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アスクルの急成長に大貢献した、ビッグデータの共有資産化

EC第二世代でありながら成功したLOHACO

オフィス用品の通販企業で国内最大手のアスクル。オフィス用品で馴染みのある人も多いと思いますが、実は同社はビッグデータを活用して事業拡大に成功した企業でもあります。

アスクルはもともとBtoB向けのオフィス用品通販を展開していましたが、2012年からBtoC向けの通販サービス「LOHACO」をスタートします。

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LOHACOはスマートフォンが一般的に浸透し始めた時期に、いち早くスマホファーストなユーザー体験を志したサービス。

アスクルで培った物流ノウハウを生かし、「翌日お届け」「1900円以上送料無料」「時間指定無料」「かさばるものを玄関までお届け」など、当時としては画期的なユーザー利便性の高いサービスを提供したことも消費者ニーズを満たし、第一世代と呼ばれるAmazonや楽天の後発である第二世代の通販業者にもかかわらず、BtoC向けEC市場への参入に見事成功しました。



画期的なビッグデータの共有化で事業を拡大

LOHACOは最初からOne to Oneマーケティングを志向していました。そして順調にユーザー数を増やしいく中で、Amazonほどではないにしても大量の顧客情報を蓄積していきます。同社はこのビッグデータを最大限に生かすために大胆な行動に出ます。

それが、2014年に設立した「LOHACO ECマーケティングラボ」です。このラボはビッグデータを活用したEC時代における新たなマーケティング手法の研究とスピーディな実践の取り組みとしてスタートしたもの。

画期的だったのは、当時は社外秘であることが常識だったビッグデータ(もしくは外販していたビッグデータ)を、ラボ参加企業に個人が特定されない形でオープン化したことです。

参加企業はLOHACOの顧客データ、購買データ、商品ページのアクセスログ、問い合わせやレビューのデータ、配送データなどあらゆるデータをLOHACOでのマーケティング目的において自由に利用できます。参加企業もデータを提供することが必須で、参加企業同士でデータを利用し合うことも可能になるのです。

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2014年の参加企業は12社でした。あまりにも先進的な取り組みであり、競合にデータを提供することに抵抗を示した企業もあったそうです。

しかし、LOHACOのラボで得られるメリットの大きさが認知され、また「データは社会に還元され、活用されるべきもの」という考え方も浸透してきたことで、2013年55社、2014年102社、2015年127社、2016年132社と参加企業がどんどん増加。2019年には過去最多の140社が参加する形となり、研究員の数も約500名と大幅に増員。一企業では実現できない規模とスピードでデジタルマーケティングを共創していくのです。


デジタルマーケティング支援サービスへ発展!

昨年、アスクルは新たなサービスとして「LOHACO Insight Dive」の開始を発表しました。

これはLOHACO ECマーケティングラボで蓄積されたデータと、サービスを利用するメーカーのデータを連携した上で、メーカーが取り組む商品開発やプロモーション活動、オウンドメディア運用などを支援するもの。

LOHACOのデータをLOHACO以外にも幅広く活用できるようになったことで、メーカーはこれまで以上にデジタルマーケティングの精度とスピードを高め、デジタルトランスフォーメーションを加速させることができるのです。

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今後は、「メーカーの運営するメーカーオウンドメディアとのコラボキャンペーン開催」、「メーカー顧客のLOHACOにおける日用品購買行動を分析し、嗜好性なども考慮した深いインサイトの分析」、「メーカー顧客に対するアンケートなどのマーケティング調査」、「メーカーの開催するリアルイベントでの体験や、オフラインでの消費行動とLOHACOデータを連携し、オンライン・オフラインを統合したマーケティングの実現」といった施策を展開していくそうです。

このサービスを提供することでアスクルもさらに多くのメーカーのビッグデータと連携できるようになり、デジタルマーケティングのビジネスをますます拡大することができるでしょう。今後、アスクルはどのような事業展開を仕掛けるのか、引き続き注目していきたいです。

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