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つわりと涙(30代の妊娠)

不妊治療で受けたラパロドリリングの手術と高額な鍼治療・漢方服用を続けた結果、第一子を妊娠することができました。30代半ばの話です。

妊娠の喜びもつかの間、すぐにつわりが始まりました。
私の場合は”食べづわり”で、とにかく何か口に入れておかないと気持ちが悪くなりました。特にはまっていたのが、セブンイレブンのコンビニおにぎりです。自宅から最寄り駅まで徒歩12分、その間のセブンによっておにぎり補充をしておかないと駅まで歩けませんでした。

日中は常に胸焼け、どんよりした船酔いの気持ち悪さが続きました。
食べていれば何とか仕事に行けるレベルでしたが、夕方疲れが出始める頃に雲行きが怪しくなり、帰宅後は毎晩気持ち悪さの大波が押し寄せてきました。気持ち悪くて朝まで眠れないのです。氷を口にふくませ夜が明けるのをじっと待ちました。日中は仕事、夜はつわりで眠れない・・・この頃は、毎日妊娠アプリやカレンダーとにらめっこ、つわりが終わる日を心待ちにしていました。(16週頃に一旦落ち着きますが、平穏もつかの間、妊娠後期づわりがあり、結局ずっと辛かった)

一度、通勤途中の電車内、新橋あたりで倒れたことがあります。
その日は朝からつわりの大波が押し寄せていて、電車内でひどい吐き気に襲われました。いつでも吐けるように自分の鞄をオープン、ぎりぎりで途中下車し駅校内に倒れ込みました。

ベンチに座っていたおじさんたちは席を空けてくれるわけでもない。
いや、いいんだよ、皆さん、疲れてるんだろうね。

でもさ、私倒れてるよ? 
妊婦とか関係なく、一人の人間が倒れてるぞ?

(辛い。もういいや、このまま床に横になっとく・・・あ~吐く吐く吐く・・・・)

顔面蒼白でした。

その時、どこからか中年女性が駆け寄ってくれました。
私の背中をさすりながら『あなた働いているのね。大丈夫大丈夫、私も働きながら子供3人育てたけど、働くお母さんはかっこいいって皆言ってくれてるから。お腹の赤ちゃんもきっと同じ!大丈夫だから!』と。
妊娠マークをつけていたので、赤ちゃんがいると分かってくれたようです。

涙腺崩壊しました。

駅員さんを呼んでくれて、駅長室のベッドに案内してもらいました。
しばらくしたら体調が回復したのでそのまま出勤しましたが、顔色悪すぎるから帰宅しろと業務命令が出ました。

あの女性にお礼を言いたかったのですが、その後再会することはありませんでした。




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