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自己開示が上手くなるコツは、「事故紹介」にあり。


自己紹介って、難しいですよね。

自分を1分くらいで伝えるなんて無理だし、自信を持って言えることが見当たらないかもしれないし、逆に自慢みたいになっちゃうとマイナスかもしれないし。

交流会とか、就活とかで最初にする1分の自己紹介は、例えば、

「高橋晋平と申します。職業はおもちゃを作ることです。いろいろな業界の方と一緒におもちゃを作りたいです。」

みたいな感じになりますよね。

・自分は何が好き(得意、特徴)な人間か
・自分は、これから皆さんと何ができたら嬉しいか
・もっと聞きたいことにつながる(この場合、「へー、どんなおもちゃ作ってるんですか?」と続く)

が、社会人の1分間自己紹介のセオリーです。

導入はそれとして、その後相手と深く仲良くなっていくためには、「自己開示」が大切になってきます。自分のアピールポイントではなく、弱い部分など、カッコつけてない本当の所を徐々に見せていくわけです。

自己開示には返報性があり、まず自分がさらけ出すと、相手も本心をさらけ出したくなり、次第にお互いを分かり合っていくことができます。本当の自分を知ってほしいという気持ちは、誰にでもあるものです。

しかしここで、「自己開示」というものは、さらに難しい壁として僕らの前に立ちはだかります。

いきなり自分の欠点や心の闇をカミングアウトしても、引かれるだけかもしれません。いくら相手がいい人だとしても、タイミングというものはあって、のっけから「私すぐイライラしちゃう性格なんです」みたいに言われても、相手はツッコむ術もないし、不安になるだけです。

僕も弱い部分がたくさんあって、親友や好きな人にはそれを知ってほしくて、でも一方的にそれを押し付けて敬遠された経験は過去にいくつも思い当たります。相手が悪かったわけではなく、タイミングや言い方の問題です。突然弱みを押し付けられてもリアクションに困るし、ウソっぽいと何か鼻につくし、話し方が暗いと、笑いに変えることもしづらくなるし・・・。でも、次の機会を待っていられないこともあります。時間をかけてたくさん話すことができたら、分かり合えるのかもしれないけど、その時間を得られることなく、もう会えなくなることもあるでしょう。仲良くなりたい人には、自分を知ってもらいたい。もっと知りたいと思ってもらいたい・・・。

少し前に、尊敬する先輩に、「キミは自己開示が上手い」と褒められたことがありました。その時は嬉しかったのと同時に、「だとしたら、なぜ今それが上手くなっているんだろう?」と思いました。振り返ってみると、その理由は、大学時代から始めた「落語」にありました。

落語は、人を笑わせる話です。人を笑わせるためには当然、自分の自慢なんか話しません。かといって、自分の弱点という内面を話すこともありません。「出来事」を話すのです。

大学で落研に入ってから2年間、自分の個性に似合わず、カッコいい名人のテープを聞いて丸暗記し、カッコつけて覚えたネタを披露し、一切ウケることはありませんでした。そして、ネタに入る前のマクラ(冒頭のフリートーク)も、名人のカッコいいネタをマネしていました。まあそれでウケるはずもありません。それが、ある時から、自分のおとなしい性格という個性に沿いながら、

「高校時代、毎日ジャスコでカツアゲされていました」
「心臓外科に検査に行ったら、"腕が長い"と診断されました」
「昨日、穴に落ちました」

みたいな、身に起こった不運な出来事、変な出来事をマクラで話し始めたところ、笑いが起きるようになっていったのです。そして、そんな高座を繰り返すたびに、「ああ、こいつ、あの弱弱しいやつだ」というように認知され始め、登場するだけでちょっと喜ばれるように変わっていきました。

気づけば僕は、社会人になってからも、初対面の方と打ち合わせをするときに、その打ち合わせの前にあったことや、朝に起きたできごとを自然に話すようになっていました。落語の成功体験があったから、無意識にそうなったのだと思います。

「今朝、娘とケンカして、今泣きそうなので、一刻も早く帰りたいです。」
「昨日健康診断で肺に影が見つかって、今朝そのレントゲン写真持って大きい病院に行ったら、”これ骨です” って言われました。」
「さっき、穴に落ちたんですよ」

これが、自己紹介の後の、「事故紹介」です。自分の内面や性格という、性質についていきなり話すのではなく、ちょっとした変な出来事、つまり ”事故” について話すことで、さりげなく、その人の弱さと愛すべきポイントの方向性が見え、距離が縮まります。

性格を話すのではなく、エピソードを話すという点がとても重要です。落語に出てくる八っつあん熊さんが、「俺はドジだ」と告白したって笑いが起きるはずもなく、彼らが変な出来事を起こすから、笑えるし、その登場人物に親近感が出てくるわけです。

また、いきなり昔のエピソードを話すのも不自然です。「なんでこの人いきなり昔の話をし始めたんだろう」となるので、まずは落語と同じように直近の話から始めて、そのうち「そういえば前にこんなことがあって・・・」となるのがいいでしょう。

ちなみに、登場人物が人情噺の最後の方で弱い内面をさらけ出し、それに泣けるということはよくあって、それは、いろいろあって最後に告白するから響くわけです。自己紹介、事故紹介のあとに、凹(へこ)紹介となるのがいいですね。

今日の打ち合わせ、今朝起きたちょっとしたドジ話から始めてみませんか?

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遊びのつくり方5「笑いが起きる仕掛けを作ろう」
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株式会社ウサギ代表。おもちゃ・ゲーム系プロダクト/遊び系新規事業の開発。∞プチプチ、アンガーマネジメントゲーム、OQTA、気泡わり専用アラビックヤマトなど。全国で講演。近著に『企画のメモ技』(2018)Twitter→ https://twitter.com/simpeiidea
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