うそめがねチビ文庫

10

心臓は赤く灯る

観測史上最大と目されていた大雨が、結果的には穏やかな小雨に終わったその日の夜半、満月の夜。赤提灯が誘う扉の奥は喧噪に包まれていた。  隣と話す…

ぼくとパンと人間たち〜『聖・麺包エクスキャリバー』

これはひとりの人間と、その人生のターニングポイントに産まれたパンを取材した、いわばひとりと一個の魂の記録である。  赤、黄色、だいだい。  私…

春のデビルキラーズ通勤快速

通勤電車。いつもの車両いつものドアの前。いつも向かいに立ってる人がいる。ストライプのシャツにセルフレームの眼鏡。とてもきれいな女の人。文庫本を…

悪虐非道の姫

「かつて魔族と人間が同じ街に共存する時代があったのよ」女戦士ヨシミは人工パーツに置換された下顎に触れる。「悪い冗談みたいだった」 「……」 向き…

珈琲人ダブルドラゴン〜おせっかい旅情編〜

「畜生。変わんねぇな」 どこまでも優しい珈琲だった。一口で虜にする強く華やかな一杯ではなく、路傍の名もない花めいて。 旅のドリップ屋(珈琲を淹…

シューターの憂鬱〜マッスル☆みんち編

「おい!大丈夫なのかオマエ」ごりっ、とパンクファッションの女の頭に銃口を押し付けるが「……」ピュピュン、ボカンボカン!女は意に介さずシューティ…

【短編小説】喫茶ダブルドラゴン 第2話

からからん—— 「開いてるぅ?」  ドアベルを鳴らして入って来たのは派手なハイヒールの女だった。ロング丈のダウンジャケットから覗く素脚のライ…

【短編小説】スマホ機種変更して新しいスマホケース欲しいなーと思ってるときに書いた小…

“スマホにはケースを。”  グ・ラマス市のスローガンである。  生活に欠かせないスマホにはケースを装着して落下などの強い衝撃に対する安全性を…

【短編小説】ホワイトアウト・セッション

その小さなホルモン屋は、白い煙が充満していてもうホルモン屋なんだか何なんだかわからなくなっていた。  何人かが同時にホルモンを焼くとすぐにこう…

【短編小説】喫茶ダブルドラゴン 第1話

からからん  とドアベルが鳴り、暑気を帯びた夏の空気と一緒に入ってきたのは虎之介だった。虎之助は近所の小学校に通う4年生だ。皆からはトラと呼…