見出し画像

誰もがコミュ障だし、誰もがコミュニケーション上手である。


今、人とのコミュニケーションに何らかの悩みを抱えている方にこの話を読んでみて欲しいです。

人は、コミュニケーション上手とコミュ障に分けられるのではありません。すべての人がコミュニケーションの得意分野と苦手分野を持っていて、言ってしまえば全員コミュ障だと僕は思っています。

僕は高校時代、友達もうまく作れず、人前で話すこともできませんでした。当時、コミュ障という言葉はなかったと思いますが、典型的なコミュ障でした。

大学で落語研究部に所属し、舞台でお笑い活動を始めましたが、それでコミュ障が治ったとは言えませんでした。とにかく一人でいることが好きだったし、女子と話すことはほとんどありませんでした。

ただ僕はこの落語研究部というサークルに入ってすぐに、自分がコミュニケーションに関して劣っていると感じることはなくなりました。おしゃべりも舞台でのネタも面白い先輩たちが、一人でいることが好きだったり、決して社交的ではなかったりすることを知ったからです。その後、昔を振り返ると、高校時代までクラスの人気者だった人たちが大人しい僕をからかっていたことも、コミュ障の一端だったのだということに気づいていきました。

コミュニケーション(意思疎通)というものは、実に様々な方法があります。ざっと図にしてみると、以下のような感じです。

コミュニケーション種類

おそらく自分のことをコミュ障だと思っている人は、「うまく言葉にできない」「繊細で緊張してしまう」「人付き合いがそんなに好きではない」など、イメージ的にポジティブなコミュニケーションが苦手だからそう思ってしまっていることが多いと思います。しかし、コミュニケーション上手とは、決してしゃべりが達者だとか性格が明るく社交的だとかそういうことではありません。

例えば、

ビジネス交渉もプレゼンテーションもすごく上手い起業家の人が、社内のメンバーや周りの人たちから緊張されて、なかなか心を開いてもらえずにコミュニケーションを上手く取れないということは、まさに世の中のあるあるです。そういう人たちは、コミュニケーション上手であり、コミュ障でもあると言えます。

僕は落語研究部の時、最初の2年間一切笑いを取れませんでした。舞台でガッチガチに緊張しながらプロの真似事をして、自分の性格と真逆の明るくて勢いのあるノリを一生懸命演じようとして、お客さんにいたたまれない空気を提供していました。3年目から普段の自分と同じボソボソとしたしゃべり方で、普段自分の身に起きた不運な話をするという自虐ネタをやり始め、だんだんウケるようになっていきました。このときに初めてお客さんとのコミュニケーションが成立したのです。

また、この落研の活動を経て、社会人になってからは人前でしゃべることに一切緊張しなくなったと豪語していました。しかし今年に入って初めてZoomで対話型セミナーの講師をやったときに、緊張で顔が引きつり、心臓がバクバクして倒れそうになりました。僕が人前で緊張しなかったのは、笑いというリアクションをもらえる確信を持っていたからだったことに初めて気が付きました。全員がミュートをしている状況で冗談を言って、笑い声が返ってこないというだけで完全にリズムをつかめなくなってしまいました。

近年の話でいうと、以前より頻繁にSlackやLINEグループで仕事のコミュニケーションをとるようになり、何気なく飛んできたメンションの意味を深読みして、「相手が怒っているんじゃないか」と恐怖心を覚えることも増えました。自分がそれに返事を返すのに何十分も悩んでしまうことも起きました。ショートメッセージでのやり取りがとても苦手だということを改めて知りました。

また話は変わりますが、僕の奥さんは人前で話すことが本当に苦手で、以前とある集まりでしゃべらなければならなくなったときに泣いて寝込みました。でも、家で僕と会話しているときは、僕が唐突に放ったボケに対して瞬時に的確にツッコんでくれます。これは、ピンポイントではありますが僕に対しては日本一のツッコミ力を持っていることになります。

以上のいくつかの例のように、コミュニケーションの中にも長所と短所がある、ただそれだけです。コミュニケーションの完璧超人はいません。すべての人が長所と短所を持っています。例えば以下のようなことはみんな、コミュニケーションの長所です。一見短所に見えるものもたくさんありますが、すべて長所です。

・話を聞くのが上手い
・話しかけられやすい
・文章を書くのが上手い
・絵を描くのが上手い
・音声配信が上手い
・動画作りが上手い
・写真撮影が上手い
・LINEスタンプの使い方が上手い
・フォロー、いいね、友達申請などが上手い
・特定のSNSで人からコメントされやすい
・特定の一人と話すのが上手い
・好きな人を見つけるのが上手い
・笑顔が上手い
・うなずくのが上手い
・嫌われるのが上手い
・嫌いな人を見つけるのが上手い
・怒るのが上手い
・人を怒らせるのが上手い
・少ない友人と付き合うのが好き
・黙っていることができる
・自分との対話が得意
・周りから気づかれないことが上手い ……


ここで一番伝えたいことは、自分の長所の周辺に新しい長所を拡張させられるということです。

例えば、人を怒らせるのが上手いということは、人が怒るようなことを分かっているわけだから、人を怒らせない能力も発現させることができます。自分が緊張してしまう人は、前に出る役を他人に任せて自信を与えることが得意になります。特定の一人とのコミュニケーションが得意な人はその人とコンビでやっていけばいいし、その人と似ている人とのコミュニケーションに長けることができるはずです。

今よりコミュニケーションが上手になりたいと願うなら、そもそも長所でも短所でもないことをできるようになるのではなく、自分の長所の周辺の能力を拡張しようと考えてみてください。

今僕は起業して自分で仕事を作って働いています。起業しているということは、当然コミュニケーションを武器として仕事をしています。そんな今でも、コミュ障は治ってはいないのだと思います。僕は怖そうな人が苦手です。だからコミュ障といえばそうです。でもこの「怖そうな人が苦手」というのは、危険察知能力というコミュニケーションの長所でもあります。そして、その長所の裏面とも言える、優しそうな人にすぐに懐いて友達になるという得意技を持っています。ほとんどそれで仕事が上手く行っているような気がします。

僕はやや体を壊しがちなのですが、過去に病気で全身が動かなくなったときも、しゃべりや笑顔があれば優しい人たちが助けてくれて何でもできました。逆に数か月間、喉をつぶして声が出なくなってしまったこともありましたが、パソコンがあれば何でもできました。

コミュニケーションは人生を幸せにするための武器です。だからコミュニケーション能力を高めることを全員におすすめします。でも、コミュニケーション能力=上手なおしゃべりとか社交性 とは限らないと理解することがとても大切です。自分にとって大切な範囲で、自分が幸せを感じるコミュニケーションをとれるのがいいよね、と思います。誰もがある意味コミュ障だと言いましたが、コミュ障なんて、無いのかもしれません。あなたが一番心地いいコミュニケーションは、どんな人と、どうやって心を交わすことですか?


この記事で伝えたかったことをまとめると、

①自分のコミュニケーションの長所を分かって、
②その周辺の能力を少しずつ拡張し成長させていく。

これで誰でもコミュニケーションの達人になれます。試してみてください~

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?