2020年、発展を遂げるノンアル市場!10年前のポジショニング争いを振り返ってみた
ノンアルコール市場がアツい!
先日、TVのニュースでノンアルコール市場の隆盛が特集されていました。
月桂冠がノンアル日本酒を発売したことは大きな話題となり、同社のオンラインショップで3ヶ月連続1位を記録しているらしいです。本業(?)の日本酒より売れているとはなかなか衝撃ですよね。
また、今年3月には東京駅に日本初のノンアルコール専門BAR「Low-Non-Bar」がオープンしましま。ノンアルコールのカクテル、いわゆるモクテルを、一流のバーテンダーが手掛けたものを提供してくれるお店です。こちらもオープン前から話題となっていました。
ノンアル市場はここ10年で4倍以上に成長しています。軽減税率の対象になることから、これからどんどん拡大していくだろうと予想されているのです。
0.00%のノンアルコールビールで市場が活性化
ノンアルコール市場を調べてみると、ポジショニング戦略の面白い事例を見つけたので紹介したいと思います。
日本のノンアルコール市場は20年弱の歴史があります。2003年の道路交通法改正で飲酒運転の罰則が強化されてから急速に需要が高まりましたが、アルコール度数0.1%以下がノンアルコール飲料として売られていたため、お酒が弱い人や妊婦さんは飲めず、またたくさん飲むと飲酒運転で引っかかるケースもあり、なかなか広まりませんでした。
ノンアルコール市場が急速に拡大し始めたのは、2009年のこと。
アルコール分0.00%の「キリンフリー」が登場し、ドライバーや妊娠中の女性の間で大ヒットしました。キリンに追随する形で他のメーカーも0.00%のノンアルコールビール飲料を販売し始め、市場は一気に活性化します。
一人負けのアサヒビールが発見したポジショニングは…
その中で遅れを取っていたのが、アサヒビールの「ダブルゼロ」。2010年に発売したものの、シェア率はわずか2%でした。
完全なる一人負けの状況を打開するために同社は、5000人以上に及ぶ顧客調査を行なったそうです。
そこで発見したことは、消費者はノンアルコールビールに対して「本格的なビールの味を求めている」ということ。
当時はアルコールが飲めない人や女性が主なターゲットだったため、0.00パーセントのノンアルコールビールはライトな味わい、カロリーオフなどの健康的な訴求が主流でした。
しかし、普段からビールを飲む人がアルコールを摂取できない場面で、ノンアルコールビールは味わいの面で顧客ニーズを満たせていなかったのです。
ターゲットにすべきは、ビールに飲み慣れている男性。目指すべきはビールの完璧な代替品でした。
こうして生まれた「ドライゼロ」は、その本格的な味わいで新しいポジションを開拓。発売早々に20%を超えるシェアを獲得したのです。
その後、「ビールに飲み慣れている男性向けの本格派ノンアルビール」は競合が次々と参戦し、サッポロのオールフリーや、キリンの零ICHIなど各社ヒット作を生み出して競争は激化。今ではこちらのポジションのほうがのんアルコルビール市場の主流となりました。
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