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個人通信”Simple Dreams”1331号

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個人通信"Simple Dreams"               1331号
2023.8.25
石川 晋
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8月19日(土)から8月25日(金)まで

 北海道の大自然の中で、藪蚊にとって人間はウィダーインゼリーみたいなもんだろう。毛に覆われた鹿や狐や熊に比べたら、急速吸血できる対象なんだろう。秋の藪蚊は素早くて、見かけによらず強い。ぼくの濁った血で申し訳ない気持ちになる。

 OSO18が死んだ。日本中を「駆除」という言葉が飛び交い、複雑な気持ちになったのはぼくだけじゃないだろう。人間の歴史は「有害動物」との戦いの歴史だが、有害の基準や深刻性もまた人間の状況によってゴールポストが頻繁に変えられる。今回は釧路町の仙鳳趾付近の海岸近くの牧場で駆除されたようだ。彼が元々徘徊していたのは花咲線内。そこを海側に踏み越えた場所が彼が絶命した場所だ。彼を追い詰めたのはおそらく人間ではなく、同類たちなのだろう。そして同類たちに追い詰められるしかなくなった「老い」なのだろう。動物にとって老いは無残だ。老いを迎えつつあるぼくは、人間にとっての老いもちゃんと無残だと思っている。動物にとって無残な老いが、人間にとって無残でないわけがないように思える、人間も動物だもの。老いて美しいとか、もっと伸びるとか、きれいごとだと思う。
 道内で年間に駆除されるヒグマの頭数は1056頭。ヒグマによる人身被害14件でうち死亡4件。農業被害2億六千万。たとえば、エゾシカがもたらす農業被害は40億7千万円だから、こちらの方がはるかに甚大だ。エゾオオカミの人為的絶滅による生態系の破壊を、人間は毎年毎年莫大に払い続けている。ヒグマの増大と彼らの肉食化も鹿の増大と無関係ではあるまい。

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