出会ってしまった、憧れの少女
彩雲国物語。
昔NHKでアニメ放送もしていたので知っている人もいるかもしれませんが、私が出会ってきた物語の中で一番好きな作品です。
カテゴライズで言えば「中華ファンタジー」なんですけど、ファンタジーという言葉でくくるには深すぎてあまりしっくり来ていないので、私は知人に紹介する時には「女性初の政治家となった女の子が成長していく姿を描いた物語」と言っています。
もう少し詳しく説明すると、、、
※ネタばれの範囲が分かりませんが、以下、内容に言及するのでネタバレかもしれません※
物語の舞台は架空の国である彩雲国。主人公の紅秀麗は国内屈指のお嬢様の血筋でありながら訳あって貧乏暮らしをしている女の子。この女の子が彩雲国で初めての女性官吏(政治家)となり、成長していく姿を描いた物語です。
私はこの主人公の紅秀麗が、本当に大好きです。
幼少期に戦争を経験し、「もうあんな思いはしたくない」と思ったことから官吏を目指すのですが、女の子は官吏にはなれない。そのことを知ってから、未来の子どもたちに自分の夢を託そうと寺子屋で先生をしていました。そんな折、王様の教育係として一時的に後宮に入ります。ものすごく跳躍して記載すると王様に気に入られ、王様が法を変えて女の子でも官吏になれるようにしてくれて官吏になる、という流れなんですが、お嬢様だからとかものすごい美人だからとかそんな理由ではなく、秀麗の志が王様の心を、周りの人の心を動かし、自分の未来を切り拓いていくんですよね。
ただ、秀麗と関わりのない人々はそんなことを知らないので、王様の寵愛で官吏になった秀麗のことを良くは思ってくれません。官吏になってからも「女だから」と馬鹿にされ邪険にされ何度も官吏をやめさせられそうになります。
それでも、秀麗が、自分にできることを、任されたことを誰のためでもなく「民のため」に考え抜いて実践する姿に、関わった人々が心動かされていくんです。
ある巻で、ある方が秀麗の武器は運と縁と素直さであると表現します。
出会う人の誰もが秀麗のことを好きになり応援してくれる訳ではないけれど、それでも味方になってくれる人たちと出会い、どんな逆境も乗り越えていく運と縁、そしてそれを手放さない、愛され続けるための素直さ。
秀麗の良さを絶妙に表現した台詞だと思っています。
もちろん、お嬢様の血統や頭の回転の速さという武器も持っているけれど、秀麗の本質はそこじゃない。目の前の出来事に、自分自身や周りの人に一生懸命向き合う姿勢こそが秀麗を推したくなる理由なんです。
綺麗事、夢見がち、甘ちゃん。秀麗のことをそう評価する人も多いかもしれません。作中でもそのように言われることがあります。でも、綺麗事をやり抜いたら、綺麗事じゃなくなるんじゃないかなって、私はそう思っちゃうんですよね。
夢や理想を追いかけることが、「ダサい」「ウザい」って言われることも、分かっています。
私が生きているのは現実世界で、秀麗みたいにお嬢様でも頭が良い訳でもなく、物語と現実世界は全然違うってことも分かっています。
でも、出会ってしまったから。憧れてしまったから。
諦めたくないなって思っちゃうんです。
お嬢様になれなくても、王様と出会えなくても、頭の良さを持ち合わせていなくても、素直で一生懸命でいることくらいはできるから。
そして、今までの人生、そうやって生きる中で出会って築いてきたものこそ、少なくたって私にとって大切な存在だと分かっているから。
秀麗というキャラクターと出会っていなければ、彩雲国物語という作品と出会っていなければ、今の私がいないと言っても過言ではありません。
間違いなく、私の人生を変えてくれた作品の一つであり、人の一人です。
紅秀麗というキャラクターを生み出してくれた雪乃紗衣先生に心からの感謝を。(ご本人に届くか分かりませんが、彩雲国物語、大好きでアニメも小説も何回も見て読んでいます!!)
そして、たぶんもう一つ好きな理由がアニメの中の「声」なので、アニメで紅秀麗役を物語の通りに素敵に演じてくださった桑島法子さんにも心からの感謝を。(こちらもご本人に届くか分かりませんが、「私たち官吏が守るべきものは誰ですか」のシーンが震えるほど大好きです!!)
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今回は、#私の推しキャラ というお題に沿って、私の大好きな物語の主人公について語ってみました。
所謂「推し」のような存在ではないのかもしれませんが、その人生を敬愛して追いかけている、そんな存在です。
誰かの心に響く文章が書けていたら、幸いです。