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お菓子のレシピ本活用術

レシピ本は見て作れるだけじゃない。
①見ながら本物を食べる。
②レシピが作られた意味を考える。
この2つが出来ると真価を発揮します。

こんにちは、Satoruです。

お菓子作りはもちろん好きなんですが、
お菓子のレシピ本そのものも大好きです。

有名パティスリーのレシピ本を集めて眺めるのが趣味でした。


レシピ本の使い方としては、

掲載されているレシピを基に作ってみる。
写真集のように眺める。

これらがふつうの使い方だと思います。


ですが、なかなか全部のレシピを作るのって
難しいですよね。

また、買ってみたものの
端から端まで読み切った本って
結構少ないんじゃないでしょうか。


そこで、自分が実践している
レシピ本の活用方法を紹介します。


これを実践すれば、間違いなく
お菓子作りに対する解像度が上がります。


簡単なものから、そんなところまで!?
みたいな内容もあるので、
こんな使い方もあるんだなーとか
これならできるかも!と
思っていただけたら嬉しいです。




おすすめのお菓子のレシピ本リスト

自分がよく参考にしている書籍はこちらです。
※リンクはAmazonですがアフィリエイトではありません。

店舗があるお菓子屋さんのレシピ本

イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ
 パティスリー・フランセーズそのイマジナスィオン・フィナル 3

ピエール・エルメ
 ピエール・エルメのお菓子の世界

オーボンヴュータン
 ベーシックは美味しい

エーグルドゥース
 エーグルドゥース 味の美学

パリセヴェイユ 
 金子美明の菓子 パリセヴェイユ

いろいろなお店
 ケーキこの人、この店の定番
 SWEETS TREND BOOK
 
など



1.レシピを見ながら本物を食べる


こちらのnoteでは、おいしさを知るためにいっぱい食べることを紹介しました。

「量」食べることで理解を深める方法です。


今回は食べる「質」を上げることで
理解を深めていく方法です。

方法は簡単です。

有名パティスリーのお菓子を実際に買ってきて、
レシピ本を見ながら食べるだけです。


注意 
お店でやると迷惑なので、
おうちでしましょう。


すると、ただ食べるよりも鮮明に
素材の味や香り、食感を感じることができます。


これってこんな味だったんだ!
こんな素材入ってたんだ!
という発見もあります。


正解を知ることが
正解にたどり着く近道です。




2.レシピが作られた意味を考える


レシピ本には、
共通するお菓子のレシピがあります。

それを横断的に見て、
要素を抜き出して整理していくことで
それぞれのお菓子に対する理解度が深まります。


ここからショートケーキについて集めた情報を
分解して整理していく例をお示しします。


ショートケーキの構成要素

ショートケーキの場合、

・生地
・クリーム
・フルーツ

この3つで構成されているのが基本です。

フルーツの量は結構まちまちなんですが、
生地とクリームのバランスは
下の図の範囲になっているようです。


さらにアクセントとして

・香料、リキュール
・シロップ
・デコレーションパーツなど

これらがショートケーキの構成要素です。


ただし、

これらはショートケーキを「食べ物としてのみ」とらえた場合の構成要素になります。


もっと解像度を高めていくと、
レシピには以下の情報も載っています。

・どういうものを目指したのか
・パーツの特徴
・原材料の特徴
・写真
・サンドするフルーツの配置
・デコレーションなどなど。

レシピ本は、
実は読み込むと深いんですよね。


これらの要素を整理すると

レシピから得られる情報
・実体:食べ物 ショートケーキ
・表層:見た目 デコレーション
・深層:コンセプト


自分はお菓子を
表層―実体―深層 という
3層の状態で捉えています。


お菓子作りの解像度を上げるためには
特にコンセプトが大事です。


レシピ本というと
「きれいな写真」、「配合と作り方」
この部分に目が行きがちですが、

どんな思い、狙いで作られたのか?

これが最も重要で
コンセプトの部分にその答えが書かれています。


おいしさには正解はありません。

だからこそ、
その人は何を正解と定義づけて、
そのレシピを考えたのか。

そこには哲学が埋め込まれています。


ぜひ文字にも着目して
レシピ本を読んでみてください。


ここからはさらに細かく見ていきます。


要素に分解① 原材料

とりあえず、
実体である食べ物の部分に着目していきます。

まずは原材料です。

同じ薄力粉でも品名が書かれていたりするので、細かく見るとさらに勉強になります。

生地

薄力粉、強力粉、コーンスターチ、アーモンドプードル
グラニュー糖、上白糖、カソナード
バター、牛乳
はちみつ、水あめ など

クリーム

生クリーム:35%、40%、45%
グラニュー糖:生クリームに対して〇%
イタリアンメレンゲ、凝固剤
香料 など

フルーツ

イチゴ、メロン、オレンジ など

要素に分解② 配合

配合はレシピ本の重要な情報なので、
詳細は省略します。
読み解くポイントだけ紹介します。

それぞれのレシピ本では、
家で作りやすい量、実際のお店での製造の量など
総量がまちまちになっています。

100g当たりで計算しなおしたり、
実際に作る型に合わせて再計算して比較するのが
おすすめです。


要素に分解③ 成分

原材料からさらに踏み込むと、
成分値を計算することができます。

下の図は生地の配合から計算した成分を比較したものです。

炭水化物、たんぱく質、脂質といった
基本的な項目だけでなく、
・炭水化物をデンプンと糖に分ける
・全卵・卵黄・卵白から卵の量
・バターや牛乳から乳成分と乳脂肪の量 など

細かく見ていくと、食感や味の設計に対しての理解が深まります。

レシピ本の配合を基に
ショートケーキの生地の
オリジナルレシピを考えたときの図です。

このオリジナルレシピでは
「生地自体のバランスの良さ」を
重視しているのでいい位置にいると思います。


要素に分解④ 工程


工程もレシピによって
共通する部分と細かく違う部分が
たくさんある要素です。

ショートケーキの生地の例でみると、


・生地作りの際の混ぜる順番
別立て生地では卵黄生地、メレンゲ、薄力粉、バターなどの油分をどのタイミングでどのように混ぜるのかがレシピによって違います。

・オーブンの温度と時間
18cmの型で160℃、25分焼くレシピもあれば、
15cmの型で180℃、25分焼くレシピもある。



これらの工程も
コンセプトに合わせて調整・選択されている
部分になります。



要素に分解⑤ コンセプト

もう一度書きますが、
「レシピ」で一番重要なのは
このコンセプトだと思っています。

どういう狙いがあって、
そのレシピになったのか。

どういう思いで食べてほしいのか。

特に作り手のことばで書かれている文章を
見極めて読むことで、
レシピの理解度を高めることが可能になります。


ショートケーキのレシピから
収集したものを一部紹介します。

・全体のコンセプト

・「ごちそう」のイメージ、ノスタルジック
・単調にならないように、一体感、ハーモニー
・食感・味・香りが調和した多様性
・パーツが舌の上で違和感なく重なる

・生地

・卵のやさしい風味、きめ細かな
・しっかりした歯ざわり、あたたかな味わい
・ジューシーでもろい食感
・歯あたりが軽い

・クリーム

・ふんわりとした口当たりとコク
・後口がいい、ミルキーな泡
・淡いくちどけ
・バランスよく混じりあう
・酸味をまるく包み込む
・ほどよい甘さとコク

・フルーツ

・風味を際立たせる、主役
・新鮮さと酸味
・甘味と酸味のバランス
・みずみずしさ

・アクセント

・卵臭さ・乳臭さをとるためのバニラ

実にさまざまなことばが抽出できます。


ボキャブラリーを増やすことで
特徴をことばで説明できるようになり、
お菓子に対する解像度を高めることができます。



要素に分解⑥ 見た目・デザイン

絵心がないので載せませんが、
レシピ本や雑誌などの写真を手書きで写し取り、
イラストとしてノートにまとめるのを
おすすめします。

・デコレーション
 クリーム、フルーツの形状と配置
・2段か3段か
・丸か四角か三角か
・挟まっているフルーツの量や配置、サイズなど

見た目はおいしさにとって重要です。

同じ材料でも構造が変わってくると
食べる順番や、一口に含まれる割合が
大きく変化します。

どんな狙いがあって
それを実現するために
どんな形状をしているのか。

しっかり見極めましょう。



以上です。


まとめ


・レシピを見ながら本物を食べる
・レシピから材料・配合、コンセプト、見た目を抽出して比較する

これらを実践すれば、間違いなく
お菓子作りに対する解像度が上がります。

役立ちそうだなーと思ったところを
ぜひ真似してみてください。


レシピ本を最大限に活用して
お菓子作りを楽しみましょう。






ショートケーキ作りたくなった方は
こちらをどうぞ。


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