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2021年、新しい仕事を作りたい人にやってみてほしい3つのこと


2020年は大変な年になってしまいました。仕事の状況が厳しいものになって、何とかしなければと思っている人も多いでしょう。新しいことを考えなければならない、と。

確かに大変な状況ですが、社会が変貌していっている現在は、新しいことを起こすのに最適なタイミングです。これまで新しいことを考える仕事を重視していなかった会社などでも、状況が一変し、新しいことを考えなければならなくなりました。社内、他社、そして自分自身に新しいことを提案するチャンスです。

僕も2020年の前半にいろいろな仕事がなくなり、珍しく猛スピードで新しい仕事をいろいろ作りました。正直、焦ってなんとか対応していった感じでした。そんな1年の経験からいろいろな気づきを得られたので、今回は、2021年に新しい仕事を作りたいと思っている方々にやってみてほしい行動や考え方を大きく3つに分けて紹介します。

1.具体的アイデアを探す前に、妄想する


これは自分が長年言っていることではありますが、今年、やっぱりそうだなと実感したので、改めて書いてみます。

新卒入社時などはみんな、「こんなことをやりたい」という個人的欲求、すなわち「妄想」を抱いて会社に入りますが、数年でお利口に現実を見るようになり、妄想をやめてしまいます。「アイデアは実現して利益をもたらさないと意味がない」と何度も聞かされ、それが本質だと思っていくからです。

事実、アイデアは実現し価値を生むためにあります。しかし、最初から利益を生みだせる具体的アイデアを考えに行くと、何も見つからずに思考停止します。その結果、他の人の真似をしたり、同時に誰かと同じことを考えてしまったりします。

以下が、具体的アイデア・妄想・空想の違いを表した図です。

妄想の重要性

僕は、妄想という言葉を、「実現可能性を問わない個人的欲求」と定義しています。「妄」という字の成り立ちは、「女によって我を亡くす」。わけが分からないほど欲するというイメージです。「ああ、無理っぽいけど、あんなことやこんなことになったらいいなあ…」と思いを巡らすのが妄想です。これを無駄な行為だと思わず、他人の妄想も認め、自分の欲求を垂れ流すことが、新しいビジネスを作る手がかりになります。

もちろん、妄想がイノベーションを起こすきっかけになる確率なんて全然低いです。しかしそもそもイノベーションを起こすなんてめちゃくちゃ難しいわけです。具体的アイデアを最初に考えると、そもそも新しいことは生まれず、イノベーションからは遠くなります。結局新しい価値を生むためのアイデアを見つける近道は、最初にたくさんの妄想をすることです。その中からあるとき具体的アイデアが見つかり、案外スッと腑に落ちてとんとん拍子に実現していくものです。

自分の心からの欲求を叶える仕事を作れれば、お利口にまとめた仕事の10倍のモチベーションでいろいろな壁を自然に乗り越えていくことができます。さらに、「こんなことをしたいんですよね~!」と社内外のいろいろな人に自然に話すことができ、その結果協力者が現れます。やりたい企画の優劣もさることながら、自分のワクワクによる行動力と突破力を得ることが世界を変えるのに最も重要な要素だと僕は思います。

※妄想起点の効果を知る一助になればと思い、2020年に開発したのが以下のサービス「妄想商品マーケット MouMa」です。


2.ネットを切断して全集中創作をする


リモートワーク時代になり、多くの人が必然的に、いろいろな人とつながりながらマルチタスクをこなすことが上手くなっていくでしょう。特に若手に関しては、デジタルを使いこなして器用にコミュニケーションをとって仕事を作ったりこなしたりしていくと想像します。

一方で、それが上手くなり心地よさを感じていくと、「全集中」して何かを作ったり考えたりすることができなくなっていく恐れがあります。何となく人とつながっていたら仕事が楽に回っていくという感覚を得て、気が付けば自分が生み出す力が成長していないということが各世代で起こり始めている気がします。実際、玩具業界でも本当の意味でモノ作りができる人がじりじりと減っています。

先日僕は、wifiのない古民家を借りて丸3日間、いろいろな仕事仲間とのコミュニケーションを断った環境である制作の仕事をしていました。その結果、マルチタスクの中では絶対に作れないであろう新しい自分の創作ができ、新しい仕事が一つ増えるまでに至りました。

これからの時代に新しいビジネスを作りたい人には、「全集中」のスキルが必要です。(全集中…流行りの言葉を使ってしまってますが…)

言い換えれば、それができる人はどこに行っても必要とされる人になるし、そういう人は多少の弱点があっても大切に育てたいです。単純な理由としては、いいものが作れるから。そして全集中ができる人は、確実に成長し、何度でも変わることができるからです。

僕も2020年は、リモートワークで常時マルチタスクを行い、何かを作るときも常に他のことを考えてしまっていました。その方法も効率が良いので否定するわけではありませんが、たった3日、他のことをすべて捨ててモノ作りをしただけで、自分が大きく成長したことに驚きました。

今までやりたいと思っていたけれどできていなかったことなどがある方は、3日間自由な時間を作って、成し遂げてみることをおすすめします。「忙しいから難しい」なんてあり得ません。長い人生の中のたった3日です。最初は小さいことかもしれませんが、新しい何かが始まると思います。新しいことをやりたいと思うなら、思う前に我を忘れてやってみるのが手っ取り早いと僕は思います。


3.同僚や取引先を「友達」に変える


2020年、リモートワーク中心となったときに、「あ、今まで多くの仕事相手と友達になれていなかったんだな」と切実に感じました。

僕は会社員時代や起業した最初の頃、同僚は同僚、取引先は取引先で、友達になってはいけない・なれるもんじゃないという感覚を持っていました。上司と何度飲みに行っても上司は上司だし、ましてや取引先の人にはビシッと礼儀正しくして仕事を円滑に運ぶものだ、と思っていました。こう捉えている人がほとんどなのではないかと思います。

この1年、うまく進んだり結果が出たりした仕事はみんな、友達とやった仕事か、「同僚」や「取引先」であると捉えていた人との関係を友達に近づけられたプロジェクトでした。厳密に言うと、すべての関係者が友達になるまで行かなくても、「友達同士」が増えれば、仕事の成功確率が上がるという感覚を得ました。

とはいえ、同僚や取引先を「友達」に変えることは、なかなか難しいものです。なぜなら、友達というものは本来、弱みを見せ合ったり悩みを話し合ったりできる存在であり、成果と対価によって成り立っていたり、そこに評価というものが存在していたりする仕事の世界では、弱みや悩みをさらけ出すことが難しいからです。

リモートワークをやって気づいたのは、一緒の空間にいなかったり、テキストベースでコミュニケーションをとったりすると、どうしても自分の「強み」を見せたくなってしまうものだなということでした。伝わる情報が少ないと、お互いに不安になり、相手と自分を安心させようとして、現実以上によく見せようとしたり、虚勢を張ったりしてしまうことがあります。

僕はそもそも以下の記事で紹介したように、人と話すときに自分の「弱み」から語ろうとするタイプだったのですが、オンラインというものはとにかく弱みを見せることに向いていない方法だなと思い知らされました。正直者でもSNSだけは見せ方を盛ってしまうのは、オンラインでは理不尽な誤解を避けることがとても難しいからです。

オンラインコミュニケーションが増えていく時代だからこそ、弱みや悩みを話し合える友達を増やすことが成功する秘訣になってくると思います。テキスト中心で仕事を進められるとしても、ビデオでもいいから面と向かって笑いながらおしゃべりする量を増やすことはやっぱり重要です。例えば僕が仕事相手と友達になりたいときに話す雑談には、以下のようなものがあります。

「実はあれ、全然上手く行ってないんですよ。なんでかっていうと…」

「この作業、全員で同じ時間にチャットしながらやりませんか?」

「僕実はこういうのが本当に苦手で...」

「この前のあれ、実はキツかったです。こうしませんか?」

「一緒に、これの"プレゼン大作戦"考えて、通しませんか?」

「僕、御社とこういうことしたいんですが、仕事にして頂けませんか?」

…とか。(これらのセリフが良いというわけじゃなくて、一人一人に合った言い方があるのだと思います。)


ものすごく近い距離で一緒に仕事をしている人に弱みを見せることが難しければ、まず違う部署の人とか、これから新しく仕事を始めたい初対面の相手に、いきなり自分の弱みや悩み、苦手なことを話してみるのがおすすめです。社内外のいろいろな所に点在する人たちとの友達グループができたら、いろいろと良いことが起こります。2021年は、そんなグループを作って新しいことを起こす仕事をさらに増やしたいなと僕自身も思っています。
(今まで僕を「取引先」と思ってくださっていた皆様、改めて友達になって、一緒に良い組織やプロジェクトを作りましょう。)


ということで、3つのキーワードを挙げるなら、「妄想」「集中」「友達」だというのがおもちゃ開発者としての僕の考えです。

最後にまとめですが、

究極のイノベーションとは何かと問われたら、それは「みんなが仲良くなれる方法」だと僕は考えています。

社内外問わず、仕事の関係者が仲良くなったら、わちゃわちゃしているだけで新しいアイデアが生まれるし、モチベーションや健康度も上がって仕事の推進力も変わります。たくさんの人が一丸となって企画を実現させたら、世の中での大きいうねりを作ることもできるでしょう。

しかし、そうそうみんなが仲良くなることなんてできないのが人間というものです。組織内の話でいうと、管理、評価、競争、嫉妬、不安、怒り、確執…。資本主義の中で、一人一人違う人間が分かり合うことは実際とても難しいことです。全く気が合わない人がいて当然だし、本当に悪意を持った人だって現実には存在します。

「仲良くなる」は、物理的な社会課題に比べると、心情的なものなので不可能ではなさそうなのですが、なぜか考えれば考えるほど、「みんなで仲良くする」が何よりも難しいことのように思えてきます。戦争もなくならないし、それどころか、同じ会社、同じ家庭ですら争ってしまう。

だからこそ、自分はおもちゃ屋として、遊びや笑いという価値を提供していきたいと思っています。もし自分が世の中にイノベーションを起こせるのだとしたら、「人の負の感情を正に転換し、仲良くさせること」しかない気がします。でも急に世界中の人を仲良しにすることなんてできないので、まずは身の回りの人たちが仲良くなっていくように、妄想を話したり、ゲーム的な働き方を作ったり、人をつなげたり、弱みや悩みを見せ合う場を作ったりして、みんなと新しい仕事を作っていきたいです。2021年もよろしくお願いいたします!

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