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カリフリ農場より 4.農場の夏

 今年の夏は干ばつと猛暑と寒さに見舞われた。7月の干ばつは本当に大変だった、丸1ヶ月雨が降らなかったからだ。中旬まで、降らない分には良かった。この時期に必ずやらなければならない作業が牧草あげである。これは冬の家畜たちの餌だ。12ヘクタールの牧草地の草をトラクターにつけた草刈機で刈り倒す。それをテッダーという機械でかき廻しパリパリになるまで乾燥させるのだ。乾いたらレーキ(牧草を集める機械)で草を集めロールベーラーで1つ数百キロの草の塊に丸めて完成だ。牧草はとにかく天気との格闘である。最低3日は晴れが続かなければできない。だから天気予報をよく見て晴れが続く日を狙ってやる。例年この時期は雨が多いのだが、今年はカラっと晴れてすんなり牧草を上げることができた。牧草は年に2回刈る、今度は8月下旬に2番草の牧草上げをする。

牧草ロール

 なんだかんや7月いっぱい雨はほとんど降らなかった。記録的な干ばつ、猛暑により畑の方にはかなりダメージがあった。播種したニンジンが発芽しなかったり、発芽したての芽が焼け死んだり、定植したてのレタスとか白菜がかれたり、てんやわんやだ。雨乞いしたくなるほどである。畑中に灌水チューブを張り巡らせ、毎日水をやった。寒冷紗をかけて日陰を作ってやったりもした。こんな感じでけっこうギリギリの状態だったが8月の頭にようやく雨が降ってくれた。恵みの雨だ。これには本当に助かったと思う。それからは蒸し暑さで、野菜は一瞬ぐんぐん育った。しかし、お盆前の台風を機に気温がガクンっと下がり、やさいの生育が停滞してる。涼しいなんてもんじゃなかった、雪でも降るんじゃないかってくらい寒かった。家でも寒くていられないから、朝と夜に薪ストーブを炊いていた。台風の被害もそれなりにあり、スイートコーンやそばなどが全て倒れてしまったり、突風でハウスのビニールも飛びかけて修繕で大変だった。そばは今年も収穫できるか微妙な感じである。

 7月中旬からは野菜の引き売りが本格的に始まる。当農場では、収穫した野菜を基本、引き売りで販売している。ワゴン車に、その時取れてる野菜を満載に詰め込み、週に2回地元で個々の家を周り販売しているのだ。前日から野菜の収穫を始め調整、袋づめをする。当日は10時過ぎには出発して夕方遅くまで売り歩いている。引き売りには大抵父が行っていて、僕たちは農場に残って売り切れた野菜などを収穫して補充するなどの、後方支援をしている。引き売りする野菜の内容は当然、季節によって、バリエーションは変わる。8月前半から中旬が一番豊富な頃であろう、果菜類や根菜類、葉物野菜など色とりどりの野菜で車の中がにぎあっている。これからの時期は果菜類などの夏野菜の収量はどんどん減っていき、キャベツ白菜などの葉物や根菜類などの秋野菜がメインになってくるだろう。

野菜の引き売り

 9月に入れば越冬野菜の収穫が本格的に始まってくる頃だ。今年も相変わらずの異常気象ばかりだったら干ばつからの猛暑そして寒波、トリプルパンチをくらった訳だが、収量にはどうひびくだろうか。順調に行くことを祈って頑張ろう。

(えとう・かずま=1999年生まれ。豚・鶏・羊・山羊・牛・馬と無農薬無化学肥料で多品種の野菜づくりや自伐型林業を家族で営む。北海道占冠村上トマムtel&fax:0167-57-3315 http://karifurifarm.blog.fc2.com/



『市民活動のひろば』193号(2021.9.1)

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