「別名S.S.ヴァン・ダイン ファイロ・ヴァンスを創造した男」
ヴァン・ダインが美術評論家ウィラード・ハンティントン・ライトという人の別名だというのは知ってはいたのだけれど、具体的にどんな評論家でなにが専門なのかというのは分からなくて、ずっと以前から知りたいと思ってはいたがそのままになっていた。「甲虫殺人事件」とかでエジプト学についての薀蓄などを書いていたりしたことから、なんとなくアカデミズム系の古美術の専門家のような人を想像していたのだけれど、実は現代美術の評論家として活動していて、写真家でギャラリーの運営もしていたスティーグリッツなどとの懇意だったということを知って少しびっくりした。
しかも、単なる美術評論家というだけでなく、若くして「スマート・セット」という文芸雑誌の編集長として活躍し、アメリカへのニーチェの紹介者のひとりでもあったというのも興味深い。そういえば、推理小説の創始者として知られるエドガー・アラン・ポーも確か作家であるのと並行して雑誌編集者だったと記憶している。ヴァン・ダインの後継者となったエラリー・クイーンも自らミステリ雑誌を創刊し編集長となった。推理小説の作家と編集者というのは相性がいいのだろうか。
別名S・S・ヴァン・ダイン: ファイロ・ヴァンスを創造した男
作者: ジョン・ラフリー,清野泉
出版社/メーカー: 国書刊行会
発売日: 2011/09/22
メディア: 単行本
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僧正殺人事件 (S・S・ヴァン・ダイン全集) (創元推理文庫)
出版社/メーカー: 東京創元社
発売日: 2010/04/05
メディア: 文庫
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