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虐待サバイバーとのzoom交流会『実は私たちのはなし』 イベントレポート

こんにちは、シムト Web担当のはいどです!

2020/12/05に開催した「虐待サバイバーとのzoom交流会『実は私たちのはなし』」。 初の交流会形式、しかもzoomを利用した完全オンラインということでメンバーは緊張していたのですが、終始あたたかい雰囲気でイベントを行うことができて一同ほっとしています。
サバイバーとして話し手に参加してくれたブローハンさんもとっても素敵な方でした。

それではイベントレポートをお届けします!

【今回のグラウンドルール】

具合が悪くなったら退出OK
have fun(楽しむ!)
お互いを尊重し合う
be present(現在に集中すること、相手にプレゼントすること)

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当日は11人の方がzoomに入ってくださいました。

司会はシムトSNS担当のゆづきちゃん。シムトでの司会は初ですがすらすらと言葉が出てくる姿に頼もしさを感じます。

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シムトの紹介をする代表のソンちゃん。

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それから15分という短い時間でしたが、ブローハンさんがご自身の経験について話してくださいました。

ブローハンさんはフィリピン人のお母さんを持ち、お父さんは他に家族がいる状態だったため4歳まではお母さんと2人で暮らしていたそうです。

その後新しいお父さんとも暮らし始めますが、「お父さんではなくクーヤ(お兄さん)と呼びなさい」と言われ、理由は分からないままに殴られたり蹴られたりが日常茶飯事に。

真冬に裸で外に出されたりベランダに出されたり、爪楊枝を頭に刺されたり、目や鼻の周りにワサビやカラシを塗られる、バイクから落とされる、水風呂に入れられて頭を沈められる、包丁で脅されるなど、ブローハンさんが平然と話していることが信じられないほどに凄惨な虐待の数々が語られます。

11歳ごろにお尻をライターであぶられ、教室で傾いた状態で座っていたところを先生に不審に思われ、虐待が発覚。児童養護施設に保護されます。ブローハンさんは先生たちに囲まれて火傷の跡が見つかったときに「助かった」より「バレてしまった」と思ったそうです。

約2年くらいは足音などわずかな音で目が覚めるほど浅くしか眠れなかったり、後ろに大きい男の人がいると早歩きになったりと激しいトラウマに苦しめられますが、施設で過ごす中で少しずつ回復。現在はご自身の経験を多くの方に伝える活動をされています。

かなりショッキングな内容に動揺を隠せない中、参加者は3つのブレイクアウトルームに分かれて質問や感想をシェア。その後は再び集まって質問タイムに移ります。

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Q. いつから自分の辛い体験を話せるようになりましたか?
A. 気づいたら話せるようになってた。内省を始めたのは14歳の時で、お母さんが亡くなってから。唯一愛していた人を亡くして、生きる意味とかを考えた。26歳、2年前に活動を始めたんだけどそれまでもずっと考えて整理して、少しずつ話せるようになった。

休憩を挟んで今度はソンちゃんの番。ソンちゃんは子どもの頃のソンちゃんに書いた手紙を参加者の方に読んでいただき、質問を募るかたちにしました。

Q. 韓国で「こういうことは性暴力」と教わって自分が性的虐待を受けていたことに気づいたと言っていたけど、日本の性教育ではそういう場がない。韓国では性暴力について学ぶのは当たり前のこと?

A. 韓国は性教育の内容が決まっていなくて、先生自身が紹介したいものを紹介する。私は運が良かった。最近は保守的な先生が「短いスカートを履いたら性暴力の被害に遭うのは当たりまえ」という授業をしたことが問題になり、ある程度の指針が必要だと議論になっている。

今回は「虐待サバイバーとのzoom交流会」と題している通り交流がメインです。50分間の交流タイム。ソンちゃん班とブローハンさん班のブレイクアウトルームに分かれて5、6人程度でお話しました。

残念ながらレポート担当のぼくが片方にしか参加できていないのですが、様子をお伝えします。

ぼくの参加したグループの最初の話し手はソンちゃん。

虐待を受けて大人になったサバイバー当事者の方が参加されていて、「虐待された親を許せない、人生のいろいろなことを親のせいにしてしまう」という相談をされていました。

「私もたまにお父さんのせいにしてしまう。でもそれは言い訳だし嫌だなと思って、自分のせいだと思うようにしていた時期もある。今は誰のせいでもないと思ってる」と語るソンちゃん。

ソンちゃんが参加者さんに「いつの時代のソンちゃんもかわいがってあげてほしい」といった温かい声をかけていただいていて、ぼくも胸がいっぱいになりました。

25分経って話し手はブローハンさんに交代。

最初に「虐待にはいくつかパターンがある」という話になりました。

「虐待には「愛の形が違った」というパターンもあるけど、クーヤの場合は心のひずみだった。直せない歪み、すごく曲がったものを心に持ってるなと思っている」「ステータスで小さい生き物をいじめたかったんだと思う」と壮絶な幼少期を振り返るブローハンさん。

そこから虐待の連鎖へと話が広がります。

「虐待をする親は虐待をする、とか言われたくないよね」という話題になりはっとさせられました。虐待は連鎖する、だなんて当然のように言われていますが、サバイバー当事者としては自分の子どもに同じことをしてしまう恐怖と闘っているのだと思い知らされます。

ブローハンさんは「手を出さないと誓っているけど、転んだ時に支えてくれる人がいることが大切だなと思っている」と話してくれました。

最後にみんなで1つのメインルームに戻り、話し手の2人に1言ずついただきました。

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私がこの支援をしようとしたのは、誰かを助けたいっていうのもあったけど、自分が生きづらかったからっていう理由があって。そういう人と話をしてもう少しいい社会になったらと思ってる。今回のイベントをやって。意外と多くの人が大変なんだと胸がギュッとなった。私には話を聞くことしかできないから、せっかく参加してくれたのに申し訳ない。ありがたい。

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当事者が話す貴重さをソンちゃんを見て思い出した。自分の辛いものとか人と違うものは話すのがすごく大変。ソンちゃんがみんなを思っているのが伝わってきてぼくも泣いてしまった。

「誰かにとってきっかけになる瞬間」は誰しもが持っている。

ぼくは誰かのきっかけになりたくて、それからお母さんの誇りになる人生を送りたい。あなたも誰かにとってきっかけになりうる存在。

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今回のイベントでぼくはシムトが、そして自分自身が果たすべき役割について改めて考えました。

ブローハンさんのお話の中で、「ハブになる人間がどのくらいいるか」という言葉が印象に残っています。

ブローハンさんは支援団体を紹介してもらったとき、その団体を知る友人から「遊びに行こうよ」と言われてSOSを繋げることができたそうです。

情報があったとしてもほしいと思っている人にはなかなか繋がらないから、情報を探している当事者と支援している団体の真ん中に立つ人が橋渡しとなることが大切だと話してくださいました。

ぼく自身が頼ってもらったときに相手の未来について誰よりも真剣に、一緒に考え、ベストでなくてもベターな選択肢を一緒に導き出せる人でありたいなと思います。

そのためにもっと多くのことついて知ろう、そしてもっと多くの人と関わっていこうと思いました。

シムトは相談してくださった方と話すことを通して、相手の日常を支え、ときにどうすればいいのかを一緒に考えることを目指す団体です。シムトを知り頼ってくださった方にどう寄り添っていくか、メンバーで改めて考えていきたいと思います。

参加者のみなさんのおかげで温かい雰囲気を作ることができました。メンバーもイベントをやって良かったと心から思っています。

ブローハンさん、参加者のみなさん、本当にありがとうございました!

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