リメンバー・エクスペリメントで立ち向かえ初なわとび
3歳娘の通う保育園で保護者参加の運動会的なやつが11月にあるという。
その情報をきいたときぼくが思ったことは、
──来たか。
だった。
これは妻が妊娠したときから思っていたことなのだけど、遠くない未来に訪れる保護者参加運動会は間違いなくぼくの人生で最大の舞台となる。
保護者参加型運動会っていうのはつまり、最強の推しのライブの舞台にいっしょに立ってパフォーマンスするみたいなことだ。
その瞬間、推しと我は対等。それは夢のようだけど夢ではない。
そういう機会だ。
で、まあ、なんか走ったりするとして、足ぐねったらたまらん。それに単純にほかの親御さんに負けたくない。
そういう動機で、鍛えなければ! と思った次第。
テレワークでなまり倒した我が身に筋肉を、とは常々思っていたけれど、もう後がない。ぼくの中の怠惰という手ごわいモンスターがようやく倒れた。
なので、公園へなわとびをしにいった。娘といっしょに。
どうせなら娘といっしょに遊びながら鍛えられたら言うことないからだ。
娘の初なわとび
なわとびをほとんど知らない娘にピンク色の子ども用なわとびを渡すと、家の中で飛ぼうとするので、
「なわとびはお外でするものやで」
と、いさめて近所の公園へ行く。
ベンチに手荷物を置くと、まずぼくが大人用なわとびで見本を見せる。
通常跳び、二十跳び。けっこう跳べた。
「とうちゃんすごーい!」
と目を見開く娘。ほこらしいぜ。
「やってみ」
と言うと、娘も真似しようとする。縄をもった両手をバタバタするけど、縄が手前から奥に旋回しない。
あー、なるほど、と思った。持ち手を軸にして縄を回すのって3歳児にデフォルトで備わってる動作じゃない。
「こうやって手をおおきく回してごらん」
と、ややオーバー気味に縄を持った手を大きく回してみせる。
すると、娘も縄を後から前に回すことができた。
「今度はそのまま跳んでごらん」
すると、今度は手を回すうごきもちぐはぐになりつつ地団太を踏むような動きになった。おお……そうなるか。連動させるのはすぐには出来ないよね。なるほど、かわいい。
かわいいけど、まずい、と思った。
娘はなわとびという未知の遊びを楽しみに公園までいっしょにきてくれたけど、このままでは、「なわとびって楽しくない」というレッテルが貼られてしまう。飽きられてしまう。
そうなると、ぼくはひとりで縄跳びトレーニングをしなければならなくなり、たぶんそれだと続かない。
その危機的状況が、ぼくの遠い記憶をフラッシュバックさせた。
たぶん幼稚園とか小学1年生くらいの記憶。初めて縄跳びをするってなったとき、いきなり普通に跳んだりはしなかった。
まずはなわとびの縄でいろんな遊びをしたはずだ。
ぼくは大人用のなわとびを公園の照明の柱にくくりつけ、一方の持ち手を手に取り地面すれすれで左右に動かした。
「ほら、へびさんやで! これジャンプできる?」
なんかこんな遊びから始めた気がするのだ。
すると、
「とうちゃんみてて!」
そして娘はジャンプ!
へびを飛び越えた!
「やったね!! 今度はちょっと高くなるで」
少し高さを変えてまたジャンプを促すと、
「わたしはキュアスカイだから、とべるわ!」
と頼もしい口上とともにまたジャンプした。
いいぞ!
「こんどはわたしがへびさんやるからとうちゃんとんで!」
役割を交換して、今度はぼくが飛ぶ。
わりと容赦なく30センチくらいの高さにしてくるので、全力で垂直跳びして飛び越える。
「すごーい!」
本気で驚いてくれる娘。たのしいぞ。
よし、もうしばらくなわとび遊びして、その後でいっしょになわとびトレーニングだ!!
と思ってたら、
「こんどはあっちのすべり台すべってー、そのあとは向こうのおっきいすべり台すべろ!!」
結局飽きた。
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