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幽玄F

 佐藤究氏の最新作「幽玄F」を読み終わりました。


 たまたま、カドカワの株主優待で手に入れた、佐藤氏の直木賞受賞作「テスカトリポカ」が、その本の分厚さにもかかわらず、圧倒的な世界観に引き込まれ、あっという間に読了したことが、佐藤氏の作品との出会いです。
 この作品は、僕の周囲に見えるような世界からは想像もできないような、凄惨で壮絶な世界を生きる者たちを、壁一枚向こうにそうした地獄絵図が広がっているようなリアリティを持って描く、筆の力って、ここまで狂気の世界を突き付けられるのだと、その力量に感服しました。


 幽玄Fは、三島由紀夫作品、三島文学に造詣の深い人たちからすると、のっけから衝撃の連続のようなのですが、僕は残念ながら、三島文学にはあまりご縁がなく、最初の方は、あまりピンときませんでした。ただ、戦闘機という、空の頂点に憑りつかれた主人公が、挫折して一度は空を離れ、再び空につながり、最後は頂点を究める姿は、壮絶でした。

 この作品を通じて、僕はこれまであまり関わりを持つことのなかった、バングラデシュに対し、強い興味を持つようになりました。

 氾濫原のようなところに多くの人が住まい、大河の力に翻弄されつつ、世界の工場として、労働問題などを孕みながらも、存在感を増している。
 一方で、これまで独立をめぐり多くの犠牲を払い、なおも国内に内紛を抱えている、地政学的にも難しい地域であり、隣のインドに隠れがちですが、ポテンシャルを持った国として、年末年始の短い期間で、バングラデシュ関係の本を何冊か読み、基礎的なところを頭に入れておきたいと思います。



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