しておいた。
数日後。
冷凍しておいたアカヤガラを、再び焼いてみることにした。
一度冷凍したので、中までしっかり火が通るよう前回よりもじっくり時間をかけて中火で焼く。
「うわ、美味ぇ!」
前回食べた時とは全く違うテンションで、夫が驚きの表情でそう言った。
え?それほど?と思いつつ、私もひと口食べて驚いた。
別格。驚くほどの美味しさだった。
いや、前回食べた時も美味しかったのだ。美味しかったのだが、塩を振って冷凍してから焼いた今回の美味しさはあまりにも圧倒的だった。塩を振って休ませたことで水分が抜けて身がぎゅっと締まったからか、中骨からの身離れも良くなり、さらに食べやすい。
「なんだこれめちゃくちゃ美味しい。」
「凄いな。だから高級魚なのか。」
「・・・でも、安かったんだけど。」
「・・・・・・いい買い物したね。」
以来、冷凍庫のアカヤガラは、我が家の晩酌のお供になっている。
市場では、馴染みは無くとも美味しい魚との出会いがあるのが楽しくて嬉しい。そして、ありがたい。
好きな魚がまた増えた。
とはいえ、それ以来そのお店でアカヤガラを見かけてはいない。次に買えるのはいつになるのか。その時は高級魚のお値段になってしまっているのか。
いや、高くてもまた食べたいな、これは。
アカヤガラ、これからも美味しくいただきたいと思う。
※ 追記
先週11月28日にアップした「北海道産のイワシの梅煮と宮城の日本酒で幸せ晩酌」が、ハッシュタグ「おうち居酒屋やってみた」への応募作品の中で特にスキを集めた記事になったとのお知らせをいただいた。
お読みくださった皆様、そしてスキを押してくださった皆様、ありがとうございます。
日常の節約晩酌をそのまま書き綴っているnoteですが、ご紹介している身近な食材等に興味を持ってくださる方がいれば幸せです。
これからも、どうぞよろしくお願い致します。
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