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【中高生・教員必見】「探究」の問いの立て方と、探究のサイクルの回し方

「探究」という言葉をよく聞くようになりました。2022年度から、主に高校で「総合的な探究の時間」という必修科目ができ、「総合探究」とか、「探究学習」などと呼ばれたりしています。小中学校でも、同様の授業をする学校が増えているようです。

これまでの小中高の教科というものは、問題と答えがセットで存在し、問題に対する答えの出し方を学ぶものでした。

それに対して「探究」とはどういう学問かというと、
①問いを立てる
②それに対する論証をしたり、アイデアを考えたりする

というものです。

決められた問題の答えを考えるのではなく、まず問題を自分で作る。つまり世の中から疑問や課題を見つけるということですね。

僕が高校生のときは、考えたこともなかった学習です。与えられた問題を解く受験勉強しかしていなかったので。

でも、小学校では自由研究をやっていたし、日常的に「あれこれ不思議だなあ。」と思っていました。

ちなみに僕が小学生のとき、夏休みにやった自由研究の内容。今でもよく覚えています。6年間のうち、4回やりました。
2年生のとき:ひまわりの観察
4年生のとき:天気予報調べ
5年生のとき:秋田県内の水質調べ
6年生のとき:軽石の研究

低・中学年が親に決めてもらったテーマ。高学年では自分でやりたいテーマを親に手伝ってもらってやりました。こうして振り返ると、まあまあイケてる探究少年だったかもしれません。

大学では研究をして、社会人になっておもちゃ開発者になってからは人生が探究の連続でしかありません。それを中高生のうちからできるなんて、今考えると、素晴らしいことだなと思います。アイデアを生み出す仕事をしている身としては、正解ではなく自由なアイデアを考えることを目的とした授業が盛り上がっていくのは大きな喜びです。

僕は「探究」が必修化される数年前から、探究の講師を各種学校や塾などでやっています。僕が講師として招かれる理由は、
1.おもちゃやゲームの企画開発を教え、それを実践して実際に売れる商品を作るという探究の授業プログラムをする
2.生徒たちに、探究したい「問い」の見つけ方を教える
この2つです。

「1.」は手取り足取り教えるとして、「2.」は全ての生徒、そして先生にぜひ伝えたい基本です。

この記事では、その「探究テーマ(問い)の見つけ方」「探究の進め方(サイクルの回し方)」を伝え、最後に、学校などで行った探究の成果を発表するWeb応募イベント『自由すぎる研究EXPO』の紹介をします。

1.探究のテーマ「問い」は、各自どうやって見つけるのか


探究学習では、まず調べるテーマ(問い)を考えることから始まります。そもそも小学校以降、ほとんどの授業では問いと答えがセットで用意されていて、問いの答えを導き出すので、そのような勉強ばかりしてきた中で急に「問いを考えよ」などと言われても困ってしまいますよね。

問いを考える一歩目は、「世の中の疑問に気付く」ということになりますが、前提として、世の中に疑問ではないことなど存在しません。なぜ地球があって、僕たちが生きているのか。自分がなぜ存在していて、なぜ意識があるのか。なぜいろいろな色があるのか。植物とは何なのか。なぜスマートフォンが動いているのか......。すべて不思議ですよね。つまり、この世の全ての事象が、選んでもいい問いの選択肢になります。

あとはその中から、「①自分の力で答えに近づくことができて、」「②調べたら自分の欲求が叶う」問いを選びます。例えば「どうして空は青いのか」を自力で調べるのはなかなか難しいですし、もしわかっても欲求が満たされるかどうかはわかりません。それに対し「どうすれば朝スッキリと目覚められるのか」という問いは、いろいろな条件を自分で設定して実験できますし、スッキリ目覚められると自分が得をするので興味を持って楽しく取り組めます。要するに、自分の力が及ぶ範囲で、結果が分かったら自分(または自分の大切な人)が得をするテーマを選べばいいんですよね。

つまり、熱を込めて探究できるテーマのきっかけは、「自分の欲求」です。「こうなりたい」「この悩みを解決したい」という個人的欲求をいろいろと挙げていけば、問いが見えてきます。

「どうすれば部活の技術が上達するのか」「どうすれば字が上手くなるのか」「どうすればこの不便なキッチン用品が使いやすくなるのか」「どうすれば苦手な人と会話できるようになるのか」……。

欲求は生活の中でいくらでも見つかります。コツは、生活の中の場所と時間(タイミング)を思い浮かべることです。お風呂、トイレ、コンビニ、旅行先、乗り物の中……いろいろな場所に欲求がないか? 朝、夜、月曜、日曜、春、冬……いろいろなタイミングに欲求がないか?

いい問いとは、「どうすれば自分の小さな欲求が叶い、モヤモヤが消え、人生が今より一歩幸せになるか」です。

ちなみに僕の本業はおもちゃ開発者で、おもちゃを作りながら、「問いは、TOY(おもちゃ)である」と伝え続けています。飽きずにずっと遊べる問いが、いい問いですよね。

2.探究は、どうやって進めるのか(探究のサイクルの回し方)


「探究のサイクル」とは、①課題の設定 → ②情報の収集 → ③整理・分析 → ④まとめ・表現 → ①(新しい)課題の設定 → ……というように、振り返って考えを更新しながら試行錯誤を続けることです。いい探究の問いは、ある結論にたどり着いたときに、次の魅力的な問いがまた生まれるものです。

ちなみに、この「探究のサイクルを回す」ことは、大人の仕事や個人活動においてもおすすめです。このサイクルを回すことを習慣として楽しめるように案ると、気づきが生まれ続けて仕事や人生にいい変化がたくさん訪れます。

参考記事↓


3.「全国高校生 自由すぎる研究EXPO」に応募してみよう!


探究の仕事に携わる経験があったことで、ご縁を頂き、株式会社トモノカイさんと一緒に、「自由すぎる研究EXPO」というイベントを立ち上げました。

簡単に言うと、中高生の本気の自由研究を見せてほしい! という大会です。

先ほども述べたように、小学校のときにやったことがある人も多いであろう自由研究。これこそまさに探究学習そのものです。疑問をみつけ、自分なりの方法で調べるのですから。

小学生の自由研究も、僕らが子供の頃と比べたらだいぶ進化しています。では、中高生はどうでしょう。小学生に負けない自由研究ができますか?
中学時代から受験型の学習が中心になっている中で、もしかしたら自由研究力が弱まっている学生さんも多いのかもしれません。
今一度、自由な発想を開放して、小学生や大学生、社会人に「自由すぎる」研究を見せつけてみませんか?

応募サイトは以下です。詳細も書かれています。ぜひ見てみて下さい。
もし周りに中高生、高専生、もしくはその先生の知り合いがいたら、ぜひ教えてあげてほしいです。拡散のご協力、よろしくお願いいたします。↓


■応募のコツ

まず、応募締め切りが2023年5月31日になります。GWもあるし、時間が意外と少ないです。

しかし、この短い時間でダッシュして、勢いでシンプルなA4数枚の研究レポートを出してみることをおすすめします。(応募フォーマットはA4数枚のPDFです。)
今回は、まだ開催2回目のイベント。注目されるチャンスです。

ふと感じていた疑問なら何でも題材になります。それに対してアイデアを考えればいいのです。たしかな結論は要りません。例えば僕の立場からいうと、面白いおもちゃの企画や、ゲームの開発などだと、ワクワクします。
※参考記事↓

もし昨期までに学校の授業で取り組んだ探究の成果があれば、それを整え、まとめ直して応募するのも大歓迎です。

■応募に必要なもの


応募に必要なものはたった1つ。できれば2つ。
(1必須)A4縦 PDFでの研究まとめ資料 枚数自由
(2任意)TikTok、YouTube、Instagram、いずれかへの3分以内のショート動画投稿(研究の概要や補足、盛り上げなど何でもOK。公開、限定公開どちらでもOK)

重要項目は、(1)A4縦資料の表紙の見栄えです。
1枚目を見て、何の研究かわかって、面白そうで、最後まで読みたいと思わせることはとても重要です。(1次通過作品は1枚目がサムネイルとなって公式サイトで紹介される予定です。)

■こんな研究テーマ、いいかも


・部活のレベルアップ方法や新しい技
・作った創作の発表(発明、工作、料理、プログラミング、ゲーム……)
・自分が好きなもの、ヒットしているものの人気の秘密を分析
・インタビューしたい人にインタビューし、気づきをまとめる
・何かの観察日記と考察(自分の心身、家族、ペットなど)

以上は参考程度に。とにかく何でもいいです。「自由すぎる」なので。

■応募したらあるかもしれない、よいこと


①審査員がそうそうたる企業のエース社員なので、上位に来たらつながれるかも。各企業からの特別賞や、副賞もあります!
※審査員参加企業:川上産業株式会社、株式会社SEE THE SUN、株式会社日テレ アックスオン、株式会社バンダイナムコエンターテインメント、株式会社文響社、ヤフー株式会社、株式会社LIFULL、ヤマト株式会社、ロート製薬株式会社(敬称略)

②全国の先生が探究の授業を進めやすくなる

③小学生が応募された高校生の自由研究を参考にして、レベルが上がる

④入賞したら、受験や就活の履歴書に書ける

⑤盛り上がれば来年も開催される

■昨年の優秀作品の一例

https://tankyu-japan.com/ISGP2022/

https://www.youtube.com/watch?v=mPlp8P1VIrg


■公式サイトを見て、まずは気軽に応募してみて下さい。人生が変わるかもしれません。

以下のサイトにすべて書いてあります ↓

https://tankyu-skill.com/expo/irexpo/


【お問い合わせ】
株式会社トモノカイ 未来教育創造室内 「自由すぎる研究グランプリ」事務局
tankyu_info@tomonokai.net


以上、全ての皆様のお力をお借りしてこの大会を成功させ、日本の未来を担う学生さん(と先生)を育てたいです。応募待ってます。メディアの皆様からの取材も待ってます。周りに伝えるお手伝いをいただけたら感謝永遠です。よろしくお願いいたします!

※Voicyでも、「自由すぎる研究EXPO」について話しました。↓


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