見出し画像

昭和のテレビっ子、バラエティでトラジャを見る。

このところ、トラジャのバラエティが面白い。

トラジャとは、America's Got Talent出演などで話題にもなった、昨年デビューした7人組アイドル、Travis Japanのこと。
J事務所のタレントたちがそうであるように、彼らもJr.の頃からバラエティ番組やYouTubeで鍛えられ、加えて舞台で培った度胸もあり、キャラクターもそれぞれ独特とくればそりゃ面白いでしょうよ、というのはある。
(ちなみに彼らのYouTubeチャンネル、通称虎Tubeは、毎回素朴でとても良い。)

だがちょっとこれまでと違うのは、「この人でやりたい」というのが明確な番組が続いているのだ。

例えばWカイトが出演した「アイ・アム・冒険少年 愛の不時着inタイ」。
ディレクターの方がXに「お二人はそのままで面白いと思うので。」と話した、と書いていた。
この企画が素晴らしかったのはWカイトという、慎重派で真面目な(時に調子に乗る)リーダー・宮近海斗と、最初はとっつきにくいが陽気でフリーダムな中村海人という、一見正反対のようで、実は10代のころからの「同級生」で「親友」の二人がキャスティングされたこと。
そしてこれが、ジャングルから脱出し、720キロ先のアユタヤ遺跡、そして見ると願いが爆速で叶うという「ピンクのガネーシャ」を目指すという難局を飾ることなく、笑いと感動のVTRへと導くことになったと思う。

おなかがすいたと愚痴る宮近くんに、仕方ないじゃん青バナナしかないんだから、と言ううみくん。
おにぎりを食べた時の、完全にシンクロした二人の表情。
ジャングルから道を見つけ飛び跳ねて喜び、宮近くんが寝転がるとそれをうみくんが真似る。
お互いを信頼し、さらけ出し、ともに楽しむという関係がすでに出来上がっているのがよくわかる。

奇跡のような出会いのなかで、一行は無事にアユタヤ遺跡へと到着。
ちいさな声で「来たー!」と興奮を抑えきれない様子のうみくん。
そしてピンクガネーシャを探す二人。
宮近くんが「あった!」と叫び走り出すと、うみくんもそれを追うように叫びながら走り出す。
この時の全力疾走していく二人の後ろ姿が本当に小さな少年のようで、なんと清々しかったことか。
(きっとここにほかの5人がいたとしたら、やっぱり全員走り出したんじゃないかと想像する。)

VTRの最初の方で、スタッフに対するうみくんの言動に、ちょっと失礼なんじゃない?と思った視聴者もいたかも知れないが、その後うみくんのストレートな言動にはちゃんと愛情や感謝がこもっていることが感じられる場面が何度も見られ、「嘘のない、そのままの子なのだ。」という彼の魅力がきっと伝わったと思う。
そう、これがうみくんの沼。

そして閑也くんが出演したBSフジ「リモートシェフ」。
これは別室に待機したシェフが、料理を作る「クッカー」に音声のみで指導し、さらにシェフはスペイン料理とイタリアンなどジャンルの違う2名が用意され、審査員が調理の模様をモニターで見て、尚且つ実食してどちらかのシェフが勝者となる、という料理番組。
閑也くんはクッカーとしての出演だった。
・制限時間内に
・初めて聞く料理を
・言われた通り作る
というのはなかなかハードルが高い。
私は今回、初めてこの番組を見た。
まず2名のシェフのレシピや指導力が試され、そこにクッカーの腕前も必要なわけだけど、ここで閑也くんのポテンシャルが発揮される。

魚を捌いたことがないにも関わらず音声のみでチャレンジ、包丁の向きに戸惑いながらも、ためらうことなく上手にこなしたのだ。

その後もシェフの言葉に「はい」「はい」と短く、はっきりとこたえ、時に面白かわいいリアクションをみせ、審査員たちをほっこりさせながら着実にこなしていく。
審査員からも「動きがいいですね」「野性的ですね」など、聞いてるこっちはその言葉で白飯3杯いけますぜ、な展開。
そして盛り付けまでよどみなく行い、「肝クリームを巻いたさんまのロール焼き」と「自家製サルシッチャとミニトマトのニョッキ」を完成させた。

その後できた料理をシェフのところに運んで二人で食べるのだけど、恐らくどちらのシェフとも初めましてだと思われるのに、一緒に試食する姿があまりに自然で和やかな、とてもいい空気。
閑也くんのやさしくて、頼もしくて、みんなを楽しませたいというところが余すことなく発揮された、とてもいい番組だった。

そして最後は、みんな大好き『Travis Japanのダンスだぜ!!』
始まる前は「毎週トラジャの《踊ってみた》が見られるの!?」程度の認識だったけど、ふたを開けてみれば、ダンス部の高校生たちとの交流というかけがえのない時間を閉じ込めた、今時珍しい、とてもピュアな番組。
年齢も肩書も関係なく、賞賛とリスペクトを惜しまない7人の姿は、彼らよりずっと大人の私からみても、素晴らしいことだと感じる。
そして新作ダンスを作る過程はファンはもちろん、それ以外の人も興味深く見ることができるんじゃないだろうか。
さらにAmazonプライムでは、ここだけのおまけ映像で、彼らの仲の良さやふざけ合う姿、時には「表情共有する?」と円形になって踊る姿など、貴重な場面が収められている。

基本的に彼らは控えめな青年たちで、親しみやすく、器用に立ち廻ろうとしない。
例えばグループ揃って「ニノさん」に出た際、カレーを食べる場面で「あ、おいしい。」「おいしい、おいしい。」「あ豆うまい。」「豆うまい。」と、本当にただおいしいものを食べているだけで、テレビ的にはダメの見本のようでもあったが、これが7人中6人こんな調子で、たった一人、川島如恵留くんだけがまともなコメントをするという、「のえる先生とトラビス幼稚園ジャパン」とファンに呼ばれている様子そのままなのが、かえって面白かった。
今回あげた番組がどれも素朴で、素直で、無邪気なトラジャらしさが発揮されたものばかりなのは、業界内においても、少しずつその個性が認められてきたという事なのだろうか。

もうひとつ嬉しいのは、昭和のテレビっ子として、「面白い」と感じる番組ばかりであること。
80年代のお笑いの洪水の中で育ったのに、いつの間にかテレビなんて限られたドラマかドキュメンタリーくらいしか見ることがなくなっていて、もっぱらBSプレミアムを流しているだけの毎日だったけど、純粋に面白い、いいものを作ろうという気概を感じる、そんな番組にトラジャを起用してもらえているのが嬉しい。
特にアイアム冒険少年はスタッフの個性もあって、ぜひまた同じメンバーで冒険に出て欲しいと思っている。

誰かが失敗したり、できないことを笑ったりするのは、もう疲れた。
みんなで一緒に走って、みんなで一緒に泣き笑いする。
そんな番組に、Travis Japanはピッタリだ。














この記事が参加している募集

沼落ちnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?