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2022年9月17日
経験したことはないのに胸が苦しくなるような何でこんなどうにもならないような日々を読まされているんだと思うようなシーンがひたすら続き同著者の初期作品なのでこういう作風だったのかなとも思ったが、最後には少しだけ前を向いたようなぼんやりした光が見え登場人物たちのこれから始まる少し成長したような全てを受け入れる覚悟をしたようなどこか優しい気持ちで包まれたような結末に全体を包み込む空気感はやはりこの著者ならではだと再認識し、街中で何食わぬ顔ですれ違う人たちも一歩踏み込めばそれぞれの事情の中に取り戻せないものや後悔や覚悟やそんな中でのささやかな幸せを抱えながら生きているのだろうなと当たり前のことに改めて気付きフィクションであったとしてもそんな人生の一部に触れられることに喜びを感じ、「自分の一生は、ずっと足し算だと思ってやがる。」という言葉を少し引き摺っている。
(幼な子われらに生まれ/重松清)
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